メガネと元借金取りと6匹のこやぎ

かのちゃん

05 帰ってきた親友

私は、お母さんに薫のことを話した。

「……はあ。借金170万を抱えて、子供を置いて出て行くなんてねぇ。で、あなたは娘とどんな関係なの?」

お、お母さん!

「神澤金融会社の如月和弘です。娘さんとは、なんの関係もありません。」

「あなた、借金取り!?」

薫の借金を取り立てに来たの。

「で、なんで娘を連れて行こうとしたの?」

「それはぁ……。」

ごめんなさい!お母さん!私が悪いの!

「えっ?」

「私が……この人と1週間経っても、薫が帰ってこなかったら、私を売らせてって言ったの……。」

「はあ!?」

ごめん!

「ごめんって済む話じゃないでしょ!?なに考えてんの!もう……昔から陽子は正義感が強すぎて、自分を犠牲にする子なんだからぁ。」

「ほんっとびっくりだよ。自分から売らせてくれって言うなんて。」

由奈ちゃんが、スマホをいじりながら言った。

「おばちゃん!陽子さんは、僕達を守るために言ったんだよ!」

「このおじさんに連れていかれそうになった陽菜姉を助けたんだよ!」

輝くんと奈留ちゃんが、お母さんを説得してる。

「ホンマ、すみません……。」

「……わかったわ。あなたもあなたよ!女の子のカラダで、借金をチャラにするなんて!」

「はい……。」

「ところで……薫ちゃんは、家族と縁を切ってるから……父親側のおばあちゃんとおじいちゃんは?」

「2人とも、病気で亡くなりました。」
 
「そうなの……もし、薫ちゃんが二度と帰ってこなかったら、どうするの?親戚がいないし。」

わ……私がこの子達の母親になるよ!

「えっ!?」

「ちょっと!母親経験がないあなたに、6人の子供を育てることできないでしょ!?」

この子達がもし、施設に行って、家族が別々になったら、どうすんの?

「おばさんがいなくても、陽菜姉がいるよ。」

本当にそう?

「陽菜ちゃん任せだと、あなた達は幸せになれる?子供達だけじゃ、生活できないでしょ?」

「……。」

だからお母さん。もしそうなったら、私がこの子達の母親になるから、ねっ。

「……困った子ね。」

と、お母さんが呆れた、その時!

「ただいまぁ。」

!?その声は……。

「お母さんが帰ってきたぁ!」

続く!

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