日常のち冒険~俺は世界を超えて幼馴染を救う~
第44話 悪魔
「セーラさん!次は!」
「この先の階段を降りますよ!」
この先の階段を降りれば、一階だ。
「……!直哉、伏せてください!」
俺はセーラさんに強制的に頭を伏せさせられた。
何事かと思っていると、頭上をサーベルを通過していった。
「フン、かわされたか。首を切断してやろうと思ったんだがな」
壁の裏から出てきたのは逆立った紫紺の髪に濡れ羽色の瞳をした褐色肌の大男。身長は180cmくらいはあるだろうと思われる。
「兄さん、この人はボクが相手をするよ」
「おい、突然何を言い出すかと思えば……!」
「この人、サーベルを両手に持ってる。二刀流の使い手かも」
……この世界に二刀流の概念などあるのだろうか?
「いや、でも……」
「この中で剣の扱いならセーラさんの次には自信があるよ」
俺は本音では紗希にはこんな強そうなやつと戦ってほしくない。
……だが、俺は兄として紗希を信じることにした。
「……分かった。ここは紗希に任せる」
「ちょ、ちょっと薪苗先輩!?」
これには茉由ちゃんが驚いた様子だった。だが、他に残れそうなやつがいないのだ。
茉由ちゃんや俺、ディーンとエレナちゃんなら殺されてしまうのは目に見えている。かといってここでセーラさんを残すと歴戦の戦士なしに何が待ち受けているのか分からない洋館を進むことになるのだ。その方がリスクが高い。
「それじゃあ、紗希ちゃん。ここはお願いしますね」
「はい!」
紗希は元気よく、セーラさんからの声に答えた。
俺、茉由ちゃん、セーラさん、ディーン、エレナちゃんの5人は階段を駆け足で降りた。
一階に降りると、再び廊下だった。
「これ、一体どこまで続いてるんスかねぇ……」
「……だね。あと何回階段を降りたり上がったりするんだろう?」
ディーンやエレナちゃんはすでに息が上がっている。とはいっても俺も茉由ちゃんも息を荒げているが。この場で息が上がっていないのはセーラさんだけだ。
「これはどういうことなのでしょう……?」
セーラさんは地図を片手に首を傾げている。
「……どうかしたんですか?セーラさん」
「いえ、『この辺りに下へ続く階段があるらしい』と走り書きがしてありまして……」
俺も周囲を見渡してみたが、階段といっても俺たちが今降りてきた階段しかない。
俺は一つ思いついたことがあり、付けていた手袋の片方を外した。
そして、指先を舐めて唾を付けて指を天井に向けて立てる。
「こっちから風が吹いてきてるような……?」
右斜め前から風を微弱だが、感じた。
俺は壁の所に顔を近づけて歩いて行く。そんな感じでゆっくりと歩くこと20歩。壁の隙間から本当に微弱な風を感じた。
俺は手袋をはめ直して炎を付加した。
「ちょっと、薪苗先輩!?何するつもりですか!?」
「まあまあ、見ててって」
俺は壁に近づいて炎を纏った拳を構えた。
「火竜○鉄拳!」と叫びながら、壁をぶん殴った。すると壁がガラガラと崩れ落ちて階段が出現した。
「ホントに階段があったんスね!」
「でも、何だか長そうな階段だよ……?」
エレナちゃんの言う通り、かなり下まで続いているような雰囲気だ。
「とりあえず、降りてみましょうか」
俺たちはセーラさんを先頭に、俺、ディーン、エレナちゃん、茉由ちゃんの順番で階段を一歩一歩、慎重に降りていった。
薄暗く足元の見えない階段を降りること数分。
ようやく出口らしき明かりが見えた。
「セーラさん……!」
「ええ、気をつけてくださいね」
そう、明かりが付いているのだ。俺たちは壁を壊してきたのだ。ということは先客がいるはずはない。すなわち、明かりが付いていることなどあるはずがないのだ。つまり、誰かがこの部屋の先で待ち受けているということになる。
俺とセーラさんで左右を確認して慎重に部屋に入った。
階段の奥には部屋があった。床も壁も石でできており、壁には無数の松明がかかっている。
何より目を引くのはこのターコイズブルーの液体を入れた縦長の水槽のようなもの。
それが部屋の左右に7基ずつ、計14基も並んでいる。
その各水槽につき、何かが1体ずつ入っている。
「ほほう。ようやくここまで来たでござるか」
そんなタイミングで一つの声が投げかけられる。
水槽が並ぶその奥に腰に刀を差した黒色の長髪に黒い瞳をした男がいた。
「ようこそ、我がギルドの実験室へ。拙者はギケイと申すものにござる」
その男からは全く敵意が感じられない。しかし、後ろを見るとディーンとエレナちゃんは体をガクガクと震わせていた。
この人がギルドを襲ってミロシュさんを殺したギケイなのか……!
