氷花の鬼神って誰のことですか?え、僕のことってどういうこと?
21.王女と大戦の幕
ミイロが何故かエレミヤの許嫁になった次の朝食の席のことであった。
「え〜と……。な、何ですって?」
ガチャとエレミヤは持っていたフォークを床に落とした。
そのフォークは隣に座っているバラックの足元に落ち、バラックが、どわっ!と叫ぶ。
それは彼の祖父である王様の発言だ。
「ん?聞こえなかったか?トゥーリス王国の第一王女、セファリアと婚約してほしいという打診が来ているのだよ。まぁ、今日明日あたりこちらに訪問してくるらしい。」
ミイロは王様を思いっきり睨みつけている。
「まっくんは私だけのもの!セフィーなんかにはあげないんだから!」
セファリアと仲が良いらしいミイロはぷんすか怒っている。
「み、みぃ…。恥ずかしいんだけど……。」
とエレミヤが恥ずかしそうに呟き、
「流石、みーねーちゃん!」
とユユリアは嬉しそうに叫ぶ。
エレミヤは少しぽけーとしたあと、ミイロとユユリアを見て、ため息をつく。
「…どうすればいいの、これ……。」
その質問の答えが即答で帰ってきた。
「「「さぁ?」」」
ここにいる全員が笑顔で首を傾げる様子はエレミヤにとって最大の苦痛になった。
その後エレミヤの部屋にて。
この部屋にはエレミヤ、ミイロ、バラック、ユユリアの四人がいた。
「反対!ぜぇーったい反対っ!」
ミイロが叫ぶ。ユユリアも不満そうな顔でこう言う。
「お兄ちゃんのお嫁さんはみーねーちゃんだけだもん…!」
バラックは片眉を上げる。
「なんでだ?男が何人も嫁持つことって普通だろ?」
と言いながら。
「「そうだけどっ!」」
ミイロとユユリアは"とっても不満でございます"と言うくらいの勢いで頬をふくらませる。
「しかもよりによってセフィー?王族の中で会ったことのあることのあるたった一人の友達の?!絶対にいやよ、セフィーと絶縁するの、嫌!」
分かる。友達大事だよね。うんうん。
「しかも、セファリア王女といえば嫉妬深いことで有名だよね!獣人の村にまで聞こえてた!」
あー…。そんな噂もあったな…。
「まぁ、嫉妬深いことは認めるが、俺の姉貴だぞ?一応。そんなに悪く言われると俺、困るんだよな…。」
そうだった。セファリア王女、バラックのお姉さんだった。
「だって、本当のことだし……。」
「だって、お兄ちゃんにはそんな人と結婚してほしくないから…。」
「おいおい、バラック!お前の姉貴、ひどい言われようだな!」
「くっ…返す言葉もないぜ…。」
「無いのかよ…。」
エレミヤ達がコントのような言い合いをしていると、コンコンとドアがノックされ、ニーガンの声が聞こえる。
「殿下。お客様です。」
誰だろう?と首を傾げたその時、
「失礼しますわ。ルティーエス殿下。」
その声を聞いた瞬間、ぶっ!とバラックが紅茶を吐き出しそうになり、ミイロはドアをものすごい目つきで睨む。
カチャリと音を立て開いたドアの前にはとてもきれいな女性が立っていた。
「ご機嫌よう。トゥーリス王国第一王女、セファリア・トゥーリスにございます。」
優雅にドレスの裾を掴み、膝を落とすセファリア。
突然の登場に突然フラグが立ったように感じたエレミヤ。
「え、えぇぇぇぇ?!」
エレミヤが叫ぶ。
そんなエレミヤにセファリアは薄っすらと笑う。
「アナタの新しい妻にございます!」
「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」」」」
エレミヤ達はセファリアから飛び出て来た発言に大きく声を上げた。
❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅
「絶対だめ、許さない!」
「あら、ミイロ。これは両国のためでもあるのよ。あなたが身を引きなさいよ。」
「嫌よ。私は許嫁よ!あなたよりも早くお爺様さら許可を頂いているの!それに、まっくんとバラックさんが仲いい事だけで両国のためになってるじゃない!」
「ふん。友情なんてすぐ崩れるものよ…。」
