ブルー・ウルフ

立三 夕愛

13


玄関にリュウとアオがいました

「アオさん、こんにちは」

「リュウさん、こんにちは」

「どこかへお出かけですか」

「ちょっと散歩にでも行こうかなって」

「そうですか。
今からブラックとパンサーと散歩に行くのですが、一緒に行きませんか」

「行きます」

玄関を出て行きました

「いつも散歩に行っていたんですか」

「いつもは敷地内で遊ばせているのですが、今の時期は外に行くのが恒例なんです」

「へえ」

「近くに公園があるのでそこへ行こうと思います」

「了解です」

10分ほど歩くと公園へ着きました

「広そうですね」

「そうなんです、散歩コースに最適ですよ。
池もあるのですが、たまに釣りをしている人たちも見かけます。
それにこの時期に来るのには訳があるんです」

「ん?」

少し歩いているとパンサーが「ワンワン」と走り始めました

追いかけて行くと、きれいなピンク色が見えてきました

「すごい、桜ですか?」

「そうです。綺麗ですよね」

「めちゃくちゃ綺麗です」

「アハハ」

吹き抜けに開けた芝生を囲むように、桜の木が何本も立っていました

「これは毎年来たくなります」

「ブラックとパンサーも桜が好きみたいで、あんな感じになってしまいます」

「はしゃいでいますね」

「かわいいやつら」

「アハハ」

アオはブラックたちと追いかけごっこをして遊びました

リュウはトレーニングをしたり、芝生に寝転がったりしていました


1時間ほど過ぎて帰ることにしました

「スマホを持ってくるんだった」

「まだしばらくは咲いていますよ」

「そっかあ」

「しばらくは散歩に来るので、時間が合えばまた一緒に来ましょう」

「はい、来ます」


次の日の夜、ロウとアオはベッドにいました

「何を見ているの」

「ほら」

スマホを見せました

「桜?」

「そう」

「最近咲いているのを見たな」

「すごく綺麗だった」

「どこで撮ったの」

「近くの公園だよ。パンサーたちと見に行ったの」

「そうなの?」

「うん。毎年桜を見に、散歩に行くのが恒例なんだって」

「そうなの?」

「ブラックとパンサーがはしゃいでいたよ」

「へえ」

「しばらくは行くみたいだよ」

「俺も行ってみようかな。明日も行くかな?」

「行くんじゃない?」

「じゃあアオも一緒に行こう」

「OK」


次の日、玄関にはリュウとブラックとパンサーとアオとロウとジンとタイガーがいました

「皆どうした」

「皆も桜を見たいんだって」

「ふーん」

リュウはアオの返事を聞くと目を細めて皆を見ました


「ジンは荷物が大きいな」

「はい。せっかくなので外でお昼を食べようと思いまして。
フォックスが皆のお弁当を作ってくれました」

「お、いいな」

「さすがっす」

「お花見どす」

公園へ向かいました

「ロウさんは変装がうまいですね」

「全然ロウには見えない」

「ジンがやってくれた」

「テーマは、IT系の仕事をしています」

「本当だ」

「眼鏡がいいかんじだよ」

「シンプルなのもいいですね」

「でもプライベートでIDカードを下げている人は変ですよ」

「たしかに」

「アハハハ」


公園へ着きました

「凄いな」

「綺麗です」

「おお」

一面に桜の花が広がっていました


それぞれが好きに過ごしていました

タイガーとアオはブラックとパンサーと追いかけごっこをしていました

リュウはトレーニングをしていました

ロウとジンは桜を撮っていました

「近くにこんなに良い場所があったなんて知りませんでした」

「俺も」

「ところで先ほどから何を撮っているのですか」

「何が」

「見せてください」

「プライバシー」

「はあ。
どうせアオさんを撮っていたのでしょう。
ここに盗撮犯がいますよー」

「これはパンサーを撮っていたのだ」

スマホをジンに見せました

「パンサー、小っちゃ」

「遠近法だ」

「へえ」

目を細めてロウを見ました

「桜がきれいだなあ」

スマホを桜に向けました


しばらくしてからお昼ごはんを食べました

フォックスが作ったお弁当はとても豪華で、7段にもなっていました

「フォックスさんの料理は最高ですな」

「だな」

「外で食べると、いつもより美味しいです」

「ブラックとパンサーもがっついているぞ」

「アハハ」

「はあ、幸せ」

ゆっくり過ごしてから公園をあとにしました



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