あかいトカゲのゆめ
あとしまつ
星灯りの下、ヤマトくんの手を握り、茨男はぽつぽつと歩みを進めます。
「ここは…一体どこなの?」
ヤマトくんはずっと気になっていたことを尋ねました。
「…罪を犯した人がその贖いのために落とされるところだべ」
少し躊躇ってから、茨男は口を開きました。
「ツミヲオカシタ?」
「誰かに意地悪をしたり、嫌な気持ちにさせたりすること…」
「僕は!意地悪なんて…して…な…ぃ………っ」
食ってかかるように否定したヤマトくんでしたが、ふと何かを思い出したように、尻窄まりに声のトーンも下がっていき、俯いて、そのまま黙りこんでしました。
すると、茨男は側の岩に腰掛け、ゆっくり自分のことを語り始めました。
「おらも、昔はニンゲンだったんだ。
でも…約束破って、ここに落とされたんだべ」
「約束?」
ヤマトくんは、そぉっと顔を上げて、尋ねます。
「んーだ…約束っていうか、決まりだな。
おらの住んでたところではな、お休みの日には仕事をしちゃいけねぇ決まりだったんだ」
「…ふーん、いいじゃん。
お母さんはもっとお仕事をお休みしたいって、よく言ってるよ!」
クスリと笑って、茨男は続けます。
「そうだな。
でも、おらはお休みをせずに、働き続けた。
お休みの日は神様にお祈りすることになってたのに…。
その決まりを守らなかった。
おらの勝手だー!と思ってな…。
そして、ある日とうとうここに送られちまった…。
“そんなに仕事が好きなら、永遠に働いていれば良い”って言ってよ…」
「でも…それでも…」
納得のいかないヤマトくんに、彼は穏やかに頷きます。
「そう。
でも、おらが自分勝手をしたことは、罪だべ。
一人で生きてるわけでねぇんだから、もっと周りのことを考えねば、いけなかったんだ…」
そこまで言うと、茨男は腰をあげ、再び歩き始めます。
ヤマトくんは茨男の手を取り、じぃっと考えていました。
そして…
「…あのね…
僕も嫌なことしちゃった…。カナヘビに…」
すると、茨男はヤマトくんをじぃっと見つめてから、頷いて、優しくこう言いました。
「…そうかい。
もう贖いは終わりだから、きっとお家に帰れるべ。
井戸もすぐそこだ」
そう聞いて、赤くなった目を擦りながら、顔を上げたそのとき…
「あら、早かったのね、おかえりなさい。
それじゃあ、今度は私との約束も果たしてもらいましょうか」
嗄れていても、どこか気品の漂う女性の声。
もうすぐ、夜が明けます。
「ここは…一体どこなの?」
ヤマトくんはずっと気になっていたことを尋ねました。
「…罪を犯した人がその贖いのために落とされるところだべ」
少し躊躇ってから、茨男は口を開きました。
「ツミヲオカシタ?」
「誰かに意地悪をしたり、嫌な気持ちにさせたりすること…」
「僕は!意地悪なんて…して…な…ぃ………っ」
食ってかかるように否定したヤマトくんでしたが、ふと何かを思い出したように、尻窄まりに声のトーンも下がっていき、俯いて、そのまま黙りこんでしました。
すると、茨男は側の岩に腰掛け、ゆっくり自分のことを語り始めました。
「おらも、昔はニンゲンだったんだ。
でも…約束破って、ここに落とされたんだべ」
「約束?」
ヤマトくんは、そぉっと顔を上げて、尋ねます。
「んーだ…約束っていうか、決まりだな。
おらの住んでたところではな、お休みの日には仕事をしちゃいけねぇ決まりだったんだ」
「…ふーん、いいじゃん。
お母さんはもっとお仕事をお休みしたいって、よく言ってるよ!」
クスリと笑って、茨男は続けます。
「そうだな。
でも、おらはお休みをせずに、働き続けた。
お休みの日は神様にお祈りすることになってたのに…。
その決まりを守らなかった。
おらの勝手だー!と思ってな…。
そして、ある日とうとうここに送られちまった…。
“そんなに仕事が好きなら、永遠に働いていれば良い”って言ってよ…」
「でも…それでも…」
納得のいかないヤマトくんに、彼は穏やかに頷きます。
「そう。
でも、おらが自分勝手をしたことは、罪だべ。
一人で生きてるわけでねぇんだから、もっと周りのことを考えねば、いけなかったんだ…」
そこまで言うと、茨男は腰をあげ、再び歩き始めます。
ヤマトくんは茨男の手を取り、じぃっと考えていました。
そして…
「…あのね…
僕も嫌なことしちゃった…。カナヘビに…」
すると、茨男はヤマトくんをじぃっと見つめてから、頷いて、優しくこう言いました。
「…そうかい。
もう贖いは終わりだから、きっとお家に帰れるべ。
井戸もすぐそこだ」
そう聞いて、赤くなった目を擦りながら、顔を上げたそのとき…
「あら、早かったのね、おかえりなさい。
それじゃあ、今度は私との約束も果たしてもらいましょうか」
嗄れていても、どこか気品の漂う女性の声。
もうすぐ、夜が明けます。
コメント
シマちゃん
ヤマトくんなら この状況も乗り越えられるよ‼️考えてみて
このまま終わるの?
ドキドキしながら読み進められました。読み終わったとき応援したくなって もう少し続くといいなと思いました❤️
シマちゃん
茨男さん ありがとう
ヤマトくん、頑張って!応援してる