ブルー・ウルフ

立三 夕愛

12


「あ、またかよ」

「リュウさん、つよ」

「いやいや」

「もう一回しようぜ」

アオとリュウとタイガーはスマホを触っていました

「アオー」

「ロウさんが呼んでいますよ」

「ロウー」

「お、いた。
皆で何をしているの」

「麻雀だよ」

「まあじゃん?」

「そう、ゲームだよ」

「ふーん。俺もやる」

「ロウさん、麻雀できましたっけ」

「できねえ」

「ハハ。じゃあ俺が教えますね」

「おう」

タイガーがロウにスマホゲームの麻雀を教えました

一通り説明を終えました

「まずは練習をしましょう。
CPUが相手になりますので、これで慣れていきましょう」

「CPU?」

「機械が相手をしてくれます」

「ふーん」

ゲームを始めました

「これってどうやったら上がれるんだ」

「ああ、これは役がないので上がれないんですよ。
さっきも言いましたが『役』を作らなければ上がれません。
そうですね。じゃあ、とりあえず鳴かないで『リーチ』という『役』で上がることから始めましょう」

「鳴かないで?」

「はい。ポンやチーをしないで」

「ポン?」

「ほかの人がだした牌を使わないで、自分の牌だけで揃えると『リーチ』ができるんです」

「なるほど。自分で揃えればいいんだな」

「そうです」

リュウとアオはいつの間にか、いなくなっていました


数時間後、ロウは「疲れたー」と言って、ソファにもたれました

「おもしろいですか」

「ああ。上がると気持ちいいな」

「そうなんですよ。いろんな役を覚えると、上がれるチャンスが増えるので楽しいですよ」

「役か」

「この『トレーニング』というところに役の種類が載っているので、ここで覚えることができます」

「へえ」

次の日から麻雀ばかりしていました


数日後、テラスにはロウとタイガーがいました

「ロウさん、調子はどうですか」

「ん?ほら」

差し出されたスマホを見ました

「お、初段じゃないですか。
はやいですね、十級から始まっているのに。かなりプレイしたんじゃないですか」

「まあな」

「もうルールは覚えたんですね」

「おう」

「じゃあ、実際にやってみませんか」

「実際に?」

「リュウが麻雀セットを持っているので、やってみませんか」

「やりたい」

「じゃあ、リュウが帰ってきたら聞いてみますね」

「おう、ありがとう」


その日の夜リビングには、ロウとタイガーとリュウとアオが麻雀卓を囲っていました

「じゃあ、とりあえずやりながら教えていきますね」

「おう」

ゲームを始めました

「ロウさん、何をやっているんですか」

「すごい。全部並べてくれるなんて」

スマホで麻雀卓を撮影していました

撮影が終わってからゲームを始めました

「やばいな。すごくおもしろいぞ」

「ハハ」

「リアル麻雀、最高だな」

「ですね」


しばらくすると、タイガーとリュウが目配せをしました

「そういえばアオさん、今日は何か持って帰っていましたが買い物ですか?」

「ああ、あれは貰ったの」

「何を貰ったんですか?」

「今日はホワイトデーだからね」

「ホワイトデー?」

ロウはアオを見ました

「そう。日本にはホワイトデーっていうのがあるの。
バレンタインデーにチョコレートを渡すと、ホワイトデーにはお返しでクッキーやキャンディーをくれるのよ」

「へえ」

「アオは、誰かにクッキーやキャンディーを貰ったの?」

「うん」

「あ、ロウさんの番ですよ」

「ああ」

麻雀を続けながら、ロウの眉間にはしわが寄っていました

リュウとタイガーの口角は上がっていました


「やった」

「お、倍満でた」

「やりますね」

「じゃあ、今日はこのへんで終わりますか」

「ああ」

「じゃあ今日の総合を発表します。
リュウが1位で、アオさんが2位、俺が3位です」

「はあ」

「ロウさんは、最初は調子がよかったんですけれどね」

「はあ」

「初めのほうは勝っていたわよね」

「はあ」

「初めてでここまでできたなら、充分だと思いますよ」

「はあ」

リュウとタイガーは顔を見合わせました

「そういえば、アオさんがお返しを貰ったのは誰なんですか?」

「ジャックだよ」

「ジャック?」

ロウは顔を上げてアオを見ました

「そう。
お世話になっているから毎年チョコレートを渡しているんだけれど、ホワイトデーのことを知ってからはお返しをくれるようになったのよね」

「それは、本当にお世話になっているから渡しているの?」

「うん、そうだよ」

「本当に?」

「うん。
ジャックにはたいへんお世話になっております、ですよ」

「ハハ。そっかあ」

ロウは笑顔でソファにもたれました


麻雀卓を片付けてから、ロウとアオはテラスでジンが持ってきてくれたコーヒーを飲んでいました

「はあ。コーヒーが体にしみるな」

「そうですな」

リビングではジンがリュウとタイガーに話しかけていました

「作戦勝ちですか?」

「なんのことですか」

「まったく。あまり弄ばないでください」

「ばれていましたか」

「かわいそうな、ロウさん」

「すみませんえん」

「はあ」

「こんど美味しいコーヒーを買ってきます」

「デザートもつけてあげてください」

「かしこまり」

「うす」



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