バッドエンドは全力でぶち壊す!
第22話 雄貴vs由橘乃
『始め!』
 解説さんの声と共に、雄貴は後方に大きく飛んで下がり、由橘乃は多量の水を生成し始める。
「何のつもり?」
「何が?」
 雄貴の行動が不可解だったのか、眉を顰めながら聞いてくる。
 由橘乃の能力の弱点は、やはり近接戦闘だろう。身体の周りに水を設置しても、短時間で生成出来る量では、雄貴の能力の前には、ほぼ意味を成さないだろう。
 反対に、距離を取ってしまえば、遠距離での攻撃手段を持っている由橘乃には、非常に有利な戦いとなるが、近接戦闘のみの雄貴には、勝ち目はあまり無い。
「ま、直ぐに終わってもつまらないし、今回は安曇さんの戦い方を勉強したいから、こうして来たんだ。最初からあんまり勝つつもりは無いよ。」
「随分と余裕ね。」
「そうでも無いさ。水に呑まれないよう、必死に考えを廻らせてる最中だし。」
 雄貴は首を横に振りながら言う。実際、本気を出せば勝てそうな気もするが、その場合は由橘乃に怪我をさせてしまう。
 それでは、雄貴が今後、色々と頑張る理由を台無しにしてしまう。
 それに加えて、どこぞの○○マさんのように、真の男女平等主義者だとか言って、男女問わずドロップキックをくらわせられる程、図太い神経はしていない。
 同じく名前の最後にまが付く人で、男女平等顔面パンチをくらわせる方も居たような…。
 それは兎も角として、そういう訳で、雄貴はあんまりこの戦いに、前向きでは無かった。
「さて、立ち話も何だし、さっさと模擬戦を始めようか。」
「次に話す時は、きっとアンタは病院のベッドで寝てるわね。」
「はっ。態々見舞いに来てくれるとは、お優しい事で。その優しさを、怪我させない気遣いに向けて欲しいな!」
 言い合いながら戦闘が始まる。
 まずは軽く攻撃したつもりなのか、顔の大きさぐらいの水球を、勢い良く飛ばしてくる。
 それを雄貴は軽く拳で打ち払い、霧散させた。
「うおっ!弾幕ゲーは、やった事ねぇんだけど!」
 打ち払った雄貴の視線の先では、大量の水球が生成されており、その数はゆうに30は超えていそうであった。
 流石にその全てを迎撃するのは、少しやり過ぎだと判断し、回避に移る。
『こ、これは!人間の限界を超えた、まさに超人的な動きだ!私自身、あの動きが出来たとしても、絶対にやりたくない弾幕ゲーだ〜!』
 体を捻り、跳び、時には蹴り飛ばして霧散させ、どうにか被弾せずにやり過ごす。
「やるわね!なら、これなら!」
「怖っ!」
 水を操り、1本の紐状にして手に持った由橘乃は、それを勢い良く振るう。すると、一気に雄貴の元へと伸び、まるで鞭のように襲いかかって来た。
『おおっと!ここで安曇由橘乃さんが新しい攻撃を繰り出す!』
 雄貴の左側から腰辺りを狙って来た水の鞭を、ギリギリで空中を転がるようにして避ける。普通の人間がくらえば、ゆうに十数メートルは吹き飛び、骨折も1、2本で済みそうにない速度で振るわれたのを見て、本能的に恐怖を感じる。
「ふっ!」
 地面に着地した雄貴に、早くも切り返して戻って来た水の鞭が顔の高さに来たので、慌ててしゃがんで避ける。
『SランクのSは、サドスティックのSか〜!?その女王様っぷりには、思わず背筋に冷たい物が走るぞ!』
「そこの解説!うるさいわよ!」
 失礼な事を言ってくる解説さんに、由橘乃がツッコミを入れる。だが攻撃の手は、全く緩めていないので、雄貴は避けるのに手一杯だった。
『これは高月雄貴さん、手も足も出ないか!?おや?そんな事を言っていたら、動きが急に止まったぞ!これは何か仕掛けて来るか!?』
