バッドエンドは全力でぶち壊す!

血迷ったトモ

第11話 出動要請

「もしもし。」

『超能力による、傷害事件が発生した為、現場に急行して下さい。位置情報は、端末に送信しました。』

 雄貴が出ると、機械音声が流れ、指示を出してくる。

「了解しました。現場に急行します。」

『健闘を祈ります。』

 返事を返すと、やはり機械音声が応答する。

 そして、電話をし終わった雄貴は、眉を顰めたまま、シンシアの方を向く。

「すみません。事件が発生したみたいです。」

「…そうみたいね。気を付けて下さいね。」

「態々気を遣って頂いたのに、本当にすみません!この埋め合わせは必ずします!このお店の代金は、後で送金するので、金額をチャットで送って下さい!」

 苦々しい表情のまま、雄貴は個室から出る。本当に申し訳なく、今すぐ犯人を伸して、即座に戻りたい気持ちを鎮めながら、端末を見て、表示された現場に急ぐのだった。


「対策課です!開けて下さい!」

 雄貴は、『超能力犯罪対策課』と書かれた手帳を開きながら、人混みを押し退けようとするが、その言葉を聞いた人々は、さっと勢い良く道を空ける。

 超能力犯罪対策課とは、文字通り超能力による犯罪行為を取り締まり、捜査し、犯人確保を行う組織である。

 国家公安委員会に服する、超能力対策局、超能力犯罪対策課であり、超能力犯罪の危険度の高さから、構成員はほぼ全員、超武闘派であると知られている。

「…感謝します!」

 そう言いながら、雄貴は勢い良く駆け抜ける。

 普通は、子供の声で、そんなヤバい警察組織の人間と告げられて、大人しく道を空ける筈は無いのだが、それは雄貴が活躍し過ぎてる事が、理由に挙げられるのだろう。

ー現場は…ここか!唐科駅東口交差点!ー

 ここ、唐科市の中心部にある、唐科駅東口付近は、居酒屋関係が集中してるので、酔っ払い同士の喧嘩はそれなりに発生する為、雄貴は何回か訪れていた。

ー楽しい時間を、台無しにしてくれた阿呆は、一体どこだ?ー

辺りを見回す雄貴の視線には、殺意に近いものが含まれており、これから犯人がボコされるのは、ほぼ確定事項だろう。

「死ねやぁ〜!!」

「う、うわぁぁぁ!!」

 オッサンのダミ声と共に、若いサラリーマン風の男性が、居酒屋のドアを突き破って、道に吹っ飛んで来た。情報では、路上での喧嘩との事だったが、被害者の男性が逃げ込んだのだろうか。

「大丈夫ですか!?」

 身体のあちこちを怪我しており、血にまみれている男性に、雄貴は慌てて駆け寄る。

「あぁ!?お前はどこから出てきたんだ?邪魔だ!」

 壊れたドアから、赤ら顔のオッサンが、のそのそと出て来て、雄貴を見て不満げに顔を歪めている。

ー酔っ払いかよ。二度と酒を飲めない身体にしたろうか?ー

「対策課です。抵抗せず、こちらの指示に従って下さい。」

 心の中で思ってる事は、厳重に奥底に沈めて封印し、手帳を開きながら名乗る。

「ははははは!お前みたいなガキが対策課だと?ふざけんじゃねぇ!!」

 何が面白いのか、オッサンが急に笑いだしたかと思ったら、直ぐにキレだす。

「…巫山戯ていませんが。では、実力行使で失礼します。」

 余計な時間を取られたく無いので、雄貴は速攻で決着を着ける為、腰を落としてオッサンの懐に飛び込もうとする。

「はっ!お前みたいなクソガキに、遅れを取ってたまるかよ!念力!」

 オッサンが雄貴に掌を向けて、そう叫ぶと、身体が重くなって、その場から動けなくなる。

 どうやら物体を動かす能力の念力を、拘束に使って来たらしい。

「ん。」

「どうだ!これで動けまい!その可愛い顔を、見るに堪えないぐらいに、ボコボコにしてやるよ!」

 キモイ笑みを浮かべながら、にじり寄ってくるオッサンを見て、つい本音が漏れる。

「うわぁ、キモ。」

「な、何だと!?ぶっ殺してやる!」

「あ〜、もう面倒いなぁ!少し寝てろ!」

「なっぐふぇ!?」

 激昴したオッサンに悪態をついた雄貴は、念力の支配下にあるのにも関わらず、超高速で駆け出し、距離を一瞬で詰める。

 オッサンとしては『何で!?』と言いたかったのだろうが、その前に腕を取られて、地面に叩き付けられてしまう。

「ふぅ。17時53分41秒、傷害の現行犯で、逮捕します。」

 関節をキメた状態で、両腕を後ろに回させて、そのまま手錠をかけてしまう。

 雄貴にとって、この仕事は天職だった。犯罪やら何やらの、裏情報には詳しくなれるし、犯人逮捕に駆り出されても、超人的な身体能力で軽々解決出来るし、確保の際の技術も学べる。
 更にはそれなりに高額な給料も貰えるので、陽子さんの負担を軽くしたいと思ってた雄貴には、渡りに船である。

「あらま。もう終わってんのか。」

「お、岸田きしだ巡査部長。それなりに近くに居たんで、自分が一番乗りだったみたいですね。」

 確保した所で、タイミング良くこちらに来たのは、巡査である雄貴の上司となる、岸田優斗ゆうと巡査部長である。
 今年で30の、若干チャラついた雰囲気の男性で、親しみやすいので、上司としてだけで無く、個人的に仲良くさせてもらっていた。

「おいおい。中坊ならそこで、『どうだ!凄いだろ!』ぐらいは言わないと駄目だろう。」

 子供らしさを感じない雄貴に、彼はやれやれと首を振る。

「あはは…。帰って良いっすか?食事中に抜け出して来たんで。」

「珍しいな。仕事中にお前が、そんな事を口にするとは。…女か?」

「それこそ中坊に、何言ってるんですか。」

 中学生のガキンチョに、一体何を言ってるんだと、呆れた風な視線を向ける。女性と食事中だったというのは、事実であるのだが。

「う〜ん。優秀なお前の要望だ。出来れば叶えたいんだが、万年人手不足な我が課では、人員を遊ばせとく余裕は無いんだな。」

「ちっ!」

「舌打ち!?ホントに珍しいな!」

 こうして巫山戯ながら、オッサンを連行して行くのだった。

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