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あかいトカゲのゆめ

おくとりょう

ひざっこぞう

「もうかえりたいよ…」

ヤマトくんはくら洞穴ほらあななかで、ひざかかえていていました。

カエルからはげられたものの、かえみちからず、らない場所ばしょ一人ひとりぼっち。
息切いきぎれがおさまると、途端とたん不安ふあんになってきたのでした。

かえりたいの?』

「うん…おじいちゃんにいたい…。

 …………。

 え?」

一人ひとりぼっちのハズなのに、突然とつぜんはなしかけられて、ヤマトくんはびっくり。

キョロキョロしていると、こえはなんとヤマトくんのおひざから。
しかも、膝小僧ひざこぞうから…。

『じゃあ、井戸いどさがして』

いままで、自分じぶんひざとおしゃべりなんてしたことがなかったものですから、ヤマトくんは吃驚仰天びっくりぎょうてん
こえませんでした。

『さっきのぞいてた水溜みずたまり。あれが井戸いどなんだよ。
あの井戸いどかえみち!』

膝小僧ひざこぞうはそれだけうと、それっきり。
ピタッとだまってしまいました。

チョンチョンつついてみても、パチパチたたいてみても、やさしくでながらはなしかけてみても、もうなにわないいつもどおりの膝小僧ひざこぞうでした。




膝小僧ひざこぞう助言じょげんいて、あの井戸いどまでもどることにしたヤマトくん。

でも…。

「もうカエルは何処どことおくにってくれたかな…」

カエルにつからないか不安ふあんで、洞穴ほらあなからそとられません。

とはっても、くら洞窟どうくつなかこわくて、もうこれ以上いじょうおくにはきたくありません。

それに…。
(こんなにおおきな洞窟どうくつ
きっと、なにおおきな動物どうくつ間違まちがいない)

かんがえて、ヤマトくんはドキドキしていました。
すると、なにやらおぼえのあるうたそとからこえてきました。

♪びよよ〜ん♪びよよよ〜ん♪
 びるか、ねるか♪
♪びよよよ〜ん♪びよん♪
 ねるか、びるか♪
♪びよよよよ〜ん♪びよよん♪

さっきのあのウサギたちです。
じゃいながら、けてきます。

見覚みおぼえのあるひと…ではありませんが、見覚みおぼえのある姿すがたて、ヤマトくんはうれしくなりました。

おもってそとようか、まよっていたそのとき、うしろにおおきなかげが…。

それは、ヤマトくんのおじいさんくらいの大きさのあるくろ大蟹オオガニでした。
やっぱりこの洞窟どうくつだったのです。

ヤマトくんは、おしっこがチビってしまいそうなくらいびっくりして、いきおいよくしました。

そして、
「ね、ねぇぇーっ!
ぼくも!ぼく一緒いっしょれてってぇー!」
ウサギたちれにかってけていきました。

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