僕と彼女の小説ライフ

ヌマサン

第2話 相談

「おかえりー」

僕が家に帰ると姉がいました。

「姉さん、帰ってたんだ」

「同じ高校だし、そうなるでしょ?」

そう、僕の姉―滝平加依たきひらかえは今年から高校3年で僕と同じ高校に通っている。

「姉さん、塾は明日からだっけ?」

「そうよ、だから明日からは帰りは遅くなるわよ」

「そっか、それじゃあ僕は部屋で着替えてくるから」

僕はそう言って部屋に戻った。僕は着替えながらも上崎さんと彼女が書いた小説のことが頭から離れなかった。

「小説って僕みたいな素人でも書けるものなのかな?」

確かにライトノベルとかは好きでよく読んだりするけど、果たして僕なんかが書いていいものなのか……

僕はそんなことを思いながらベッドの上をのたうち回った。

――コンコン。

そうしていると、ドアをノックする音が聞こえてきた。

「はーい?」

「幸人、晩ご飯出来たわよ」

「分かった、今行くよ」

僕は一旦、小説のことは頭の片隅に追いやって部屋を出た。

「……で、どうだったの?」

食卓を囲んで晩ご飯を食べていると姉さんに話しかけられた。

「何のこと?」

「友達とか出来たの?」

その瞬間、あの自己紹介黒歴史が頭をよぎった。上崎さんと話したけど友達になったわけではないからね。

「いや、ダメだったよ」

「……そう」

僕がそう言うと姉さんは暗く沈んだような表情を浮かべた。

「別に姉さんが気にすることじゃないよ。それより姉さんの方はどうだったの?」

「え、私?私はもう友達たくさんいるし……」

「新しい友達は別にいらないかな~ってこと?」

「うん、まあそんな感じ」

……そんなセリフ生きてるうちに一度言ってみたい。絶対無理だけど。

その後は何ともない姉の学校での話を聞いて終わり。

僕は風呂に入ってから部屋に戻った。

部屋に戻ってからは、勉強机に座りながらスマホを触っていた。

「小説の書き方とかネットに載ってたりするのかな」

僕はネットで『小説 書き方』と検索してみた。

すると、驚くほど多くのネット記事が。今の時代ってホントにスゴイ。

僕はとりあえず、上に表示されているものから順番に読んでいく。

どうやらプロットを作成する、キャラクターシートを作る、人称を決める……他にもいろんなことが書かれていた。

「そもそも、どんなジャンルの話を書こう?」

僕は迷いに迷った末に1文字も書くことが出来なかった。

「明日、上崎さんに聞いてみようかな……」

とてもじゃないけど僕一人で解決出来そうもない。

僕はその記事をホーム画面に追加した後、ベッドで眠りについた。

――――――――――

――朝。洗い立ての太陽の光は僕の部屋を照らしている。

そんな中で僕は目を覚ました。

僕は今日も学校だ。昨日とは違い足取りは軽い。その理由はおおよそ分かっていた。上崎さんに会えるから……だろう。

僕は制服に着替え、部屋を出る。

リビングに行くと、姉さんがすでに朝食を作っていた。

「幸人、おはよう。朝ごはん出来てるわよ」

「ありがとう、姉さん。いただきます」

僕は椅子に座って朝食を食べた。姉さんの料理はおいしい。これは本心からそう思う。

「それじゃ、ごちそうさま」

僕は早々に朝食を食べ終えて、カバンを持って玄関へと向かう。

僕は玄関の横にある和室の仏壇で静かに手を合わせる。

「それじゃあ、行ってきます!」

僕はドアを開け、学校へと出発した。ドアを開けた時の空気が美味しいのなんの。ドアを開けると目の前には田園風景が広がっていた。

そんな自然豊かな風景を眺めながら学校へ歩いて行く。この時間帯は静かで農家のおじさん、おばさんくらいしか人に出会うことはない。

家を出て、歩くこと10分。学校の校門をくぐり抜けた。

僕は真っ直ぐに教室を目指した。昨日と同じ時間に登校してるのでうまく行けば昇降口で会えるかもしれない。

腰まで届くほど長い墨色の髪を揺らしながら、昇降口の階段を上がっていく女子の姿が見えた。

間違いない、上崎さんだ。

「上崎さ……」

僕は声をかけようとしたが、途中まで言いかけてやめた。

何故なら上崎さんに山吹色の髪をした高身長の男子生徒が先に話しかけていったからだ。

邪魔をしたら悪いと思い、僕は二人が話している横を何も言わずに静かに通り抜けた。

教室についた僕は席について呆然と窓の外を眺めていた。

眺め始めてから何分くらいたったのだろうか。

突然、薄紅の瞳が僕の顔を覗き込んできた。

「わっ!」

僕は驚きのあまり、椅子ごと後ろにひっくり返ってしまった。

「だ、大丈夫ですか!?」

目の前に居たのは上崎さんだ。上崎さんは金魚のように口をパクパクさせながら慌てふためいている。

「上崎さん、僕は大丈夫だから落ち着いて!」

僕がそう言うと、彼女は徐々に落ち着きを取り戻していった。

「……ごめんなさい、びっくりさせちゃったみたいで」

「ううん、僕の方こそ驚かせちゃってごめん」

ひっくり返った時の衝撃で腰が痛んだが、上崎さんに言うと余計に罪悪感感じちゃうだろうから、このことは言わないでおこう。

「上崎さん、さっ……」

危ない、「さっき誰と話してたの?」って聞くところだった……。

「どうかしたのですか?」

「ううん、何でもないよ」

僕は笑顔を張り付けてごまかした。

「それより、上崎さんに聞きたいことがあるんだけど……いいかな?」

僕は小説ってどうやって書いたら良いのかを聞いた。

「うーん、どうやって小説を書くか……?」

随分、上崎さんは悩んでいる様子だ。いつも自然にやってることを教えることは意外と難しかったりするからね……。

「滝平君って、好きなジャンルとかってあったりするんですか?」

「好きなジャンル……。ファンタジーとかラブコメとか……かなぁ」

僕が読んでる小説は主にこの2つのジャンルが主だ。

「それでしたら、ラブコメとか書いてみてはどうですか?」

「ラブコメか……」

ラブコメにせよファンタジーにせよ、書こうと思っても書きだせるものじゃないし……

「最初は二次創作みたいな感じでいいと思いますよ」

「それじゃあ、二次創作で書いてみようかな」

……二次創作って一口に言ってもなぁ。

「あと、滝平君は難しく考えすぎだと思います」

きっぱり言われた……。いや、自分でも分かってたけど、人から言われるのってより胸に刺さる……。

「分かった。帰ったら書いてみるよ」

「うん、それじゃあ、今書いてみてください」

よし、家に帰ったら……って今何て……!

「え、今?」

「うん、『~したら~する』とか『後でするよ』っていう人は大体その時になってもやらないじゃないですか?」

……だから今書け、と。

何やら今の上崎さんからは狂気じみたものを感じるよ……!

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