「ふむ、前の3人は知らぬ顔でござるな。後ろの二人は冒険者ギルドを襲ったときに実力差も分からずに戦いを挑んできた者たちではないか。短剣が刺さったところの傷はもう大丈夫なのでござるか?」
ディーンとエレナちゃんは恐怖で口も動かないといった様子だ。
「返事はなし……でござるか」
ギケイはため息混じりにそう言った。
「さて、そなたらを今から某が全員を斬り捨ててやってもいいのでござるが、マスターから1つ頼まれごとをされたのでござるよ」
俺たちは一言も発することが出来ないでいた。この男の動きに一瞬でも見逃しがあったら殺される。そう思ったから目を離すことが出来ず、何も返答することが出来ないでいるのだ。
「その頼まれごとというのは……」
俺たち5人は全員固唾を飲んでギケイの次の言葉を待った。
「ここにいるやつらにそなたらを始末させるようにとのことでござった」
ギケイがそう言い終えるのと同時に13基の水槽が破裂した。水槽の中にいた何かは変な動きをしながらその場に留まっている。……まるで命令でも待っているかのように。
何かがおかしい。
俺は……いや、俺以外の皆も同じことを思っただろう。
姿形は異形の者といって差し支えないだろう。角が生えていたり、手には長く伸びた爪が生えている。
「こやつらはマスターがそなたらの居た世界の住人から奪ってきた魂でござるよ」
魂を……奪う?そんなことが可能なのか?
まさか、連日ニュースで報道されていた変死体事件ってこのことが関係していたのか?
『ウウウアアアア……!』
何かは苦しそうな……救いでも求めるかのように唸り声を上げている。
「某も詳しいことは知らんのでござるが、死体に別の魂を入れることが出来るのでござるよ。そして、これは悪魔の死体でござる」
「悪魔ですって……!?」
セーラさん曰く、悪魔は魔鉄ランク以上の冒険者でないと倒すことは難しいのだそうだ。
そんなのが13体も居るのだ。とてもじゃないが防ぎえる数じゃない。
「ワタクシが一体を倒したころには皆やられているかもしれませんね……」
セーラさんが呟いたその言葉に皆の表情は暗く沈んだ。
「セーラさん、死体……ってことは光属性の魔法は効くんですよね?」
俺の言葉にセーラさんは静かに頷いた。
「そうですけど……」
「だったら、一人使える奴がいるじゃないですか」
俺は後ろにいるディーンの方を振り返った。
「え、俺ッスか!?」
「ここはディーンの光属性の魔法剣でちゃっちゃと済ませてくれよ」
「でも……いや、分かったッス!やってみるッス!」
そう言うや否やディーンは腰に差していた片手剣を引き抜いた。
「"聖刃”!」
ディーンの片手剣から放たれた光の刃は一体の悪魔の死体に命中した。
「だ、ダメッス!あんまり効いてないッス!」
光の刃を当てられた悪魔の死体は傷こそ負っていたが、構うことなくこちらにどんどん近づいてくる。
しかし、途中で悪魔の死体たちはこちらに進んでくる動きが停止した。
何故かは分からないが、何やら壁や天井から生えている糸に絡められてしまっているのだ。
何の糸なのか分からず、戸惑っていると横にいるセーラさんが真剣な眼差しをしていた。
「セーラさん、まさかこの糸って……」
「そうですよ。私の魔法です」
セーラさんの糸の魔法は悪魔たちをがんじがらめにしている。
見た感じ、少し悪魔の死体の皮膚に食い込んでいるどころか内部の肉にまで食い込んでいるように見える。
もしかして、ディーンの魔法の効果が薄かったのは皮膚を切り裂ける威力じゃなかったからなのか?
