能力値リセット 〜ステータスALL1の無能から徐々に成り上がるつもりが、1ヶ月で俺TUEEに変貌しちゃいました!〜
修行開始
「……さて、そろそろ出発するかっ。隣街に行くには、ここから北に向かえば良いんだよな?」
何となく気まずい雰囲気の中、黙々と食事を終えた俺は、気分を切り替えるために努めて明るい声を上げる。
そんな俺の意図を察したのか、リリィも柔らかく微笑んでコクンと頷いた。
「はい! ですが、この森を抜けた先の草原は見晴らしも良く、強力なモンスターが群れで行動しているので、今の私達では荷が重いと思います。なので、しばらくは、この森を拠点にして力を蓄えるべきかと」
確かに、能力値リセットという切り札があるとはいえ、今の俺のステータスは根本的に低い。
昨日の低級モンスター程度なら、束で襲い掛かって来ても何とかなるけど、それ以上になると耐久力を上げても押し切られる危険がある。
となれば、まずはレベルを上げて、割り振れるステータスを増やさないとな。
ちなみに、本来ステータスはレベルアップで自動的に上昇する。
だから、自分の伸ばしたい能力を意図的に向上させることは出来ない。
ただし、どの能力が優れているかは初期ステータスを見れば一目瞭然だ。
最初からHPが高い人はレベルアップでもHPが大きく向上する。
なので、自分のステータスを見て、どんなスタイルを確立するか考えるのが、この世界のセオリーらしい。
「それもそうだな。俺もリリィも、まだレベル1な訳だし、慎重に動いた方がいいか。……とはいえ、レベルアップも骨が折れそうなんだよなぁ」
レベルアップに必要な経験値は、主にモンスターの討伐で獲得できるんだけど、その数値が極端に低いのだ。
昨日の戦闘で得た経験値を見る限り、モンスターを10体、20体と倒した程度では、レベルアップに必要な数値の3分の1にも届いていない。
その上、レベルアップに必要な経験値は、レベルが上がるごとに多くなっていくので、どんどん過酷になるらしい。
たとえ特別な固有スキルを持っていても、短期間でのレベルアップは困難を極めるだろう。
「あっ、そういえば! レベルアップに関する秘策が記された書物を、王城の書庫で見たことがあります! 何でも、とある特別なモンスターを倒せば、たった一度の戦闘で大量の経験値を獲得できるとか。それこそ、階段を飛ばして駆け上がるように、一気にレベルアップ出来るそうです!」
拳を握って興奮気味に語るリリィだけど、俺の方は正直、半信半疑だ。
そんな都合の良い手段があるなら、とっくに広まって、世の中の常識になってるだろう。
この手の上手い話には大抵、裏があるものだ。
「うーん、さすがに胡散臭いなぁ。王城に保管されてる書物なら、ある程度の信憑性はあるんだろうけど……。ちなみに、その特別なモンスターって?」
「“フェアリー”と呼ばれる、小さい人型モンスターだそうです。その中でも“ロイヤルキングフェアリー”と呼ばれる個体は、破格の経験値を誇っていると! 具体的には、一人の冒険者が一生を費やして獲得する経験値の総量と同等の数値だそうですよ?」
「……なんだ、その成長チートモンスター。ぶっ壊れ性能にも程があるだろ。でも、なんで、そんなモンスターがいるのに、世間ではレベルアップが大変だって言われてるんだ? 王族が情報を独占してる……訳じゃないよな。わざわざ異世界の住人を召喚するくらい戦力に困ってるんだし」
そんな手間を掛けるくらいなら情報を公開した方が遥かに楽だろう。
まぁ、異世界人が持つ固有スキルを当てにしている、という可能性は残るけど。
「はい、この情報については特に規制は掛かっていません。一般の方が利用できる図書館でも同じ知識が手に入ると思います。それでも、この情報が広まらない理由は、ただ一つ。誰もフェアリーを倒す事が出来ないから、役に立たない知識と認識されてるんですよ」
「誰も倒せない? そんなに強いのか?」
「戦闘力、という点に限れば、おそらく全モンスターの中でも最弱クラスでしょうね。それと気性も穏やかなので、フェアリーに襲われたという話は殆ど聞きません。悪戯されたという被害報告は良く聞きますけど。ただし、フェアリーは生存に特化した厄介な特性を持ってるんです」
「……もしかして、不死身とか?」
だとしたら、完全にお手上げだけど、流石にそれは無いだろう。
もしフェアリーが不死身なら、どうやって経験値の事を調べたのか、という話になる。
ただのガセネタで無いなら、過去に倒した者が居るはずなんだ。
「不死身……というのは大袈裟ですが、それに近いものがありますね。なにせ、フェアリーには物理攻撃が効かず、魔法攻撃にも異常な耐性を備え、更にはピンチになると透明化して姿を消す、という特性があるのですから」
「…………マジで?」
「マジです」
「そんな相手をどうやって倒せと?」
「さぁ……そこまでは書かれていませんでした。書物に記されていたのはフェアリーの特性だけで、その攻略法についてまでは……」
「……それじゃあ、リリィは何で、その話を?」
「私、信じてますから! ハヤト様なら、きっと難攻不落のフェアリーすらも攻略できると!」
「王女様の信頼が重い!?」
……しかし、そうは言っても、他に方法が無いのも事実。
取り敢えず、フェアリーは世界中のどこにでも生息しているらしいので、まずは敵情視察をしようと決め、俺達はフェアリーの捜索を開始したのだった。
