fluch

おっしゃマン

5人の部下

「つまりこの村は納税の義務を履行できないと、こう言ってきている訳だ。」

少しでも、彼の顔から民を思う良心を感じ取った私が間違っていた。

「そこで、だ。徴税官である君に、この村の実態を調査してほしいと思っているのだよ。」

このとき、私の中で憤りが鎌首をもたげた。彼は間違っている!!そう強く感じたのだ。だから、その場の勢いで、私は彼にちょっとばかりの反抗心をさらけ出した。

「―実態とはどこまでの事をご報告差し上げればよろしいのでしょうか?」

だがこれは失敗だったことに気づいた時は、もう手遅れだった。一時の感情に身を任せ、後悔したことはこれまでにもあったのに!!我が主は、ほんの一瞬にやりとほくそ笑むと、

「実態は、実態だ。それ以上でも以下でもない。バッハフントは本当のことを言っているのか。なぜ使者が死んでいたのか。この村で何が起きているのか―。君は気にならないのかね?」

とまくしたてた。言い終わったときのあきれたような、少し見下したような表情は、私を深い絶望に落としやる。

「君には期待しているのだよ、ユルゲン君?」

ああ、この様子だと、成果を出さない限り私は失脚するな―。そんなピリリとした空気が全身を駆け巡る。顔が火照り、脂汗が出る。我が主の術中に掛かった私に、答えはもはや一つしかなかった。

「かしこまりました、我が主。」

深々と頭を下げ、こう宣う。彼のニヤニヤした―これはもちろん私を屈服させたことに対する喜びの表現なのだろうが―そんな様子を頭越しに感じ取った。

「よく言ってくれた。」

私の肩に置かれる、ごつごつした手は私を逃がさない意思の表れだ。とんだ災難、と心底落ち込む。

「それではこれより徴税官ユルゲン・ザイファートを本件の調査官に任命する。早速、部下5人と共にexeh村に向かってくれたまえ。」

「部下を5人、でありますか?」

驚きのあまり素っ頓狂な声が出る。

「君一人では心もとなかろう?安心したまえ、私の選りすぐりだ。」

執事が私に書類を渡してきた。

「彼らの覚書だ。有効に活用したまえ。」

そう言い終える頃には、我が主は食堂の扉に手をかけていた。

「良い結果を期待している。」

食堂の扉が閉まり、私は独り残された。


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