ブルー・ウルフ

立三 夕愛

14


アオが廊下を歩いていました

「あれ?ドアが開いている」

なかを覗くと知らない部屋でした

「どちらさまですか」

「え?」

声がしたほうに顔を向けると、小さい男の子がいました

「こんにちは」

「こんにちは」

しばらく見つめ合いました


「お姉さん、お客様?」

「え?」

「誰かに会いに来たの?」

「ううん。ここに住んでいるの」

「そうなの?」

「うん。アオって言います」

「へえ。僕はレオです」

「レオくん。
レオくんはなにをしていたの?」

「僕はこの部屋に住んでいるんだよ」

「そうなの?」

「うん」

「知らなかった。今まで一度も会わなかったよね」

「そうだね。体が弱くて、ほとんどこの部屋で過ごしているから」

「体が弱いの?」

「うん。だからいつもここで本を読んで過ごしているんだ」

レオが指をさしている場所を見ると、壁一面が本棚になっていました

「凄い」

「たくさんあるんだ」

本棚には絵本や小説などがたくさん並んでいました

「こんなにたくさんあったら、ずっと読んでいたくなっちゃうよ」

「アハハ。
よかったら好きに読んでいいよ」

「いいの?」

「うん」

アオはしばらく眺めたあと、一冊を手に取りました

「ここで読んでもいい?」

「うん」

いくつかあるうちのソファに座って読み始めました

レオも一冊を手に取ると別のソファに座って読み始めました


しばらくすると、レオが紅茶を持ってきてくれました

「ありがとう」

「えへへ」

紅茶を飲みながら本を読みました

レオもオレンジジュースを飲みながら本を読みました

半分くらいまで読んで、ソファにもたれました

「そろそろ夕ごはんの時間だわ」

「本当だ」

「リビングに行こう」

「僕は違うメニューだから、ここで食べることになっているんだ」

「そうなの?」

「うん。それに僕がここに住んでいることは、誰にも言っちゃいけないんだ。
だから僕に会ったことは、誰にも言わないでほしいんだ」

「え?」

「アオ、誰にも言わないって約束してくれる?」

「分かったわ」

「本当に?」

「約束します」

「ありがとう。
僕のことはレオって呼んでもいいぜ」

「フフフ。
分かったわレオ」

アオは部屋を出て行きました

レオは口角が上がっていました


次の日から、一緒に本を読むようになりました

「特製ミックスジュースが手に入ったのですよ」

「おお」

さっそく飲み始めました

「美味しい。アオ、でかしたぞ」

「おそれいります」

次の日も本を読んでいました

「今日はお菓子を持ってきたぞ」

「これ高級店のだよ」

「そうなのか」

「そうなのですよ。ここのクッキー食べてみたかったんだよね」

「えへへ」

「頂いてもよろしいでしょうか」

「おう、好きなだけ食べるがいい」

「ありがたき幸せ」

ふたりで美味しいクッキーを食べました

次の日も本を読んでいました

「そうだ、明日は漫画を持ってこようかな。
レオは漫画は読むの?」

「うん」

「じゃあ、明日はおすすめの漫画を持ってくるね」

「おう」

次の日、漫画を5冊ほど持ってきました

「少女漫画」

「読んだことないよね」

「うん」

「学園もので喧嘩上等なかんじでギャグ漫画なの」

「ん?」

「とりあえず読んでみて」

「おう。
僕もおすすめの漫画を用意したよ」

「ありがとう」

「これはミステリーなんだ。事件を解決していく話だよ」

「へえ」

ふたりは読み始めました

「おもしろかった」

「気に入った?」

「うん」

「じゃあ、続きも持ってくるね」

「おう」

「これもおもしろいよ。事件ものは最高だわさ」

レオは鼻で笑いました

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