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あかいトカゲのゆめ

おくとりょう

そろそろけーる

安心あんしんして、わたしがあなたのわりにかえってあげるから!」

ヤマトくんの姿すがたたヒキガエルは、無邪気むじゃきわらいます。

「おじいさんのお説教せっきょうわりにいてあげる。

あなたはここでたのしくカエル生活せいかつおくれるわよ。
トカゲはいないけれど、“実験じっけん”も“研究けんきゅう”もウサギたちなら、きっとってくれるわ!

そうよ!
ウサギたちとも茨男いばらおとことも仲良なかよくしてたのだから、あなたならきっとわたしよりもこの世界せかい上手うまくやっていけるわ!

だから、」

「ヤダッ!!!」


つらつらとはなしていた彼女かのじょかって、ヤマトくんはみつくようにさけびました。

「おうちかえれないのヤダ!
おじいちゃんにえないのヤァーダァー…

ヤダっ!ヤダっ!ヤダァァーァっ!!!

うぅ…ぉ…おじいちゃぁあーんっ!!!

お家に帰りたいよぉぉおぉーっ…!!!」



あまりのいきおいですヤマトくんに、おもわずカエルもびっくり。

「な、なによ…そんなにかなくても、いいじゃない」

自分じぶんが泣かせておいて、ついついなぐさめようとするヒキガエル。

かえりたくなったら、あなたもべつだれかの姿すがたをもらえばいいでしょ」

「…ぅぅんん…でもぉ…そぉしたらぁぁ…
今度こんどはぁ…そのひとがぁ…かえれなくなるぅ…からぁ……」

嗚咽おえつらしながら、ヤマトくんはかえします。

「ん…だってぇ…べつだれかの…姿すがたとったら、
…そのひとが…かえれなくなる……でしょ…?
それじゃあ…そのひとが…可哀想かわいそうじゃん…

それに……
…それに、ぼくは、ぼくのまま…かえりたい…」

「ガマ…もういいでねぇか」

ずっとだまっていた茨男いばらおとこくちひらきました。

「このあがないはんでんだ。
もう咎人とがびとでねぇ!」

「はあぁ…もう…
なによ!それなら、そうといなさいよ」

ひたいおさえてそううと、ヤマトくんの姿すがたをしたヒキガエルは、ヒキガエルの姿すがたしているヤマトくんにしました。

「ん…わるかったわね。
仕置しおきがてら、ちょっとあましる欲張よくばっちゃったわ。
ごめんなさい」

「…ぅん…ううん………」

ヤマトくんは、なみだどろでベチョベチョになったかおで、じっとなにかをかんがえたあと、いました。

「たまになら、ぼく姿すがた使つかってもいいよ。

ガマちゃんもおうちかえりたいことあるでしょ…。
たまになら、ぼくからだしてあげるよ」

ヒキガエルは、びっくりしてくちがあんぐり。

茨男いばらおとこはおなかかかえて、わらしました。

いたか?おめぇさん!
あんだけこわがらせた上、カエルにえちまったおめぇさんをおこるどころか、心配しんぱいして、姿すがたしてくれるなんてってるべ!
ハッハッハッ!
こりゃ、たまげた!
なんてうつわのでけぇおどごっこおとこのこだぁ!」

ひとしきりわらうと、ヤマトくんのあたまをぽんぽんとして、やさしくいました。

心配しんぱいしねぇでも、ガマにはガマのやることがあるんだ」

「やることって、アガナイ?」

「…うん、そうだな。あがないだ」

微笑ほほえむようにうと、四本指よんほんゆびになってしまったヤマトくんのにぎりました。

てるか?そろそろかえっぺかえろう

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