メガネと元借金取りと6匹のこやぎ

かのちゃん

06 陽子VS薫

「ただいまぁ。」

突然帰ってきた、私の親友、薫。
赤の肩出しTシャツを着て、めっちゃ露出度が高いジーンズの半ズボンを着て、イヤリングを付けて、真っ赤な口紅を付けた、金髪のロングヘアーの女性。
今の状況を見て、固まってる。

「えっ!?これ、どゆこと?」

「あんたが錦薫さんですねぇ。」

「誰よ。」

「初めまして。如月和弘です〜。あんたの借金の取り立てに来ましたぁ。」

薫、びっくりするかと思ったら、ニヤリと笑って、バッグからパンパンになった封筒を出し、
和弘さんに渡した。

「はい、170万♪」

和弘さんは、封筒を開け、確認した。

「……170万、確かにもらったでぇ。」

「それじゃあ、あたしは出るね〜♡」

薫。どこ行くの?

「決まってんでしょ?彼のところよ!」

彼って……。

「そ!新しい彼氏♪」

子供達はどーするの?

「子供……?必要ないわ。」

えっ……。

「だってもう、私にとって、子供は邪魔なオモチャみたいなもんだもん。男ができたら、すぐ片付ける。男に振られたら、また出す。その繰り返しよ。」

子供達、ずっと待ってたんだよ!?
お母さんのこと、昨日から!

「待ってた?馬鹿馬鹿しい。気持ち悪い。」

気持ち悪い……?

「お母さん……。」

奈留ちゃんが、目をウルウルされてる。

「薫ちゃん。じゃあ、あのお金はどうやって稼いだの?」

「男に貢いだに決まってんでしょ?男達はみーんな、あたしのためにお金くれるの!」

ひどい……。

「ん?」

「そんなの、ひどすぎるよ!子供達を裏切って、男のところに行ってたなんて!子供より、自分のことが大事なんだね!」

「そうよ!旦那が生きてた頃、子育てを一緒に頑張ってきた!けど、事故で死んじゃって、子育てする意味が一瞬でなくなった!だから、子供達を残して、ギャンブルやホストでお金を腹いっぱい使った!もうあたしには、子供は必要ない!子供はゴミ当然よ!」

私は、薫のところに行って、思いっきりビンタした。

「!?」

「やるねぇ。」

「……あんた、高校生の時から、変わったね。大切なものを捨てて、何が楽しいの?残された子供達の気持ちをわかってあげなよ!」

「ああん!?独身のお前に、言われたくねぇんだよ!」

「あんたは最悪だよ。」

「陽菜……。」

「クソ以下の母親だよ。いつも男とイチャイチャするため、私達を残して出ていく。あげくの果てに借金して逃げて、また私達を残していく。お父さんが亡くなった後、私達はもう、あんたのこと、『お母さん』と呼ぶ筋合いはないから。」

「あんたまで、何一体、何を言って……!」

「奥さん。子供達の目ェ、ちゃんと見てみ?あんたのこと、怖い目で見とるで。獣の目や。こんな目ェしとるちゅーことは、あんたのことを母親とは思ってへんことや。男とギャンブルと借金で、たったの6人の子供を残して行くなんて、最低な母親や。まだ赤ん坊の子もいるのに。こんな借金をする人の中で、あんたが初めてや。自分のことしか考えない、愚かな人間。」

「借金の取り立て業者が、何偉そうに……。」

「薫ちゃん。あなたは母親失格よ。」

「……!?」

「薫。最後に一つだけ……。あんたとは絶交する。子供達の母親は、私がなる。二度と、私達の前に現れないで。」

「……ええ!もうあんたとは絶交よ!勝手にすれば!?」

薫は怒りながら、家を出て行っちゃった。

「おばちゃん……。」

「大丈夫だよ。私が、今日からあなた達のお母さんだからね。」

「ゔぅ……うわ〜ん!」

子供達は、泣きながら、私に抱きついた。

「……じゃ、俺はこれで失礼しますぅ〜。」

「あんたも、二度と来ないでね。」

「あ……はい。」

和弘さんも、さっさと家を出ていった。





バシッ!


「『……あんた、高校生の時から、変わったね。大切なものを捨てて、何が楽しいの?残された子供達の気持ちをわかってあげなよ!』」


(あの女、おもろいなぁ。)

続く!

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