バッドエンドは全力でぶち壊す!
第49話 そんな馬鹿な
「はぁ…。俺が夏帆に対して幻滅?そんな馬鹿な。」
「えっ。」
 色々な感情が綯い交ぜになにり、ぶっきらぼうな言い方になってしまい、夏帆が驚く。だが、今はそんな事に構ってる暇は無い。
「夏帆が、どう思って行動しようと、俺は幻滅なんてしない。その心根は、変わらないからだ。今まで俺たちと話して、笑って、楽しそうにしてたのは、偽りか?演技か?」
「え、演技じゃないよ!」
 大慌てで答えた夏帆に、視線を真っ直ぐやり、真剣な表情で言う。
「だろ?なら、問題は無い。それに、夏帆は兄を、更には両親を見返してやりたいんだろ?その手段が生徒会に入る事。良いじゃないか。今まで散々に酷い扱いを受けたのに、見返す方法が、非道な方法ではなく、真っ当な手段って、普通に凄いだろ。」
 家庭内の不和でグレたり、ひねくれたりするのは、本人の責任では無く、仕方の無い事だろう。夏帆だって、そうなってもおかしくは無かった。
 しかし、夏帆は折れず、曲がらず、真っ直ぐに真っ当に、自身を高める事で、心無い言葉を吐いてきた両親を見返そうとしている。
 それのどこを責められようか。
「そりゃ流石に、悪事に手を染めてるとか、そんな事だったら、少しぐらいは見損なうけど、ここ数年の付き合いで、夏帆がそんな奴じゃない事は理解してる。だから、今後夏帆がどんな状況に陥ろうと、友人を止めることは無いよ。」
「……。」
「…えっと、その、まぁ、だから、もし何か困ったら、いつでも言ってくれ。何に変えても、とまでは言わないけど、出来る限り力になるからさ。」
 つい熱が入ってしまい、色々と口走ってしまったが、ここでようやく冷静さが戻ってきた為、恥ずかしくなってくる。
ー熱弁し過ぎたっ!!!夏帆が唖然としてるじゃねぇか!ー
 月明かりに照らされ、ボンヤリとしか見えないが、夏帆は口を半開きにして、無言であった。
「ご、ごめん、夏帆さん!話聞くって事だったのに、つい話し過ぎた!」
「…え、あ、いや、大丈夫だよ!むしろ、雄貴君の言葉のお陰で、元気が出てきたから、逆に良かったかな。ありがとね。雄貴君。」
「そ、そっか。なら良かった。あはははは…。」
 どうやら、結果オーライだったようで、雄貴は安堵のあまり、乾いた笑いを浮かべるのだった。
「ねぇ、雄貴君。」
「ん?何?」
「戻る前に、一つだけお願いしても良い?」
「え?まぁ、俺に出来る範囲なら。」
 海に視線をやりながら頷く。
「さっきみたいに、『夏帆』って呼び捨てにしてほしいな。」
「…さっきのは忘れてくれ。」
 つい熱が入って、気安く呼び捨てにしてしまった事を思い出し、恥ずかしくなる。
「え〜、何で〜。だって私たち、ちょっとやそっとじゃ、見損なってくれないような仲なんでしょ?それなのに、いつまで経っても他人行儀な敬称で呼ぶのは、どうかと思うよ?」
「やっべっ!めっちゃ恥ずい!」
 セリフを引用して攻めてくる夏帆に、雄貴は赤面して叫ぶ。最早、黒歴史モノの大失態である。
「えっと、『今後夏帆がどんな状況に陥ろうと、友人を止めることは無いよ』だっけ?」
「よし分かった!これからは、夏帆と呼ぶ事を誓う!だから、もうその恥ずかしいセリフを引用すんのは、止めてくれ〜!!!!!」
 月明かりに照らされた沖縄の海に、雄貴の悲痛な叫びが響き渡るのであった。
 side:夏帆
 隣を歩く、少しムスッとした表情の雄貴を見上げて、少し申し訳なく思うも、どうしても頬が緩んでしまう。
 雄貴と出会ったのは、中一の時。一緒のクラスになり、受けた第一印象は、『大人っぽい』であった。
 他の同級生達は、超能力が覚醒した事により、若干浮ついており、騒がしかったのに、雄貴は落ち着きを払っていた。
