バッドエンドは全力でぶち壊す!
第3話 事実
「へ〜、超能力。…はぁ!?超能力!?何すかそれ!?」
 家全体の案内が終わり、リビングで寛いでる最中、とんでもない発言がテレビでされ、思わず素の口調が出てしまう雄貴。
「何か驚くような事、言ってたかしら?」
「ううん、何でも無いよ。で、超能力って何?」
 子供らしい笑顔を意識して貼り付け、誤魔化す雄貴。
「あら、超能力は記憶に無いのね。」
「そうみたい。」
「うん、分かったわ。じゃあ説明するわね。」
「うん、お願い。」
 超能力の話を、馬鹿真面目な顔でテレビでされて、スルーは一切出来なかったので、大人しく説明を受ける事にする。
「えっと、世界には、超能力者って人が居て、その人達は、普通の人には無い力があるの。」
「普通の人には無い力?」
 もう想像はついてるが、聞くだけ聞いておく。もし自分の想像と違えば、外に出て赤っ恥をかいてしまう。
「えっとね、例えば、掌の上に火の玉を出したり、人が考えてい事が分かったりするらしいの。」
「へ〜、凄いね!僕も使えるの?」
「う〜ん、どうだろう?中学生ぐらいにならないと、使えるかどうかが分からないの。ママは使えないわ。」
「…そうなんだ。使えるかどうか、今から楽しみ!」
 現実味の無い話に、雄貴はどこか上の空になりながらも、表面上はちゃんと演技する。
ーおいおい、マジか。超能力って、異世界にでも迷い込んじまったのか?それとも、近年になって発見されたとか?ー
 混乱する雄貴。近未来かと思ってたら、超能力何てものが出てくる、とんでもない異世界かもしれないのだ。
「う〜ん…。あ、そうだ。夏休みの宿題が、どこまで終わってるか覚えてないから、ちょっと見てくるね。」
「あら、偉いわね。クーラーは机の端末からちゃんと点けてね。今、35度あるみたいだから。」
「うん、分かった!」
 元気良く返事をして、2階へと向かう。そして部屋に駆け込み、端末を探す。
「これか?うちはまだリモコンだったから、イマイチ操作方法分からんぞ?」
 適当に操作して、5分程で何とかオンにする事に成功する。
「なーるほど。クーラーも効いてきたところで、さっさと歴史を調べるとするか。」
 そう。雄貴が2階に来たのは、課題を終わらせる為では無い。歴史を調べて、自分が本来居た世界の延長線上なのかということ、しっかり調べたいと思ったのだ。
「歴史の教科書は…世界史かな?あれ?小学生って、何で歴史を習うんだっけ?…あ、社会科か!」
 社会の教科書を手に取り、パラパラと捲っていく。
「…ほうほう。普通に卑弥呼とか書いてあるな。石器、縄文、弥生、古墳、飛鳥、奈良、平安、鎌倉、室町、戦国、安土桃山、江戸、明治、大正、昭和、平成、令和…なるほど。全くもって同じか。」
 教科書を最後まで流し見して、満足気に頷く。
 自分の待ち望んだ事実が得られて、嬉しくなったのだ。別に異世界でも未来でも変わりは無いが、知らない世界よりは、よっぽどマシなのだろう。
「で、今は何年だ?」
 買い与えられている端末を操作して、検索をする。『今年は何年』と。アホらしいが、分からないものは仕方無いと、自分に言い聞かせて検索結果を見る。
「えっと、今年は、2026年か。俺がいた年から6年後ね。んで、超能力については…。」
 検索結果に目を通し、顔を引き攣らせる雄貴。
「なになに?『西暦2023年、11月13日に、銀行強盗に襲われた男性行員が、超能力を暴走させ、犯人グループは意識不明の重体となった。それ以来、発現する人が出てくるようになり、現在では中高生を中心に、人口の0.0002パーセントに当たる、2万3000人ほどが確認されている。今後も増え続けると予想され、犯罪の凶悪化も懸念される中、政府は超能力の社会活用の為、迅速な法整備、同時に教育機関を設置した。』…どっかで聞いた事ある話だな。」
 『ウラデリ』の舞台となる世界も、銀行強盗に襲われた男性が超能力者を発動させ、そこから人々の間に、超能力が発現するようになったのだ。
「えっと?その教育機関の名前は?」
 嫌な予感がしたまま、雄貴は覚束無い手付きで、文字を打ち込んでいく。
「『超能力者は、大半が中高生であるので、六通学園を設置し、ここで通常の勉学と同時に、超能力の開発、並びに制御の訓練を行う。』だと!?六通学園っていやぁ、『ウラデリ』の主人公達が通う学園じゃねぇか!」
 机に頭を打ち付け、叫ぶ雄貴。一応、ボリュームには気を付けたので、陽子さんが駆け付けてくる事態にはならない筈である。
「…『ウラデリ』には、NHSとかいう、アホみたいなテロリスト集団がいた筈だけど…。」
 NHSとは、新人類至上主義(New Human race Supremacy)の略であり、超能力者である自分達を、新人類と呼び、無能力者を旧人類として差別する。そして、旧人類に対して、自分達に優位な権利を主張し、世界に君臨しようとしている、物騒なテロ組織である。
 六通学園の生徒は、NHSと対立しており、ゲーム中でも何回か戦闘があった。というよりむしろ毎回、クライマックスでは必ずNHSを敵に、ド派手な戦闘なっていた。
 このNHSは、超能力者が発見されてから、かなり直ぐに設立され、既に何回かテロを起こしていた筈である。
「…うわぁ。マジか。ここは、『ウラデリ』の世界って事かぁ〜…。」
 ネットには、NHSのテロに関するニュースが幾つも載っており、雄貴はそう確信するしか無いのだった。