それにさっきのディーンの攻撃で倒せていたら、魔鉄ランクより下の人でも倒せるはずだ。
それが出来ないってことは普通に外皮が魔鉄ランクの人ほどの威力じゃないと切り裂けないからなのだとすれば、内部に直接光魔法を流し込めば……。
「セーラさん、もう少しの間だけ魔法を発動したままでお願いできますか?」
「それは構いませんが……一体何を……」
「そんな大したことじゃないですよ」
俺はセーラさんの張った糸全てに光属性を付加した。
『グガアアアアア!』
まもなくして、悪魔の死体は苦しそうにもだえ苦しみ始めた。そんな悪魔の死体のはマグマのようにドロドロに溶けていく。
「よし、うまく行った!」
外からダメなら直接流し込む。定番の戦法だが、どうやら正解だったらしい。
正直、悪魔の死体が解けていくところなんかはモザイク処理を施して欲しいくらいだ。後で思い出したら吐きそうだ。
「ふむ、お見事だったでござるよ。でも、次はお主では絶対に勝てぬでござるよ」
……え?今ので終わりじゃないの?
いや、14基あるうちの1基がまだ残っている!
一体、次は何が出てくるというのか……!
そうしている間に最後の水槽が砕け散って中の液体が溢れ出した。
ギケイはその様子を見てニヤリと笑みを浮かべた。
「ほれ、お前たちの探し者でござるよ」
そうギケイは呟いた。
そして、割れた最後の水槽から出てきたのは……ネグリジェ姿の呉宮さんだった。
「この先の階段を降りますよ!」
この先の階段を降りれば、一階だ。
「……!直哉、伏せてください!」
俺はセーラさんに強制的に頭を伏せさせられた。
何事かと思っていると、頭上をサーベルを通過していった。
「フン、かわされたか。首を切断してやろうと思ったんだがな」
壁の裏から出てきたのは逆立った紫紺の髪に濡れ羽色の瞳をした褐色肌の大男。身長は180cmくらいはあるだろうと思われる。
「兄さん、この人はボクが相手をするよ」
「おい、突然何を言い出すかと思えば……!」
「この人、サーベルを両手に持ってる。二刀流の使い手かも」
……この世界に二刀流の概念などあるのだろうか?
「いや、でも……」
「この中で剣の扱いならセーラさんの次には自信があるよ」
俺は本音では紗希にはこんな強そうなやつと戦ってほしくない。
……だが、俺は兄として紗希を信じることにした。
「……分かった。ここは紗希に任せる」
「ちょ、ちょっと薪苗先輩!?」
これには茉由ちゃんが驚いた様子だった。だが、他に残れそうなやつがいないのだ。
茉由ちゃんや俺、ディーンとエレナちゃんなら殺されてしまうのは目に見えている。かといってここでセーラさんを残すと歴戦の戦士なしに何が待ち受けているのか分からない洋館を進むことになるのだ。その方がリスクが高い。
「それじゃあ、紗希ちゃん。ここはお願いしますね」
「はい!」
紗希は元気よく、セーラさんからの声に答えた。
俺、茉由ちゃん、セーラさん、ディーン、エレナちゃんの5人は階段を駆け足で降りた。
一階に降りると、再び廊下だった。
「これ、一体どこまで続いてるんスかねぇ……」
「……だね。あと何回階段を降りたり上がったりするんだろう?」
ディーンやエレナちゃんはすでに息が上がっている。とはいっても俺も茉由ちゃんも息を荒げているが。この場で息が上がっていないのはセーラさんだけだ。
「これはどういうことなのでしょう……?」
セーラさんは地図を片手に首を傾げている。
「……どうかしたんですか?セーラさん」
「いえ、『この辺りに下へ続く階段があるらしい』と走り書きがしてありまして……」
俺も周囲を見渡してみたが、階段といっても俺たちが今降りてきた階段しかない。