何となく気まずい雰囲気の中、黙々と食事を終えた俺は、気分を切り替えるために努めて明るい声を上げる。
そんな俺の意図を察したのか、リリィも柔らかく微笑んでコクンと頷いた。
「はい! ですが、この森を抜けた先の草原は見晴らしも良く、強力なモンスターが群れで行動しているので、今の私達では荷が重いと思います。なので、しばらくは、この森を拠点にして力を蓄えるべきかと」
確かに、能力値リセットという切り札があるとはいえ、今の俺のステータスは根本的に低い。
昨日の低級モンスター程度なら、束で襲い掛かって来ても何とかなるけど、それ以上になると耐久力を上げても押し切られる危険がある。
となれば、まずはレベルを上げて、割り振れるステータスを増やさないとな。
ちなみに、本来ステータスはレベルアップで自動的に上昇する。
だから、自分の伸ばしたい能力を意図的に向上させることは出来ない。
ただし、どの能力が優れているかは初期ステータスを見れば一目瞭然だ。
最初からHPが高い人はレベルアップでもHPが大きく向上する。
なので、自分のステータスを見て、どんなスタイルを確立するか考えるのが、この世界のセオリーらしい。
「それもそうだな。俺もリリィも、まだレベル1な訳だし、慎重に動いた方がいいか。……とはいえ、レベルアップも骨が折れそうなんだよなぁ」
レベルアップに必要な経験値は、主にモンスターの討伐で獲得できるんだけど、その数値が極端に低いのだ。
昨日の戦闘で得た経験値を見る限り、モンスターを10体、20体と倒した程度では、レベルアップに必要な数値の3分の1にも届いていない。
その上、レベルアップに必要な経験値は、レベルが上がるごとに多くなっていくので、どんどん過酷になるらしい。
たとえ特別な固有スキルを持っていても、短期間でのレベルアップは困難を極めるだろう。
「あっ、そういえば! レベルアップに関する秘策が記された書物を、王城の書庫で見たことがあります! 何でも、とある特別なモンスターを倒せば、たった一度の戦闘で大量の経験値を獲得できるとか。それこそ、階段を飛ばして駆け上がるように、一気にレベルアップ出来るそうです!」
拳を握って興奮気味に語るリリィだけど、俺の方は正直、半信半疑だ。
そんな都合の良い手段があるなら、とっくに広まって、世の中の常識になってるだろう。
この手の上手い話には大抵、裏があるものだ。
「うーん、さすがに胡散臭いなぁ。王城に保管されてる書物なら、ある程度の信憑性はあるんだろうけど……。ちなみに、その特別なモンスターって?」
「“フェアリー”と呼ばれる、小さい人型モンスターだそうです。その中でも“ロイヤルキングフェアリー”と呼ばれる個体は、破格の経験値を誇っていると! 具体的には、一人の冒険者が一生を費やして獲得する経験値の総量と同等の数値だそうですよ?」
「……なんだ、その成長チートモンスター。ぶっ壊れ性能にも程があるだろ。でも、なんで、そんなモンスターがいるのに、世間ではレベルアップが大変だって言われてるんだ? 王族が情報を独占してる……訳じゃないよな。わざわざ異世界の住人を召喚するくらい戦力に困ってるんだし」
そんな手間を掛けるくらいなら情報を公開した方が遥かに楽だろう。
まぁ、異世界人が持つ固有スキルを当てにしている、という可能性は残るけど。
「はい、この情報については特に規制は掛かっていません。一般の方が利用できる図書館でも同じ知識が手に入ると思います。それでも、この情報が広まらない理由は、ただ一つ。誰もフェアリーを倒す事が出来ないから、役に立たない知識と認識されてるんですよ」
「誰も倒せない? そんなに強いのか?」
「戦闘力、という点に限れば、おそらく全モンスターの中でも最弱クラスでしょうね。それと気性も穏やかなので、フェアリーに襲われたという話は殆ど聞きません。悪戯されたという被害報告は良く聞きますけど。ただし、フェアリーは生存に特化した厄介な特性を持ってるんです」
「……もしかして、不死身とか?」
だとしたら、完全にお手上げだけど、流石にそれは無いだろう。
もしフェアリーが不死身なら、どうやって経験値の事を調べたのか、という話になる。
ただのガセネタで無いなら、過去に倒した者が居るはずなんだ。
「不死身……というのは大袈裟ですが、それに近いものがありますね。なにせ、フェアリーには物理攻撃が効かず、魔法攻撃にも異常な耐性を備え、更にはピンチになると透明化して姿を消す、という特性があるのですから」
「…………マジで?」
「マジです」
「そんな相手をどうやって倒せと?」
「さぁ……そこまでは書かれていませんでした。書物に記されていたのはフェアリーの特性だけで、その攻略法についてまでは……」
「……それじゃあ、リリィは何で、その話を?」
「私、信じてますから! ハヤト様なら、きっと難攻不落のフェアリーすらも攻略できると!」
「王女様の信頼が重い!?」
……しかし、そうは言っても、他に方法が無いのも事実。
取り敢えず、フェアリーは世界中のどこにでも生息しているらしいので、まずは敵情視察をしようと決め、俺達はフェアリーの捜索を開始したのだった。
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