invincible

ルベライト

1.

『目覚めると僕は森?にいた。』

そこは、小鳥たちのさえずりが響き渡る自然豊かな森…
近くに川があるのだろうか?
せせらぎのような微かな音が聞こえてくる。

しかし…いったい此処はどこなのだろうか?
昨夜(日付けは変わっていたかも…)は残業を終えてから久方ぶりに帰宅し、そのまま布団に潜り込んで寝たはずなのだが…

〝僕は佐々木誠ささきまこと40歳、独身。会社員〟

〝年齢=彼女いない歴…〟

〝悲しくはない!仕事が生き甲斐なので!〟

〝俗に言うブラック企業で僕は働いている〟

〝ひょっとして残業続きで頭が変になって、フラッと森まで来て爆睡しちゃったとか???〟

〝ヤ、ヤバいやん(・_・;〟

〝迷子やんっ(T-T)〟

〝家に帰る方法を探さなくては!〟

僕は胸に不安な気持ちを抱きながらも、一心不乱に生い茂る草をかき分けて先を進むのだった…



先ずは、せせらぎのような音が聞こえる方向に向かう事にした。

だんだんと音が近づいてきて、確信した。

「川だ!」

〝綺麗な川だ!これなら飲める♪〟

〝遭難状態だったので水場確保はめちゃ嬉しい~♪〟

〝ピ~ス♪(^-^)v〟


水を飲もうと水面を覗き込んだその時だった!!

「ひぃ!!」

あまりの恐怖に叫んでしまった!

角が生えて目付きが鋭い、まるで悪魔の様な化物ばけものが、僕を驚いた顔で水面から覗いているではないか!

僕が指を指せば、指を刺す。

僕が水面を叩けば、水面を叩いてくる。

〝ん?〟

僕が変顔すれば、変顔をしてくる。

寸分狂いなく、僕と同じ行動をしてくる。

〝ん~?〟

〝(°_°)〟

〝んん~~…〟

〝……ん……〟

〝……………〟

〝……zzz…(-_-)スヤァ〟

〝……∑(゚Д゚)ハッ!〟


〝僕?僕なのか!?〟


〝こんな化物みたいな姿に変わるなんて、現実じゃない…きっと夢だ。
草をかき分けた時の草が絡みつく感覚や風の風圧、水の冷たさや味覚…〟

〝どれもがリアル…〟

家に帰る方法を探すどころか、自分自身の体の異変をどう考えるべきなのか…

〝地元にはこんな森がなかったので、地元でないにせよ…〟

〝そもそも此処って日本?〟

〝…此処って地球やんね?(°_°)〟

〝それとも、これって…〟

〝今流行りの転生ものですか?(°_°)〟




何もわからないまま、水だけで数日間過ごしていた。

森には生物が存在していた。

見たこともない動物みたいな生き物たち…

〝先ず、デカい(°_°)〟

〝目が、赤い(°_°)〟

〝怖い((((;゚Д゚)))))))ヒィ〟

〝現代っ子の僕にはサバイバル能力はないので、見つからない様に隠れてやり過ごした〟

ここ数日で気付いたことは、喉は渇くが不思議と空腹感はあまりない。
それと脚力があって逃げ足が速いし、疲れない。す、凄い!

森の出口を見つけたので、今日は近くに人がいないか探そうと思う。

この化物みたいな姿を見て驚かないかが心配だが…




『森を抜けると、そこは城の庭だった。』

黒く不気味な西洋の大きな城がそびえ立っていた。

それは『難攻不落の要塞』のようだ。

〝凄いというより怖い!〟


〝ガクブル((((;゚Д゚)))))))ガクブル〟


〝存在感が圧倒的過ぎて恐怖に駆られてしまう!〟

『危険と判断すれば逃げる!』

庭には城門から城に続く道が1本あって、僕は道に沿って恐る恐る歩く事にした。

何事もなく広い庭を抜け、重々しく大きい扉の前に辿り着いた。


〝汚れがない?〟

〝手入れが行き届いてる?〟

〝此処に人がいる!?〟

嬉しさもあってか、恐怖心が少し和らいで気も緩み、僕は扉を開けたのだった。

「え!?」

扉を開けた僕は驚いてしまった。

不気味で威圧感ある雰囲気の外観とは違い、シャンデリアとかの照明で城内は明るく、人が住んでて今にも出てきそうな雰囲気だ。

ギィーーーィガッチャンッ!

開けていた扉が閉まった。

すると、

「お帰りなさいませ」

奥の部屋へと続く廊下に、1人の女性が立っていた。

その女性は、無表情で僕の元に近づいてきて片膝をつき、右腕を胸にもってきて頭を下げた。

〝な、なんなんー!?(°_°)〟

〝怖い怖い怖い!(°_°)〟

〝ぼ、僕に敬礼?〟

女性は頭を上げて、僕の目を真っ直ぐに見つめながらこう言ったのだった。

「魔王様、ご命令を」

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