能力値リセット 〜ステータスALL1の無能から徐々に成り上がるつもりが、1ヶ月で俺TUEEに変貌しちゃいました!〜
フェアリーの嫉妬
「……すぴ〜。すぴぴぴ〜。すやすやすや〜」
「くそぅ、俺としたことが油断した……。まさか、少し目を離してる隙に、水着のまま眠っちまうなんてな」
そう、あれから俺とリリィは何とも言えない雰囲気に包まれ、お互いに無言のまま、静かに夕日を見つめていた。
あの状況で言葉を交わすのは、何となく無粋に思えたからだ。
きっと、リリィも同じような心地で口を閉じていたんだろうけど、そのせいで、気付かないうちに眠ってしまったらしい。
「うふふふふ〜。次はハヤト様が鬼ですよぉ。逃げる私を上手に捕まえられますかね〜?」
「相変わらず、呑気で幸せそうな寝言だなぁ。……というか、リリィの夢には、いつも俺が登場してるのか? どんだけ出たがりなんだよ、夢の中の俺」
思わず、リリィの夢の自分にツッコミを入れた俺。
すると、不思議なことに、リリィの頬が拗ねたように膨らんだ。
「……そういう事じゃないですぅ〜」
「……ん? もしかして、今のは俺に返事したのか?」
「……zzz」
「あははっ、そんな訳ないか。それはそうと、どうしたもんかな……。そろそろ拠点に戻らないと、モンスターの危険が増すんだよな。かと言って、リリィの寝起きの悪さは身に沁みてるし、今からじゃ日が暮れちまう」
そのまま、しばらく考え込んだものの、穏便な解決策は、一つしか浮かばなかった。
しかも、若干、恥ずかしくて、絵面的にも懸念が残る方法なんだよなぁ。
とはいえ、これ以上、悩んでいる時間が惜しいのも事実。
「……仕方ない、起きないリリィが悪いんだからな? 苦情は受け付けないぞ?」
そんな予防線を張った後、俺はリリィの頭と膝の裏に手を入れて、一気に持ち上げた。
いわゆる、お姫様だっこの体勢だ。
その際、思ったよりも体重が軽くて、勢いが残り、バランスを崩してしまったけど、何とか立て直す。
「ふぅ、危ない危ない。見た目からして華奢だとは思ってたけど、本当に細いな。無駄な肉が全く付いてない感じだ」
それでいて、不健康に感じない程度には脂肪が残っているようで、女性特有の柔らかい感触が腕に伝わってくる!
これぞ、まさに完璧な肉体美と言えるだろう!
…………我ながらキモいな、俺。
ただでさえ意識のない水着の女の子を抱きかかえるという犯罪的な絵面なのに、余計に変態度が増した気がする。
「……って、痛っ!? 何だよ、起きたのかフェアリー。それはそうと、人の髪をぐいぐい引っ張るな。この歳で禿げたら、どうしてくれるんだ」
頭の上のフェアリーを指先でつついて、文句を言ったものの、彼女は不機嫌そうにプイッと顔を背けてしまう。
いったい、どうしたと言うんだ?
「ん〜? フェアリーさんったら、もしかして嫉妬ですか〜?」
「ちょ、リリィ!?」
なんつうタイミングで煽ってくれてんの!?
本当は起きてるだろ!
