あかいトカゲのゆめ

おくとりょう

いばらおとこ

「おめえさん、ヒトのか?」

そのくろおおきなかげは、ただねました。
どこまでふくで、どこからはだなのか。
わからないくらいに全身ぜんしんくろ。 
くろなので、どんなかおをしているのかも、さっぱりわかりません。
そして、背中せなかにはおおきなはこ背負せおっていました。
そのはこはヤマトくんが入ってしまいそうなくらいにおおきく、なにやらトゲトゲしたものがいっぱいはいっているようにえます。
そして、そのトゲトゲもはこも、かげおなじでくろでした。

もうヤマトくんはこわいやら、びっくりしたやら…。
わけがわからなくて、ただただお目々めめをぱちくりぱちくり……。


くろかげは、もう一度いちど今度こんどはゆっくりやさしく、たずねます。

うえからっこちてきたべ?
っこちてくるのは、だいたいニンゲンだ。
おめえさんもニンゲンだべ?」

ヤマトくんは、なんとかちいさくうなずきました。

そのとき、ぴゅーっとうえからなにちてきました。
ちょうどヤマトくんとおなじくらいのおおきさです。
どしんっと地面じめんちてしまうまえに、おおきなカニのようなかげが、パッとハサミでキャッチしました。

ヤマトくんをかかえたかげ微笑ほほえむようにやさしくうなずくと、
「ここはあぶねぇから、はなれるべ」
と、ヤマトくんをかかえたまま、あるはじめました。

たくさんのほしかがやくそらした砂漠さばくのように一面いちめんなにもない場所ばしょをもくもくとすすみます。
足元あしもとは、ゴツゴツしたいわばかりで、かげある振動しんどうがヤマトくんにひびきました。

「お姫様ひめさまっこはヤダ」

気持きもちがいてきたのか、ようやくヤマトくんがくちひらきました。

「おっと失礼しつれいした。
ひめじゃなくて、王子様おうじさまだったか?」

かげうれしそうにからだらしながら、おどけて、ヤマトくんをひょいっとち上げました。

「ちょうどいまうまがいなくてな。
これで勘弁かんべんしとくれ、王子様おうじさま

ヤマトくんを肩車かたぐるまして、ヒヒーンッとふざけるかげ
クスクスわらいながら、あたまにしがみつくヤマトくんをせて、星空ほしぞららされる岩場いわばをノシノシとあるいていきます。




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