ブルー・ウルフ

立三 夕愛

21


朝のテラスでご飯を食べていました

「今日の夜あいているかな?」

「ああ」

「じゃあごはん食べに行かない?」

「いいよ」

「ありがとう。じゃあ18時に玄関に集合ね」

「OK」

アオとジンは目を合わせてうなづきました


夜、レストランに着きました

「いい所だな」

「うん。最近はやっているらしいわ」

「へえ」

「すごく広くて綺麗ね。
それにプライバシーを守ってくれるみたいよ」

「ふーん。
ジンだろう?」

「えへへ、ばれたか」

「アハハ」

「さすがジンさん」

「さすがジンだな」


美味しいごはんで、あっという間に時間は過ぎていきました

「帰りに寄り道をしてもいい?」

「ああ」

いつもの海に着くと浜辺に歩いて行きました

ふたりの後ろ姿をリュウとタイガーとシシが見送りました

「なあ、アオさんがそわそわするのは分かるけれど、なんでロウさんまでそわそわしているんだよ」

「本当な」

「フッ」

『アハハハ』


浜辺には波の音がながれていました

「話したいことがあるの」

「うん」

息をはきました

「ロウが好きなの」

息をのむ音がしました

「ロウのことが好きです。
ロウのことが大好きです。
凄く、好きです」

遠くで花火の音がしています

「ロウ?」

ロウに顔を向けると、両方の手で顔を覆っていました

「ロウ」

「待って」

「うん」

「はあ」

息をはきだして立ち上がると、「ちょっと待っていて」と言って走って行ってしまいました

「え」


暗い浜辺に姿が消えてから数分経ったころ、戻ってきました

「悪い」

「ううん」

「あのさ、アオの好きっていうのはさ、前と同じ好きとかじゃないよね?」

「うん」

「本当に?」

「うん」

「本当に俺のことが好きなの?」

「うん」

「俺とずっと一緒にいたい好きなの?」

「うん」

「俺に何をされてもいい好きなの?」

「うん。
え?」

「そっかあ。
はあ、そっかあ」

「ちょっと待って。最後のは何?」

「アオは俺に何をされてもいいなんて思っているのか」

「いや」

「どうしよう、嬉しい。嬉しすぎる」

「おーい」

しばらくすると落ち着いたロウがアオを見ました

「とりあえず帰ろう。早く帰ろう」

ロウは立ち上がりました

「ちょっと待って」

アオも立ち上がりロウの腕を掴みました

「ん?」

「ロウは?ロウの気持ちを聞きたい」

「そうだよね。でも冷えてきたから帰ってから話そう」

「分かった」

春の終わりの夜の海には、涼しい風がながれていました


車に近づくと、リュウとタイガーとシシが、にやついていました

「なんだよ。帰るぞ」

「はい」

「はい」

「どうぞ」

シシがドアを開けたのでロウが乗り込み、続いてアオも乗り込むさいに「よかったですね」と言われました

そんなシシを見てアオは「うーん」と言いながら首をかしげました

そんなアオを見たシシとリュウとタイガーも首をかしげました


家に着くと玄関には、にやついたジンがいました

「なんだよ」

「お帰りなさいませ」

「ただいま」

「ただいま」

先に入ったロウに続いてアオも入ろうとする際に「おめでとうございます」と言われました

そんなジンを見てアオは「うーん」と言いながら首をかしげました

そんなアオを見たジンはシシたちに顔を向けると、三人も首をかしげていました


お風呂を済ませてから、ベッドの上に座りました

「もっとこっちにおいでよ」

「ここで大丈夫」

「ちっ」

「それじゃあロウの気持ちを教えてくれる?」

「ああ。
教えるも何も、俺の気持ちは2年前と変わらないよ。
2年前よりも気持ちは溢れているけれどね。
アオが好きだよ。きみを愛している」

「え?」

「愛しているよ、アオ」

アオは固まってしまいました

そんなアオに近づいたロウは顔を近づけると、「好きだよ」と言いました

はっとしたアオは、体を引いて顔を下に向けました

「アオ」

「待って」

「うん」

少しずつ後ろに下がっていってベッドの角に来ると、そのまま向きを変えて後ろを向いてしまいました

少ししてから立ち上がると、「ちょっと待っていて」と言って部屋から出て行きました


暗い廊下に姿が消えてから数分後に戻ってきました

目線を合わせないままソファに座りました

「アオ」

ロウは立ち上がり横に座りました

「もしかして重かった?
愛している、なんて言ったから。
違うんだよ、つい本音がでてしまったけれど。気にしないで」

「え?」

「重くとる必要はないんだ。
もし気になるならさっきのは無しにしよう。もう一度やり直してもいい?」

「え」

「えっと」

「待って。だめよ、無しにしないで。
ごめんね。凄く嬉しくて、頭の中が凄いことになっていたの。
さっきの気持ちは本当?」

「ああ。もちろんだよ」

「ありがとう。
私もロウが大好きよ」

ふたりは笑い合いました


「ベッドに行こう」

「うん」

アオがベッドに横になると、ロウが覆い被さりキスをしました

少しするとロウの胸を少し押しました

「ちょっと待って」

「ん?」

「ドキドキしすぎて今日は無理だから」

「ん」

「もう寝ましょう」

「ん」

「えっと、じゃあおやすみなさい」

「ん」

「ロウ離れて」

「ん」

「ロウ」

「それは無理だよ。
それに俺もドキドキしているから、気にしなくて大丈夫だよ」

「え」

アオの手を自分の胸に置きました

「あ」

「ね。
俺も触っていい?」

「変態」

「アハハハ」


部屋の電気が消えました

「アオ、好きだよ」

「ロウ、好きよ」

空には、夜虹がでていました


                                    完

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