「…………はぅっ!?」
「って、おい、フェアリー! どこ行くんだ!?」
リリィの挑発にまんまと乗ったフェアリーは、リリィに向かって体当たりをかまし、そのまま森の奥へ飛んで行った。
俺は、すぐに後を追おうとしたけど、リリィを抱えていて上手く走れない。
「も〜、そんなに怒らなくても良いじゃないですか……。分かりましたよ、フェアリーさんも鬼ごっこがしたかったんですよね? 次は私が鬼で良いですから、フェアリーさんは逃げても良いですよ〜」
「嫉妬って鬼ごっこの話かよ! つーか、逃げられたら困るんだよ、必死に追いかけてんだからさ!」
確かに意識は無いはずなのに、微妙に現実とリンクしてる寝言を呟くリリィ。
これも一種の才能なのかと、どうでも良い疑問が頭に浮かぶが、すぐに思考を切り替える。
そして俺は、何とかリリィを叩き起こして着替えさせ、フェアリーの後を追いかけたのだった。
「くそぅ、俺としたことが油断した……。まさか、少し目を離してる隙に、水着のまま眠っちまうなんてな」
そう、あれから俺とリリィは何とも言えない雰囲気に包まれ、お互いに無言のまま、静かに夕日を見つめていた。
あの状況で言葉を交わすのは、何となく無粋に思えたからだ。
きっと、リリィも同じような心地で口を閉じていたんだろうけど、そのせいで、気付かないうちに眠ってしまったらしい。
「うふふふふ〜。次はハヤト様が鬼ですよぉ。逃げる私を上手に捕まえられますかね〜?」
「相変わらず、呑気で幸せそうな寝言だなぁ。……というか、リリィの夢には、いつも俺が登場してるのか? どんだけ出たがりなんだよ、夢の中の俺」
思わず、リリィの夢の自分にツッコミを入れた俺。
すると、不思議なことに、リリィの頬が拗ねたように膨らんだ。
「……そういう事じゃないですぅ〜」
「……ん? もしかして、今のは俺に返事したのか?」
「……zzz」
「あははっ、そんな訳ないか。それはそうと、どうしたもんかな……。そろそろ拠点に戻らないと、モンスターの危険が増すんだよな。かと言って、リリィの寝起きの悪さは身に沁みてるし、今からじゃ日が暮れちまう」
そのまま、しばらく考え込んだものの、穏便な解決策は、一つしか浮かばなかった。
しかも、若干、恥ずかしくて、絵面的にも懸念が残る方法なんだよなぁ。
とはいえ、これ以上、悩んでいる時間が惜しいのも事実。
「……仕方ない、起きないリリィが悪いんだからな? 苦情は受け付けないぞ?」
そんな予防線を張った後、俺はリリィの頭と膝の裏に手を入れて、一気に持ち上げた。
いわゆる、お姫様だっこの体勢だ。
その際、思ったよりも体重が軽くて、勢いが残り、バランスを崩してしまったけど、何とか立て直す。
「ふぅ、危ない危ない。見た目からして華奢だとは思ってたけど、本当に細いな。無駄な肉が全く付いてない感じだ」
それでいて、不健康に感じない程度には脂肪が残っているようで、女性特有の柔らかい感触が腕に伝わってくる!
これぞ、まさに完璧な肉体美と言えるだろう!
…………我ながらキモいな、俺。
ただでさえ意識のない水着の女の子を抱きかかえるという犯罪的な絵面なのに、余計に変態度が増した気がする。
「……って、痛っ!? 何だよ、起きたのかフェアリー。それはそうと、人の髪をぐいぐい引っ張るな。この歳で禿げたら、どうしてくれるんだ」
頭の上のフェアリーを指先でつついて、文句を言ったものの、彼女は不機嫌そうにプイッと顔を背けてしまう。
いったい、どうしたと言うんだ?
「ん〜? フェアリーさんったら、もしかして嫉妬ですか〜?」
「ちょ、リリィ!?」
なんつうタイミングで煽ってくれてんの!?
本当は起きてるだろ!
「…………はぅっ!?」
「って、おい、フェアリー! どこ行くんだ!?」
リリィの挑発にまんまと乗ったフェアリーは、リリィに向かって体当たりをかまし、そのまま森の奥へ飛んで行った。
俺は、すぐに後を追おうとしたけど、リリィを抱えていて上手く走れない。
「も〜、そんなに怒らなくても良いじゃないですか……。分かりましたよ、フェアリーさんも鬼ごっこがしたかったんですよね? 次は私が鬼で良いですから、フェアリーさんは逃げても良いですよ〜」
「嫉妬って鬼ごっこの話かよ! つーか、逃げられたら困るんだよ、必死に追いかけてんだからさ!」
確かに意識は無いはずなのに、微妙に現実とリンクしてる寝言を呟くリリィ。
これも一種の才能なのかと、どうでも良い疑問が頭に浮かぶが、すぐに思考を切り替える。
そして俺は、何とかリリィを叩き起こして着替えさせ、フェアリーの後を追いかけたのだった。
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