俺は一つ思いついたことがあり、付けていた手袋の片方を外した。
そして、指先を舐めて唾を付けて指を天井に向けて立てる。
「こっちから風が吹いてきてるような……?」
右斜め前から風を微弱だが、感じた。
俺は壁の所に顔を近づけて歩いて行く。そんな感じでゆっくりと歩くこと20歩。壁の隙間から本当に微弱な風を感じた。
俺は手袋をはめ直して炎を付加した。
「ちょっと、薪苗先輩!?何するつもりですか!?」
「まあまあ、見ててって」
俺は壁に近づいて炎を纏った拳を構えた。
「火竜○鉄拳!」と叫びながら、壁をぶん殴った。すると壁がガラガラと崩れ落ちて階段が出現した。
「ホントに階段があったんスね!」
「でも、何だか長そうな階段だよ……?」
エレナちゃんの言う通り、かなり下まで続いているような雰囲気だ。
「とりあえず、降りてみましょうか」
俺たちはセーラさんを先頭に、俺、ディーン、エレナちゃん、茉由ちゃんの順番で階段を一歩一歩、慎重に降りていった。
薄暗く足元の見えない階段を降りること数分。
ようやく出口らしき明かりが見えた。
「セーラさん……!」
「ええ、気をつけてくださいね」
そう、明かりが付いているのだ。俺たちは壁を壊してきたのだ。ということは先客がいるはずはない。すなわち、明かりが付いていることなどあるはずがないのだ。つまり、誰かがこの部屋の先で待ち受けているということになる。
俺とセーラさんで左右を確認して慎重に部屋に入った。
階段の奥には部屋があった。床も壁も石でできており、壁には無数の松明がかかっている。
何より目を引くのはこのターコイズブルーの液体を入れた縦長の水槽のようなもの。
それが部屋の左右に7基ずつ、計14基も並んでいる。
その各水槽につき、何かが1体ずつ入っている。
「ほほう。ようやくここまで来たでござるか」
そんなタイミングで一つの声が投げかけられる。
水槽が並ぶその奥に腰に刀を差した黒色の長髪に黒い瞳をした男がいた。
「ようこそ、我がギルドの実験室へ。拙者はギケイと申すものにござる」
その男からは全く敵意が感じられない。しかし、後ろを見るとディーンとエレナちゃんは体をガクガクと震わせていた。
この人がギルドを襲ってミロシュさんを殺したギケイなのか……!
「ふむ、前の3人は知らぬ顔でござるな。後ろの二人は冒険者ギルドを襲ったときに実力差も分からずに戦いを挑んできた者たちではないか。短剣が刺さったところの傷はもう大丈夫なのでござるか?」
ディーンとエレナちゃんは恐怖で口も動かないといった様子だ。
「返事はなし……でござるか」
ギケイはため息混じりにそう言った。
「さて、そなたらを今から某が全員を斬り捨ててやってもいいのでござるが、マスターから1つ頼まれごとをされたのでござるよ」
俺たちは一言も発することが出来ないでいた。この男の動きに一瞬でも見逃しがあったら殺される。そう思ったから目を離すことが出来ず、何も返答することが出来ないでいるのだ。
「その頼まれごとというのは……」
俺たち5人は全員固唾を飲んでギケイの次の言葉を待った。
「ここにいるやつらにそなたらを始末させるようにとのことでござった」
ギケイがそう言い終えるのと同時に13基の水槽が破裂した。水槽の中にいた何かは変な動きをしながらその場に留まっている。……まるで命令でも待っているかのように。
何かがおかしい。
俺は……いや、俺以外の皆も同じことを思っただろう。
姿形は異形の者といって差し支えないだろう。角が生えていたり、手には長く伸びた爪が生えている。
「こやつらはマスターがそなたらの居た世界の住人から奪ってきた魂でござるよ」
魂を……奪う?そんなことが可能なのか?
