バッドエンドは全力でぶち壊す!

血迷ったトモ

第7話 能力

「正直に申し上げれば、異常としか言い様がありません。若しかしたら、何かしらの超能力に目覚めたのかもしれませんね。」

 そう結論付ける沼尻医師。
 陽子さんはびっくりして、目を見開いている。まさか自分の息子に、そんな力が備わっているとは、夢にも思わなかったのだろう。

「そ、そうなんですか?ゆうちゃん。何かそうだと思う事はある?」

「う〜ん。何だか、身体が軽いなとは思うよ。それと、強盗犯と対峙した時から、力が強くなった。」

 少し考えて、身体能力の向上のみを、明かす事にする。

「そうなのね!ゆうちゃん凄いわ!」

「え?す、凄い?」

 考えながら喋ってた為、急に大きな声で褒められて、戸惑ってしまう。

「うん、凄いわ!だって、日本の0.002パーセントしか居ない、超能力の1人になったのよ?それにその力を、人助けの為に使ったんだもの!」

 満面の笑みで褒め殺してくる陽子さん。
 手放しで褒められてしまい、照れてしまう雄貴。

「超能力者になったのなら、国の方に登録しなくてはなりませんね。詳しく検査出来る施設を紹介しますので、近日中にそちらに行って頂けますか?」

「はい、分かりました。」

 超能力者となった者は、漏れなく国が管理するリストに、名前や性別、身体能力は勿論の事、その他諸々の情報を登録される事になる。
 犯罪を起こさないようにと、抑止になる事が目的であるが、表立っては超能力者の保護を謳っている。

 紹介状を貰い、念の為、痛み止めも貰ってから、病院を後にする。

「超能力が使えるようになって、良かったわね。」

「うん。超能力で、色んな人の役に立つのが、今から楽しみだよ!」

 超能力が使えると判明したのなら、間違い無くゲームの舞台となる、六通学園に通う事となる。この学園は、中学から高校、大学まである、大規模な学園である。
 主人公よりも先に、学園に入学出来るのは良いのだが、これでNHSなどとのイザコザに、巻き込まれる事が確定してしまったのだ。

 特に、主人公が入学してくる、高校一年生からは、死ぬ程忙しくなるので、覚悟を決めなければならない。

 だからこそ、こんなに呑気に構えてられないのだが、陽子さんにはそんな事、知らないでいて欲しかった。

 ゲームでは、雄貴なんて登場人物は、欠片も出てこなかった。しかし、今は人間離れした身体能力を持ち、更には何かしらを、破壊出来る超能力を持っている。
 そんな人間が、目立たない訳が無かった。それは即ち、雄貴が乗り移った事が原因で、この身体は超能力に目覚めたという事だろう。

 超能力の覚醒には、精神的な何かが必要という事だろうか?強い思いや、特殊な経験等々、色々と思い付くが、特定は出来るはずも無いので、雄貴は頭を振って思考をリセットする。

「どうしたの?」

「いや、何でもないよ。それよりも、夜ご飯はハンバーグが良いな。」

 最近ではすっかり板に付いてきた、小学生の演技で、誤魔化す雄貴。
 こうして雄貴は着実に、目的へと向かって、動き出したのであった。


「さてと。何を壊せる能力なのか、ちゃんと調べないとな。」

 病院からの帰り道、暑い中ではあるが、公園に行きたいと言って、陽子さんに少しだけ時間をもらったのだ。

まずはお試しで、その辺に転がっている石を対象に、『壊れろ!』と念じてみる。

「…壊れないな。物理的な破壊力は無いのか?それとも、レンジが短くて、触ってないと駄目とか?」

 適当に一つだけ、石をピックアップして、掌に転がす。そしてもう一度念じてみる。

『バガン!』

 念じた途端、石がそんな音を立てて、砕け散った。

「お、おお。これは中々。それにしても、今回は鎖は見えなかったな。…壊す物が、既に見えてる場合は、見えずに、概念とかそういう物を壊す場合は、鎖が見えるという事かな?」

 雄貴は首を捻りながら、次の実験に移る。

 次は、空気中に漂う水蒸気を破壊して、水素分子と酸素にするイメージをする。

「…実感が湧かないけど、感覚的には何かを壊してるはずだ。」

 今回は手で触れた対象では無く、全身の周りにでくまなく破壊を試みた。有害な気体とか発生したら、少し怖いので、最小限の破壊のみである。

「んじゃあ、次は棒で触れた石だな。壊れろ。」

 そう呟くが、石はうんともすんとも言わないで、ただ転がっている。

「う〜ん。身体の何処かに触れてないと、壊せないのか。」

 物理的な破壊が出来る条件が、大体分かった所で、お次は概念などの、見えない物の破壊である。

「石は固い、とかか?…ふっ!」

  掌に乗せた石を、暫く睨んでいると、段々と黒っぽい鎖が、2本見えたきた。

ーこれは!…壊れろ!ー

 また見えた事に驚きながら、雄貴はその鎖を壊す為、強く念じる。

 すると、自分の身体に巻き付いていた鎖と同様に、音を立てて砕け散った。

「…う、ぐ。ふぅ。少し疲労感が出てきたな。」

  石を普通に破壊したりするよりも、この鎖を破壊した時の方が、よっぽど疲労感が強いらしい。

 肩で息をする程ではないが、疲労感のあまり、木に寄りかかる。そして、手に持っていた石を落とす。
 すると、地面に落ちた石は、飴細工よりも簡単に壊れて、崩れる。

「…これが、俺の超能力か。」

 こういった力を手に入れられて、これからが楽しみな反面、ほぼ確定で辛い戦闘にも巻き込まれるので、少し不安にもなるのだった。

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