 たまに難しい顔をして、考え込んでる時などがあったが、夏帆は特に気にかける事も無かった。
 しかし、とある光景を見てからは、気になる存在となった。
 ある時、本当に偶然に、雄貴が女子に告白されてるシーンに遭遇してしまう。一瞬驚きながらも、それを振り、罵声をあびながらも、困ったような苦笑いで聞き流し、相手が傷付いて無いか、コッソリと確認する雄貴。
  その対応を見て、『何だか歳上のお兄さんみたい…』と思った夏帆は、次の日、急に話しかけてみた。
『おっはよ〜う!何だか難しい顔してるけど、大丈夫?』
 何故か緊張してしまい、異様にハイテンションの、アホの子みたなになってしまったが、挨拶された雄貴は、告白された時のように、一瞬驚き、そして困ったように苦笑いしながら、『おはよう、夏帆さん。』とだけ、普通に返した。
 そこからの日々は、とても楽しかった。雄貴が夏帆と話す時、彼は兄の話なんてせずに、夏帆だけを見て、夏帆が楽しめる話題を選んでくれる。
 だから、難しい事は何も考えずにお喋りし、笑い、その延長で、周囲に笑顔を振りまく事が出来、友達も自然と出来た。
 小学校では、兄と比較されるのが嫌で、大人しく、目立たないよう、必死にクラスの隅にひとりぼっちで居たのにだ。
 今思うと、雄貴を兄の代わりとして、慕っていたのでは無いだろうかと思う。
 兄ほどではないが、勉強は普通に出来、兄以上に運動が出来る。更には、冷静で落ち着いた対応も常日頃からしており、とても自身に優しく接してくれる。
 しかし、雄貴は本音で話していないような感じで、どこか第三者目線だった。
 しかし今日、そんな雄貴が、本気で夏帆を心配し、慰め、話を聞き、そして、本音で気持ちを語ってくれた。
 だからもう、兄の代わりとして慕うのはお終いだ。
「これからは―――」
「えっ。」
 色々な感情が綯い交ぜになにり、ぶっきらぼうな言い方になってしまい、夏帆が驚く。だが、今はそんな事に構ってる暇は無い。
「夏帆が、どう思って行動しようと、俺は幻滅なんてしない。その心根は、変わらないからだ。今まで俺たちと話して、笑って、楽しそうにしてたのは、偽りか?演技か?」
「え、演技じゃないよ!」
 大慌てで答えた夏帆に、視線を真っ直ぐやり、真剣な表情で言う。
「だろ?なら、問題は無い。それに、夏帆は兄を、更には両親を見返してやりたいんだろ?その手段が生徒会に入る事。良いじゃないか。今まで散々に酷い扱いを受けたのに、見返す方法が、非道な方法ではなく、真っ当な手段って、普通に凄いだろ。」
 家庭内の不和でグレたり、ひねくれたりするのは、本人の責任では無く、仕方の無い事だろう。夏帆だって、そうなってもおかしくは無かった。
 しかし、夏帆は折れず、曲がらず、真っ直ぐに真っ当に、自身を高める事で、心無い言葉を吐いてきた両親を見返そうとしている。
 それのどこを責められようか。
「そりゃ流石に、悪事に手を染めてるとか、そんな事だったら、少しぐらいは見損なうけど、ここ数年の付き合いで、夏帆がそんな奴じゃない事は理解してる。だから、今後夏帆がどんな状況に陥ろうと、友人を止めることは無いよ。」
「……。」
「…えっと、その、まぁ、だから、もし何か困ったら、いつでも言ってくれ。何に変えても、とまでは言わないけど、出来る限り力になるからさ。」
 つい熱が入ってしまい、色々と口走ってしまったが、ここでようやく冷静さが戻ってきた為、恥ずかしくなってくる。
ー熱弁し過ぎたっ!!!夏帆が唖然としてるじゃねぇか!ー
 月明かりに照らされ、ボンヤリとしか見えないが、夏帆は口を半開きにして、無言であった。
「ご、ごめん、夏帆さん!話聞くって事だったのに、つい話し過ぎた!」