 雄貴は解説さんの言葉通り、動きを止めていた。そんな雄貴に、容赦なく攻撃を加える由橘乃。
「吹っ飛べ!」
 勝ちを確信したのか、由橘乃が嬉しそうな声を出す。しかし次の瞬間、彼女は目を疑う事となる。
「とりゃっ!」
 いつの間にか割れていた地面の隙間に、足を勢い良く突き刺してから蹴り上げ、一気に5、6メートル四方の土を吹き飛ばして、鞭にぶつけたのだ。
 見ると50センチは抉れてるので、相当な質量だろう。対人間向けに、少し威力を落としていたというのもあるだろうが、水の鞭は呆気なく打ち消されてしまう。
「なっ!」
『おおおお!これは凄い力技です!BランクのBは、バーサーカーのBか!』
「ははは…。」
 またしても入る、解説さんの茶々に、苦笑いしながら駆け出す雄貴。
 口元は笑ってるが、目は一切笑っていない。何とも恐ろしい表情である。
「このっ!」
「そんな薄い弾幕、実戦なら何の役にもたたないぞ!」
 肉薄する雄貴の迫力と、先程予想外の手で攻撃を潰されたせいか、弾幕に戸惑いが見られる。
 雄貴の足下が水に浸っており、少し走りにくいが、このまま突撃するつもりなのか、勢い良く駆け抜ける。
「…あ、何か嫌な予感!」
 しかし、あと5メートルで由橘乃に接触するという地点で、いきなり急ブレーキをかける。
「もう遅いわ!くらいなさい!」
 どうやら雄貴の予感は当たったようで、何か由橘乃には策があったらしい。自信満々な様子で、笑みを浮かべている。
ー安曇さんの周囲、半径10メートル位に、大量の水がばら撒かれてるのか!これなら浴槽数杯分の水になる!ー
 驚く雄貴の前で、あっという間に、周囲の水を集め終わった由橘乃は、大きな水の塊を、近距離に居る雄貴目掛けて、打っ放してくる。
「やっべぇ!?」
 雄貴は巨大な水の塊を前に、一瞬固まってしまった。
 解説さんの声と共に、雄貴は後方に大きく飛んで下がり、由橘乃は多量の水を生成し始める。
「何のつもり?」
「何が?」
 雄貴の行動が不可解だったのか、眉を顰めながら聞いてくる。
 由橘乃の能力の弱点は、やはり近接戦闘だろう。身体の周りに水を設置しても、短時間で生成出来る量では、雄貴の能力の前には、ほぼ意味を成さないだろう。
 反対に、距離を取ってしまえば、遠距離での攻撃手段を持っている由橘乃には、非常に有利な戦いとなるが、近接戦闘のみの雄貴には、勝ち目はあまり無い。
「ま、直ぐに終わってもつまらないし、今回は安曇さんの戦い方を勉強したいから、こうして来たんだ。最初からあんまり勝つつもりは無いよ。」
「随分と余裕ね。」
「そうでも無いさ。水に呑まれないよう、必死に考えを廻らせてる最中だし。」
 雄貴は首を横に振りながら言う。実際、本気を出せば勝てそうな気もするが、その場合は由橘乃に怪我をさせてしまう。
 それでは、雄貴が今後、色々と頑張る理由を台無しにしてしまう。
 それに加えて、どこぞの○○マさんのように、真の男女平等主義者だとか言って、男女問わずドロップキックをくらわせられる程、図太い神経はしていない。
 同じく名前の最後にまが付く人で、男女平等顔面パンチをくらわせる方も居たような…。
 それは兎も角として、そういう訳で、雄貴はあんまりこの戦いに、前向きでは無かった。
「さて、立ち話も何だし、さっさと模擬戦を始めようか。」
「次に話す時は、きっとアンタは病院のベッドで寝てるわね。」
「はっ。態々見舞いに来てくれるとは、お優しい事で。その優しさを、怪我させない気遣いに向けて欲しいな!」
 言い合いながら戦闘が始まる。
 まずは軽く攻撃したつもりなのか、顔の大きさぐらいの水球を、勢い良く飛ばしてくる。
 それを雄貴は軽く拳で打ち払い、霧散させた。
