メガネと元借金取りと6匹のこやぎ

かのちゃん

11 父と母、現れる!

「あれから、あの子はちゃんとやれてるのかしら〜?」

「下の子は、まだ赤ん坊って言ってたけど……。」

「出産経験のない子だから……。」

「お!ここか!」

「久しぶりね……。」

ガラッ。

「さーて、洗濯もん、干すで〜。いい洗濯日和やなぁ〜。」

「……!?」

「……あ。ど、どーもぉー。ご無沙汰してますぅ〜。」

「あ……あなたねぇ〜!」

ガチャッ。
お、お母さん!お父さんも来てたの!?

「陽子!これ、どういうつもりなの!?6人の子供の次は、借金取りも預けてるの!?」

ああ!これには深ーい事情がぁ……。





お父さんは、お母さんと違って、すぐカズさんのことを受け入れた。
優しくて、のほほんとしてて……。
すっかり子供達と馴染んじゃって。

「いやあ。いきなり6人の孫を持ってしまったなぁ。なあ、母さん!」

「……。」

お母さん、無言で紅茶を飲んでるし……。
カズさんはいつもと違って、静かだし。

「……本当に、借金取り辞めて、ここに来たのね?」

「さっきからそう言ってるんじゃないですか、お……。」

お母さんから、怖い目線を向けられて、カズさんは目を逸らしちゃって。

「……はい。」

「ちゃんと、晴くんの世話と、洗濯と掃除、やってるじゃない。」

「ちゃ、ちゃんとやってますぅ〜。」

やり取りが、嫁姑みたい……。

「でも、最初はおむつのやり方が、全然できてなかったんだよぉ。」

コラ!輝っ!

「!?」

に、睨んでる……。

「あ……アハハ!オムツ替えたの、初めてやったんでぇ。」

どうしよう……。
雰囲気がまるで、昼ドラみたいになってるよ。
これが、嫁姑の関係か……!
カズさん、男だけど。
どーしたらいい??お父さん!

「……。」

お父さんもなにも言えないみたい!
どうする?陽子!この重たい雰囲気を、どうしたら……あ!

「せ、せっかくだしぃ、お昼にしない?みんなでワイワイ話しながら、ご飯食べたいし!出前取るけど……みんな!何食べたい?」

「俺、寿司〜!」

「ピザ食べた〜い!」

寿司とピザね!陽菜、陽太!ジュース買いに行こっ。

「う、うん……。」

よし!出前取ろ〜!

「イェーイ!」

「なんか、楽しみ会みたいだな。」

「……そうね。」






母は鬼嫁っていうか……昔っから超厳しい。
門限は夜の7時までで、それを守れなかったら、ご飯なしだったし。
お姉ちゃんと喧嘩したら、2人とも外に出されるし。
父が頭が上がらないほど、うちの大黒柱は父っていうより、母だったなぁ。

「あ!輝!サーモン食べるなっ!」

「なんで!」

「それ、あたしが食べたかったやつ!」

「あー!奈留が先に取ったピザ!」

「いや!俺が早かった!」

もー!あんた達、喧嘩しないの!

「ハハッ。騒がしくていいな。」

お父さんが、ビールを飲んだ。
ごめんね。いつもこんな感じなの。

「コ……コラッ。け、喧嘩はそのくらいにしいや!」

カズさん、お母さんの前で、緊張して注意してる!

「カズ、なんか今日は変。」

「どーしたの?」

「い、いや……なんでも……はい。」

「奈留ちゃん。女の子だから、お行儀よく食べなさいっ。輝くん。肘を付きながら食べません!由奈ちゃん。お食事中は、スマホを見ない!」

お母さん、本格的に始動した……!

「あなた、周り見てる?このくらい注意してやらないと、ちゃんといい子にはなれないわよ。」

は……はい。

「そ……そうですね。」

「だから、あなたには子育ては無理って言ったのよ。はあ……男の人と真面目に付き合ったことも無いのに……。」

すると、カズさんは立ち上がって。


「娘さんは!ちゃんと子育て頑張ってますっ!朝早くからご飯作って、子供達を学校に見送った後、子供幼稚園に送って、仕事してますっ!忙しい時は、俺が奈留を迎えに来て、陽菜と由奈がご飯作って、帰ってきたらゆっくりできるよう、俺達もなるべく娘さん任せにやらせないようにしてますっ!仕事と子育て、両立してます!そんな娘さんの姿を見てないのに、あんたが、無理なんて言うな!」

カズさん……。

「……失礼しました。」

カズさんは、座った。

「……悪かったわね。口うるさくて。」

お母さん、寿司を頬張ってる。
フフッ。よかった。

続く!

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