「…え、あ、いや、大丈夫だよ!むしろ、雄貴君の言葉のお陰で、元気が出てきたから、逆に良かったかな。ありがとね。雄貴君。」
「そ、そっか。なら良かった。あはははは…。」
 どうやら、結果オーライだったようで、雄貴は安堵のあまり、乾いた笑いを浮かべるのだった。
「ねぇ、雄貴君。」
「ん?何?」
「戻る前に、一つだけお願いしても良い?」
「え?まぁ、俺に出来る範囲なら。」
 海に視線をやりながら頷く。
「さっきみたいに、『夏帆』って呼び捨てにしてほしいな。」
「…さっきのは忘れてくれ。」
 つい熱が入って、気安く呼び捨てにしてしまった事を思い出し、恥ずかしくなる。
「え〜、何で〜。だって私たち、ちょっとやそっとじゃ、見損なってくれないような仲なんでしょ?それなのに、いつまで経っても他人行儀な敬称で呼ぶのは、どうかと思うよ?」
「やっべっ!めっちゃ恥ずい!」
 セリフを引用して攻めてくる夏帆に、雄貴は赤面して叫ぶ。最早、黒歴史モノの大失態である。
「えっと、『今後夏帆がどんな状況に陥ろうと、友人を止めることは無いよ』だっけ?」
「よし分かった!これからは、夏帆と呼ぶ事を誓う!だから、もうその恥ずかしいセリフを引用すんのは、止めてくれ〜!!!!!」
 月明かりに照らされた沖縄の海に、雄貴の悲痛な叫びが響き渡るのであった。
 side:夏帆
 隣を歩く、少しムスッとした表情の雄貴を見上げて、少し申し訳なく思うも、どうしても頬が緩んでしまう。
 雄貴と出会ったのは、中一の時。一緒のクラスになり、受けた第一印象は、『大人っぽい』であった。
 他の同級生達は、超能力が覚醒した事により、若干浮ついており、騒がしかったのに、雄貴は落ち着きを払っていた。
 たまに難しい顔をして、考え込んでる時などがあったが、夏帆は特に気にかける事も無かった。
 しかし、とある光景を見てからは、気になる存在となった。
 ある時、本当に偶然に、雄貴が女子に告白されてるシーンに遭遇してしまう。一瞬驚きながらも、それを振り、罵声をあびながらも、困ったような苦笑いで聞き流し、相手が傷付いて無いか、コッソリと確認する雄貴。
  その対応を見て、『何だか歳上のお兄さんみたい…』と思った夏帆は、次の日、急に話しかけてみた。
『おっはよ〜う!何だか難しい顔してるけど、大丈夫?』
 何故か緊張してしまい、異様にハイテンションの、アホの子みたなになってしまったが、挨拶された雄貴は、告白された時のように、一瞬驚き、そして困ったように苦笑いしながら、『おはよう、夏帆さん。』とだけ、普通に返した。
 そこからの日々は、とても楽しかった。雄貴が夏帆と話す時、彼は兄の話なんてせずに、夏帆だけを見て、夏帆が楽しめる話題を選んでくれる。
 だから、難しい事は何も考えずにお喋りし、笑い、その延長で、周囲に笑顔を振りまく事が出来、友達も自然と出来た。
 小学校では、兄と比較されるのが嫌で、大人しく、目立たないよう、必死にクラスの隅にひとりぼっちで居たのにだ。
 今思うと、雄貴を兄の代わりとして、慕っていたのでは無いだろうかと思う。
 兄ほどではないが、勉強は普通に出来、兄以上に運動が出来る。更には、冷静で落ち着いた対応も常日頃からしており、とても自身に優しく接してくれる。
 しかし、雄貴は本音で話していないような感じで、どこか第三者目線だった。
 しかし今日、そんな雄貴が、本気で夏帆を心配し、慰め、話を聞き、そして、本音で気持ちを語ってくれた。
 だからもう、兄の代わりとして慕うのはお終いだ。
「これからは―――」
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