 家全体の案内が終わり、リビングで寛いでる最中、とんでもない発言がテレビでされ、思わず素の口調が出てしまう雄貴。
「何か驚くような事、言ってたかしら?」
「ううん、何でも無いよ。で、超能力って何?」
 子供らしい笑顔を意識して貼り付け、誤魔化す雄貴。
「あら、超能力は記憶に無いのね。」
「そうみたい。」
「うん、分かったわ。じゃあ説明するわね。」
「うん、お願い。」
 超能力の話を、馬鹿真面目な顔でテレビでされて、スルーは一切出来なかったので、大人しく説明を受ける事にする。
「えっと、世界には、超能力者って人が居て、その人達は、普通の人には無い力があるの。」
「普通の人には無い力?」
 もう想像はついてるが、聞くだけ聞いておく。もし自分の想像と違えば、外に出て赤っ恥をかいてしまう。
「えっとね、例えば、掌の上に火の玉を出したり、人が考えてい事が分かったりするらしいの。」
「へ〜、凄いね!僕も使えるの?」
「う〜ん、どうだろう?中学生ぐらいにならないと、使えるかどうかが分からないの。ママは使えないわ。」
「…そうなんだ。使えるかどうか、今から楽しみ!」
 現実味の無い話に、雄貴はどこか上の空になりながらも、表面上はちゃんと演技する。
ーおいおい、マジか。超能力って、異世界にでも迷い込んじまったのか?それとも、近年になって発見されたとか?ー
 混乱する雄貴。近未来かと思ってたら、超能力何てものが出てくる、とんでもない異世界かもしれないのだ。
「う〜ん…。あ、そうだ。夏休みの宿題が、どこまで終わってるか覚えてないから、ちょっと見てくるね。」
「あら、偉いわね。クーラーは机の端末からちゃんと点けてね。今、35度あるみたいだから。」
「うん、分かった!」
 元気良く返事をして、2階へと向かう。そして部屋に駆け込み、端末を探す。
「これか?うちはまだリモコンだったから、イマイチ操作方法分からんぞ?」
 適当に操作して、5分程で何とかオンにする事に成功する。
「なーるほど。クーラーも効いてきたところで、さっさと歴史を調べるとするか。」
 そう。雄貴が2階に来たのは、課題を終わらせる為では無い。歴史を調べて、自分が本来居た世界の延長線上なのかということ、しっかり調べたいと思ったのだ。
「歴史の教科書は…世界史かな?あれ?小学生って、何で歴史を習うんだっけ?…あ、社会科か!」
 社会の教科書を手に取り、パラパラと捲っていく。
「…ほうほう。普通に卑弥呼とか書いてあるな。石器、縄文、弥生、古墳、飛鳥、奈良、平安、鎌倉、室町、戦国、安土桃山、江戸、明治、大正、昭和、平成、令和…なるほど。全くもって同じか。」
 教科書を最後まで流し見して、満足気に頷く。
 自分の待ち望んだ事実が得られて、嬉しくなったのだ。別に異世界でも未来でも変わりは無いが、知らない世界よりは、よっぽどマシなのだろう。
「で、今は何年だ?」
 買い与えられている端末を操作して、検索をする。『今年は何年』と。アホらしいが、分からないものは仕方無いと、自分に言い聞かせて検索結果を見る。
「えっと、今年は、2026年か。俺がいた年から6年後ね。んで、超能力については…。」
 検索結果に目を通し、顔を引き攣らせる雄貴。
「なになに?『西暦2023年、11月13日に、銀行強盗に襲われた男性行員が、超能力を暴走させ、犯人グループは意識不明の重体となった。それ以来、発現する人が出てくるようになり、現在では中高生を中心に、人口の0.0002パーセントに当たる、2万3000人ほどが確認されている。今後も増え続けると予想され、犯罪の凶悪化も懸念される中、政府は超能力の社会活用の為、迅速な法整備、同時に教育機関を設置した。』…どっかで聞いた事ある話だな。」
 『ウラデリ』の舞台となる世界も、銀行強盗に襲われた男性が超能力者を発動させ、そこから人々の間に、超能力が発現するようになったのだ。
「えっと?その教育機関の名前は?」
 嫌な予感がしたまま、雄貴は覚束無い手付きで、文字を打ち込んでいく。
「『超能力者は、大半が中高生であるので、六通学園を設置し、ここで通常の勉学と同時に、超能力の開発、並びに制御の訓練を行う。』だと!?六通学園っていやぁ、『ウラデリ』の主人公達が通う学園じゃねぇか!」
 机に頭を打ち付け、叫ぶ雄貴。一応、ボリュームには気を付けたので、陽子さんが駆け付けてくる事態にはならない筈である。
「…『ウラデリ』には、NHSとかいう、アホみたいなテロリスト集団がいた筈だけど…。」
 NHSとは、新人類至上主義(New Human race Supremacy)の略であり、超能力者である自分達を、新人類と呼び、無能力者を旧人類として差別する。そして、旧人類に対して、自分達に優位な権利を主張し、世界に君臨しようとしている、物騒なテロ組織である。
 六通学園の生徒は、NHSと対立しており、ゲーム中でも何回か戦闘があった。というよりむしろ毎回、クライマックスでは必ずNHSを敵に、ド派手な戦闘なっていた。
 このNHSは、超能力者が発見されてから、かなり直ぐに設立され、既に何回かテロを起こしていた筈である。
「…うわぁ。マジか。ここは、『ウラデリ』の世界って事かぁ〜…。」
 ネットには、NHSのテロに関するニュースが幾つも載っており、雄貴はそう確信するしか無いのだった。
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