バッドエンドは全力でぶち壊す!

血迷ったトモ

第24話 般若?

『おおっと〜!仲良さげに乳くりあってた2人が、満足したのか立ち上がったぞ〜!イチャイチャはもう良いのか!?』

「「違うから黙って!」」

 解説さんの言葉に、ユニゾンで否定する。翌日から、恋人同士とか、外でアレコレする変態とか噂されたら、一人一人お話しなければならなくなる。

 それは非常に面倒なので、ここで食い止めることに必死だ。

「良いですか?あれは事故です。俺と安曇さんの模擬戦は、俺が後ろから軽くチョップして終了したんです。変な噂をたてる人が居たら、俺と安曇さんから、キツイお仕置きか待ってると思って下さい。良いですね?」

「「「「「「はい!」」」」」」

『は、はい!』

 観客達と解説さんから、良い返事が聞こえてくる。そんなにお仕置が怖いのだろうか?

「それと、今のこの場にいる人間全ての顔を記憶したので、逃げられるとは思わないで下さい。では、以上、解散して下さい。」

『「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」』

 今度はしっかりと全員で揃って返事してくれる。解説さんを含め、幾人か2、3年生も居るだろうに、酷く従順である。

 それも当然で、Sランクの由橘乃は勿論の事、その猛攻を軽々凌いで、勝った雄貴にも刃向かえる人間は、ここには居なかった。

「あ〜あ、精神的に疲れた…。出動要請がかからなきゃ良いけど。」

 疲れ切った表情で呟く。体力的には疲れてなくても、色々と精神を摩耗し過ぎたようだ。

「出動要請?」

「ん、あぁ、安曇さんには教えてなかったね。私は、超能力対策局、超能力犯罪対策課所属、高月雄貴巡査であります!以後、お見知り置きを!」

 敬礼しながら言う。こっちの方が、色々と掴みが良いかと、少し巫山戯たのだが、由橘乃の反応はどうだろうか。

「え、対策課って、一応警察官よね?高校生がなれるの?」

 残念ながら、雄貴の身分に疑問を感じたようで、全然冗談は通じていなかった。

「あ〜、それは、何と言うか、ただの特例らしいですね。15になったから良いかって事で、去年の誕生日から、対策課に属する事になったんだ。対策課は、ネコの手を借りたい程に、万年人手不足なんだよ。中学生まで使うとか、ホント、どんだけなんだよ。」

 世の中の超能力者には、雄貴のような戦闘向きの超能力は、そんなに多くは無いのだ。しかしそれに反比例して、犯罪に転用出来る能力は多い訳で、人手不足に陥るのも頷ける。

 ましてやここは、日本中の超能力者達にとっては、中心的な市であり、一番多く集まるのであるから、余計に人手が欲しくなるのだ。

「まぁ、そういう訳だから、何か困ったら、いつでも頼ってくれ。出来うる限りの範囲内で、力になる事を約束するよ。」

 家庭の事情・・・・・とか持ってこられても、困るだけであるが、普段のここでの生活ぐらいなら、普通に助けるつもりである。その流れで、悠人に興味を惹ければ、万々歳である。

 影で黒い事を考えながら、笑顔を浮かべる。何とも酷い奴である。

「うん、分かったわ。じゃあ早速、さっき、突然セクハラをしてきた、高等部の1年の生徒の事何だけど…。」

「それに関しては、大変申し訳ございませんでした!切に、お許し願います!」

「あははは。ただの冗談よ。…あ、あれ?ちょっとあっちを見てくれない?」

 平謝りする様を見て、カラカラと笑っていた由橘乃が、急に後退りしながら、雄貴の後方を指差している。

「え、何?」

 何か恐ろしい物でも現れたのだろうか。不思議に思いながら見ると、そこには若干怯えた表情をした悠人と、何やら笑顔が怖い、シンシアが立っていた。

「せ、先輩?何かとても怒って「ないです。」…はい。」

 いつになく強い口調のシンシアに言葉を遮られ、少し恐怖を感じる。

ーな、何だ?先輩の背後に、般若の面が見える気がするんだが!?怒らせるような事、したっけか!?ー

 大混乱である。本人には勿論、その隣に居る悠人にも、聞ける状況では無いようだ。

「まぁ、雄貴君も男の子ですし?そういう事に興味があるのは、渋々ですが、理解してますよ?ですが、公衆の面前で、女性に対してあのような破廉恥な行為を働くとは、一体どういうおつもりですか?」

「はい!大変に申し訳ございませんでした!シンシア様!弁明をしたいのですが、お許し頂けますでしょうか!?」

 この男に、プライドという物は存在しないのだろうか?
 シンシアに問い詰められた途端、速攻で土下座を始めて、由橘乃に謝った時よりも深々と頭を下げる。言葉遣いも、数段丁寧である。

「(やっと名前で呼んでくれたかと思えば、様付けですか…。)」

 ボソッと、隣に居た悠人でさえも、聴き逃しそうな程に小さな声で言う。
 勿論雄貴には、声は一切届かなかった。

「えっと、何かおっしゃいましたか?わたくしめの粗末な耳では、シンシア様のお言葉を拾うことが、出来なかったようです!失礼ながら、もう一度お願い出来ますでしょうか!」

 極端な敬語もここまで来ると、最早天晴れな程である。

「普通に喋って下さい。そろそろ怒りますよ?」

 『既に怒ってるのでは?』と言える訳もなく、笑顔が怖いので、雄貴は大人しく素直に従う。

「はい。すみませんでした、先輩。つい反射的にやってしまいました。」

「はぁ…。じゃあ、弁明を聞きましょうか。」

「はい…。」

 ここから地獄の尋問タイムが始まるのだった。

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