まさか、連日ニュースで報道されていた変死体事件ってこのことが関係していたのか?
『ウウウアアアア……!』
何かは苦しそうな……救いでも求めるかのように唸り声を上げている。
「某も詳しいことは知らんのでござるが、死体に別の魂を入れることが出来るのでござるよ。そして、これは悪魔の死体でござる」
「悪魔ですって……!?」
セーラさん曰く、悪魔は魔鉄ランク以上の冒険者でないと倒すことは難しいのだそうだ。
そんなのが13体も居るのだ。とてもじゃないが防ぎえる数じゃない。
「ワタクシが一体を倒したころには皆やられているかもしれませんね……」
セーラさんが呟いたその言葉に皆の表情は暗く沈んだ。
「セーラさん、死体……ってことは光属性の魔法は効くんですよね?」
俺の言葉にセーラさんは静かに頷いた。
「そうですけど……」
「だったら、一人使える奴がいるじゃないですか」
俺は後ろにいるディーンの方を振り返った。
「え、俺ッスか!?」
「ここはディーンの光属性の魔法剣でちゃっちゃと済ませてくれよ」
「でも……いや、分かったッス!やってみるッス!」
そう言うや否やディーンは腰に差していた片手剣を引き抜いた。
「"聖刃”!」
ディーンの片手剣から放たれた光の刃は一体の悪魔の死体に命中した。
「だ、ダメッス!あんまり効いてないッス!」
光の刃を当てられた悪魔の死体は傷こそ負っていたが、構うことなくこちらにどんどん近づいてくる。
しかし、途中で悪魔の死体たちはこちらに進んでくる動きが停止した。
何故かは分からないが、何やら壁や天井から生えている糸に絡められてしまっているのだ。
何の糸なのか分からず、戸惑っていると横にいるセーラさんが真剣な眼差しをしていた。
「セーラさん、まさかこの糸って……」
「そうですよ。私の魔法です」
セーラさんの糸の魔法は悪魔たちをがんじがらめにしている。
見た感じ、少し悪魔の死体の皮膚に食い込んでいるどころか内部の肉にまで食い込んでいるように見える。
もしかして、ディーンの魔法の効果が薄かったのは皮膚を切り裂ける威力じゃなかったからなのか?
それにさっきのディーンの攻撃で倒せていたら、魔鉄ランクより下の人でも倒せるはずだ。
それが出来ないってことは普通に外皮が魔鉄ランクの人ほどの威力じゃないと切り裂けないからなのだとすれば、内部に直接光魔法を流し込めば……。
「セーラさん、もう少しの間だけ魔法を発動したままでお願いできますか?」
「それは構いませんが……一体何を……」
「そんな大したことじゃないですよ」
俺はセーラさんの張った糸全てに光属性を付加した。
『グガアアアアア!』
まもなくして、悪魔の死体は苦しそうにもだえ苦しみ始めた。そんな悪魔の死体のはマグマのようにドロドロに溶けていく。
「よし、うまく行った!」
外からダメなら直接流し込む。定番の戦法だが、どうやら正解だったらしい。
正直、悪魔の死体が解けていくところなんかはモザイク処理を施して欲しいくらいだ。後で思い出したら吐きそうだ。
「ふむ、お見事だったでござるよ。でも、次はお主では絶対に勝てぬでござるよ」
……え?今ので終わりじゃないの?
いや、14基あるうちの1基がまだ残っている!
一体、次は何が出てくるというのか……!
そうしている間に最後の水槽が砕け散って中の液体が溢れ出した。
ギケイはその様子を見てニヤリと笑みを浮かべた。
「ほれ、お前たちの探し者でござるよ」
そうギケイは呟いた。
そして、割れた最後の水槽から出てきたのは……ネグリジェ姿の呉宮さんだった。
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