能力値リセット 〜ステータスALL1の無能から徐々に成り上がるつもりが、1ヶ月で俺TUEEに変貌しちゃいました!〜
寝起きのリリィ
「なんだ、今のは……?」
頬に伝わった謎の感覚を思い出しつつ、無意識に手を当てる俺。
だけど、いくら頬を擦って頭を捻ってみても、その正体は全く見当がつかなかった。
何やらプルプル、モチモチした感触だった気がするけど、それ以上の事は不明なままだ。
オマケに鍵を握るフェアリー(仮)も消えてしまい…………と、思いきや、いつの間にか、さっきの岩陰に戻っていたらしい。
先程までと同じく、岩から顔だけ出して、こちらの様子を伺っている。
ただし、一つだけ相違点がある。
それは、彼女の顔が耳まで真っ赤に染まっている事だ。
「なぁ、さっきのは、いったい何だったんだ?」
俺の言葉を理解したのか、あるいはただの偶然か、両手を頬に当てて、クネクネするフェアリー。
随分わざとらしい仕草だけど、どうやら恥じらっているのはホントっぽいな。
特に、これといった根拠は無いけど、素直にそう思った。
とはいえ、肝心の答えは依然として闇の中。
これまでの状況から察するに、言葉を話す事は出来ないみたいだし、どうしたもんかね。
取り敢えず、敵対する気は無いみたいだから、そこは安心したけどさ。
「…………ふぁぁぁ。ハヤト様ぁ、おはようございまふ」
と、ここで、ようやくリリィが体を起こす。
といっても、まだ完全に意識が覚醒した訳では無いようで、コックリ、コックリと船を漕いでいた。
「おっ、リリィ。目が覚めたのか。ちょうど良かった。この事態を何とかするために知恵を貸してくれ」
なんか凄く可愛らしい噛み方をしてたけど、寝起きなんだし、こんな失敗をしても仕方ないよな。
茶化したら可哀想だし、ここは気付かなかった振りをしよう――
「…………ふみゅ〜?」
――という、俺の気遣いは呆気なく無駄に終わった。
うん、どうやらリリィは朝に弱いらしい。
普段の快活さは鳴りを潜め、明らかにポケポケ〜っとしている。
ここは温かい目で見守るべきか、心を鬼にして叩き起こすべきか。
しばし真剣に悩んだ後、俺は後者を選択した。
フェアリー(仮)の事を相談したいというのも理由の一つだけど、何より、後で羞恥に悶えるのはリリィ自身なのだ。
彼女のためを思うなら、ここは起こしてあげるべきだろう。
「おーい! リリィ! 起きろ! 緊急事態だ!」
ガシッと肩を掴んで揺さぶり、リリィの意識を全力で刺激する。
しかし、寝惚けたリリィは中々に手強い。
結構、キツめに揺らしているのに、堪えている様子がまるで無いのだ。
「うふふっ。もう、ハヤト様ったら。そんなに慌てなくても、お弁当は用意してありますよ〜」
「誰も腹が減ったなんて言ってない! いや、確かに寝起きだから、減ってはいるけども! そんな平和な緊急事態じゃないんだ!」
起きるどころか、更に斜め上のボケまで披露するリリィ。
この子の将来が楽しみでもあり、心配にもなる一幕だけど、それは置いておこう。
今は事態の収拾が先だ。
それから俺は十分以上も費やして、何とかリリィを起こす事に成功したのだった。
頬に伝わった謎の感覚を思い出しつつ、無意識に手を当てる俺。
だけど、いくら頬を擦って頭を捻ってみても、その正体は全く見当がつかなかった。
何やらプルプル、モチモチした感触だった気がするけど、それ以上の事は不明なままだ。
オマケに鍵を握るフェアリー(仮)も消えてしまい…………と、思いきや、いつの間にか、さっきの岩陰に戻っていたらしい。
先程までと同じく、岩から顔だけ出して、こちらの様子を伺っている。
ただし、一つだけ相違点がある。
それは、彼女の顔が耳まで真っ赤に染まっている事だ。
「なぁ、さっきのは、いったい何だったんだ?」
俺の言葉を理解したのか、あるいはただの偶然か、両手を頬に当てて、クネクネするフェアリー。
随分わざとらしい仕草だけど、どうやら恥じらっているのはホントっぽいな。
特に、これといった根拠は無いけど、素直にそう思った。
とはいえ、肝心の答えは依然として闇の中。
これまでの状況から察するに、言葉を話す事は出来ないみたいだし、どうしたもんかね。
取り敢えず、敵対する気は無いみたいだから、そこは安心したけどさ。
「…………ふぁぁぁ。ハヤト様ぁ、おはようございまふ」
と、ここで、ようやくリリィが体を起こす。
といっても、まだ完全に意識が覚醒した訳では無いようで、コックリ、コックリと船を漕いでいた。
「おっ、リリィ。目が覚めたのか。ちょうど良かった。この事態を何とかするために知恵を貸してくれ」
なんか凄く可愛らしい噛み方をしてたけど、寝起きなんだし、こんな失敗をしても仕方ないよな。
茶化したら可哀想だし、ここは気付かなかった振りをしよう――
「…………ふみゅ〜?」
――という、俺の気遣いは呆気なく無駄に終わった。
うん、どうやらリリィは朝に弱いらしい。
普段の快活さは鳴りを潜め、明らかにポケポケ〜っとしている。
ここは温かい目で見守るべきか、心を鬼にして叩き起こすべきか。
しばし真剣に悩んだ後、俺は後者を選択した。
フェアリー(仮)の事を相談したいというのも理由の一つだけど、何より、後で羞恥に悶えるのはリリィ自身なのだ。
彼女のためを思うなら、ここは起こしてあげるべきだろう。
「おーい! リリィ! 起きろ! 緊急事態だ!」
ガシッと肩を掴んで揺さぶり、リリィの意識を全力で刺激する。
しかし、寝惚けたリリィは中々に手強い。
結構、キツめに揺らしているのに、堪えている様子がまるで無いのだ。
「うふふっ。もう、ハヤト様ったら。そんなに慌てなくても、お弁当は用意してありますよ〜」
「誰も腹が減ったなんて言ってない! いや、確かに寝起きだから、減ってはいるけども! そんな平和な緊急事態じゃないんだ!」
起きるどころか、更に斜め上のボケまで披露するリリィ。
この子の将来が楽しみでもあり、心配にもなる一幕だけど、それは置いておこう。
今は事態の収拾が先だ。
それから俺は十分以上も費やして、何とかリリィを起こす事に成功したのだった。
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