あかいトカゲのゆめ
何で抱える?
広くて岩ばかりの荒野を、ヒキガエルはのしのしと歩いています。
「…あら。
それじゃあ、トカゲのしっぽが切れたところは見れなかったのね」
ヤマトくんは、ヒキガエルの背中で揺られながら、おじいちゃんに叱られたことへの不満を溢していました。
「カナヘビ!
ボクが捕まえたのは、カナヘビ。
でも、おじいちゃんだって、怒らなくても良いじゃんね?」
「…そうかしら」
カエルは振り向かないまま、ピタっと立ち止まりました。
「そうだよ!
だって、『実験』なんだよ!『勉強』なの!
しっぽ切るだけじゃ死なないもん!」
そして、
「そう…ね。
そうかもしれないわね」
と呟きました。
そして、近くにいた何かをパクっ!
ゴクンっと飲み込むと、再びのしのしと歩き始めました。
カエルは、ヤマトくんを背中に乗せているのに、重さなんて感じてないような平気な顔をして、ずんずんぐんぐん進みます。
「ボクを乗せてるから、ジャンプしないの?」
背中からヤマトくんが尋ねました。
雨の日に庭でよく見るアマガエルのように、彼女がぴょんぴょこ跳ねないことを、不思議に思っていたのです。
くすっと笑って、カエルは応えます。
「あなたはそんなに重たくないわよ。
もっとたくさん食べて、大きくならなくちゃ」
少しムッとしたヤマトくんは、
「ちっちゃくないもん!」
と、カエルの背中にしがみついて、体を前後に大きく揺らそうとしました。
しかし、カエルは びくともしません。
ヤマトくんなんて関係ないように、のしのし進みます。
「たくさん食べて、いっぱい運動して、いろいろ勉強するのよ」
前を向いたまま、そう優しく言った後、ヤマトくんには聴こえないくらいの小さな声で、ぼそりと付け加えました。
「そうしたら、私みたいには大きくなれるわ」
ずぅーっと続く、でこぼこ地面。
見渡す限りの真っ平らなわけではなく、ところどころに小高い丘もありました。
カエルはそのひとつの一番高いところに辿り着くと、ぴたっと足を止めました。
そこには大きな水たまりがありました。
水たまりは、夜空を映していて真っ暗。
まるで何処までも続く深い穴のようです。
ヤマトくんは、思わずブルブルっと震えて、カエルの背中にギュッとしがみつきました。
「さぁ、ここからお家へ帰れるよ」
黙って水たまりを覗き込んでいたカエルは、ニッコリ笑って言います。
「だからね、悪いけど…
お駄賃にあなたの皮を…姿をいただこうかしら」
「…あら。
それじゃあ、トカゲのしっぽが切れたところは見れなかったのね」
ヤマトくんは、ヒキガエルの背中で揺られながら、おじいちゃんに叱られたことへの不満を溢していました。
「カナヘビ!
ボクが捕まえたのは、カナヘビ。
でも、おじいちゃんだって、怒らなくても良いじゃんね?」
「…そうかしら」
カエルは振り向かないまま、ピタっと立ち止まりました。
「そうだよ!
だって、『実験』なんだよ!『勉強』なの!
しっぽ切るだけじゃ死なないもん!」
そして、
「そう…ね。
そうかもしれないわね」
と呟きました。
そして、近くにいた何かをパクっ!
ゴクンっと飲み込むと、再びのしのしと歩き始めました。
カエルは、ヤマトくんを背中に乗せているのに、重さなんて感じてないような平気な顔をして、ずんずんぐんぐん進みます。
「ボクを乗せてるから、ジャンプしないの?」
背中からヤマトくんが尋ねました。
雨の日に庭でよく見るアマガエルのように、彼女がぴょんぴょこ跳ねないことを、不思議に思っていたのです。
くすっと笑って、カエルは応えます。
「あなたはそんなに重たくないわよ。
もっとたくさん食べて、大きくならなくちゃ」
少しムッとしたヤマトくんは、
「ちっちゃくないもん!」
と、カエルの背中にしがみついて、体を前後に大きく揺らそうとしました。
しかし、カエルは びくともしません。
ヤマトくんなんて関係ないように、のしのし進みます。
「たくさん食べて、いっぱい運動して、いろいろ勉強するのよ」
前を向いたまま、そう優しく言った後、ヤマトくんには聴こえないくらいの小さな声で、ぼそりと付け加えました。
「そうしたら、私みたいには大きくなれるわ」
ずぅーっと続く、でこぼこ地面。
見渡す限りの真っ平らなわけではなく、ところどころに小高い丘もありました。
カエルはそのひとつの一番高いところに辿り着くと、ぴたっと足を止めました。
そこには大きな水たまりがありました。
水たまりは、夜空を映していて真っ暗。
まるで何処までも続く深い穴のようです。
ヤマトくんは、思わずブルブルっと震えて、カエルの背中にギュッとしがみつきました。
「さぁ、ここからお家へ帰れるよ」
黙って水たまりを覗き込んでいたカエルは、ニッコリ笑って言います。
「だからね、悪いけど…
お駄賃にあなたの皮を…姿をいただこうかしら」
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