「うおっ!弾幕ゲーは、やった事ねぇんだけど!」
 打ち払った雄貴の視線の先では、大量の水球が生成されており、その数はゆうに30は超えていそうであった。
 流石にその全てを迎撃するのは、少しやり過ぎだと判断し、回避に移る。
『こ、これは!人間の限界を超えた、まさに超人的な動きだ!私自身、あの動きが出来たとしても、絶対にやりたくない弾幕ゲーだ〜!』
 体を捻り、跳び、時には蹴り飛ばして霧散させ、どうにか被弾せずにやり過ごす。
「やるわね!なら、これなら!」
「怖っ!」
 水を操り、1本の紐状にして手に持った由橘乃は、それを勢い良く振るう。すると、一気に雄貴の元へと伸び、まるで鞭のように襲いかかって来た。
『おおっと!ここで安曇由橘乃さんが新しい攻撃を繰り出す!』
 雄貴の左側から腰辺りを狙って来た水の鞭を、ギリギリで空中を転がるようにして避ける。普通の人間がくらえば、ゆうに十数メートルは吹き飛び、骨折も1、2本で済みそうにない速度で振るわれたのを見て、本能的に恐怖を感じる。
「ふっ!」
 地面に着地した雄貴に、早くも切り返して戻って来た水の鞭が顔の高さに来たので、慌ててしゃがんで避ける。
『SランクのSは、サドスティックのSか〜!?その女王様っぷりには、思わず背筋に冷たい物が走るぞ!』
「そこの解説!うるさいわよ!」
 失礼な事を言ってくる解説さんに、由橘乃がツッコミを入れる。だが攻撃の手は、全く緩めていないので、雄貴は避けるのに手一杯だった。
『これは高月雄貴さん、手も足も出ないか!?おや?そんな事を言っていたら、動きが急に止まったぞ!これは何か仕掛けて来るか!?』
 雄貴は解説さんの言葉通り、動きを止めていた。そんな雄貴に、容赦なく攻撃を加える由橘乃。
「吹っ飛べ!」
 勝ちを確信したのか、由橘乃が嬉しそうな声を出す。しかし次の瞬間、彼女は目を疑う事となる。
「とりゃっ!」
 いつの間にか割れていた地面の隙間に、足を勢い良く突き刺してから蹴り上げ、一気に5、6メートル四方の土を吹き飛ばして、鞭にぶつけたのだ。
 見ると50センチは抉れてるので、相当な質量だろう。対人間向けに、少し威力を落としていたというのもあるだろうが、水の鞭は呆気なく打ち消されてしまう。
「なっ!」
『おおおお!これは凄い力技です!BランクのBは、バーサーカーのBか!』
「ははは…。」
 またしても入る、解説さんの茶々に、苦笑いしながら駆け出す雄貴。
 口元は笑ってるが、目は一切笑っていない。何とも恐ろしい表情である。
「このっ!」
「そんな薄い弾幕、実戦なら何の役にもたたないぞ!」
 肉薄する雄貴の迫力と、先程予想外の手で攻撃を潰されたせいか、弾幕に戸惑いが見られる。
 雄貴の足下が水に浸っており、少し走りにくいが、このまま突撃するつもりなのか、勢い良く駆け抜ける。
「…あ、何か嫌な予感!」
 しかし、あと5メートルで由橘乃に接触するという地点で、いきなり急ブレーキをかける。
「もう遅いわ!くらいなさい!」
 どうやら雄貴の予感は当たったようで、何か由橘乃には策があったらしい。自信満々な様子で、笑みを浮かべている。
ー安曇さんの周囲、半径10メートル位に、大量の水がばら撒かれてるのか!これなら浴槽数杯分の水になる!ー
 驚く雄貴の前で、あっという間に、周囲の水を集め終わった由橘乃は、大きな水の塊を、近距離に居る雄貴目掛けて、打っ放してくる。
「やっべぇ!?」
 雄貴は巨大な水の塊を前に、一瞬固まってしまった。
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