「あんたは熟女か!」
(本当に仲いいんだな…。)
エレミヤは言い合っている二人の様子を見てそう感じた。
ユユリアはギロリとセファリアを睨みつけている。
そんなユユリアを手懐けようとしているのか、お菓子を渡したりしているセファリア。
しかし、賢い我が妹はそんな簡単な仕掛けにすぐ気づく。
「セファリア、正確悪い!お菓子もらったって、メハナはみーねーちゃんの味方なんだから!」
(……つべこべ言いながら結局もらうのね…。)
パクとセファリアからもらったお菓子を口に咥えるユユリア。
その女の戦いの様子を汗をかきながら眺めている男衆。
「凄いな、女性って。」
「…ラック、それ、しみじみ言うことじゃないと思うよ?」
「俺の父様も母様の尻に敷かれてる……。」
「王様まで?!」
エレミヤはバラックと会話を楽しんでいた。
その時の女衆の、会話といえば…。
「私は昨日、お月様をベランダから眺めていましたの。」
「一人で?お寂しいことで。」
「一人がいいのよ…。」
「なら一生一人でいろ。」
「いやん、ミイロ厳しーっ!怖ーいっ!」
とセファリアが猫なで声で叫んだ後
「わぁ?!」
エレミヤの右腕にしがみついて来た。
セファリアの行動を見てミイロは額に青筋を浮かべながら叫ぶ。
「あっ!セファリア、まっくんから離れろ!射られたくなければ離れろ!」
「やーん!」
「い、痛い!セファリア様、右腕にしがみつかないで!あと、みぃも引っ張んないでぇぇ!関節外れるぅぅ!」
「心配無用!私が後でつけ直してあげるから!」
「心配しないほうが無理では?!」
"女の戦いに巻き込まれた憐れな男はその後、消息をたったのであった。ちゃんちゃん。"
なんてことは幸いなく、エレミヤの腕と命は無事でセファリアは宿に帰る時にミイロと睨み合いながら去って行った。
「はぁ………。」
エレミヤは見送りが終わったあと、深くため息をついた。
「ごめんな。俺の姉が……。」
バラックが済まなそうに肩を落とす。
「ジュ、ジュレーク様!あなたが謝ることではありません!」
「でも…一応同じ血が流れてるんだよ…。俺の中には。だから謝らないとな。そうだろ?バローク。」
「………。分かりました。」
そしてまた頭を下げ始めるバラック。
「分かったよ。ラック。謝罪を受け入れるよ。」
その言葉を聞いて安心したのかホッとしたように笑うバラック。
「まぁ……また嵐がここを直撃しそうだけど………。その時はその時だ。」
「お前がそんなこと言うとはな…。」
ポツリと呟いたバラックにエレミヤは問い返す。
「うん?どうかした?バラック。」
「あ、いや。なーんも。」
エレミヤは首を傾げたが、あまり深追いするものどうかと思ったので適当に頷いておく。
そして……。
世界最大の戦争、「トゥーリス、ログラーツ大戦」の幕は1ミリずつ、確実に上がっていく。
エレミヤと、ミイロ、バラック、ジュリバーク、ユユリア、セファリア、ジリアス、ティナなどなど。彼らはその戦いの最終目的をまだ知らずに居た。
「え〜と……。な、何ですって?」
ガチャとエレミヤは持っていたフォークを床に落とした。
そのフォークは隣に座っているバラックの足元に落ち、バラックが、どわっ!と叫ぶ。
それは彼の祖父である王様の発言だ。
「ん?聞こえなかったか?トゥーリス王国の第一王女、セファリアと婚約してほしいという打診が来ているのだよ。まぁ、今日明日あたりこちらに訪問してくるらしい。」
ミイロは王様を思いっきり睨みつけている。
「まっくんは私だけのもの!セフィーなんかにはあげないんだから!」
セファリアと仲が良いらしいミイロはぷんすか怒っている。
「み、みぃ…。恥ずかしいんだけど……。」
とエレミヤが恥ずかしそうに呟き、
「流石、みーねーちゃん!」
とユユリアは嬉しそうに叫ぶ。
エレミヤは少しぽけーとしたあと、ミイロとユユリアを見て、ため息をつく。
「…どうすればいいの、これ……。」
その質問の答えが即答で帰ってきた。
「「「さぁ?」」」
ここにいる全員が笑顔で首を傾げる様子はエレミヤにとって最大の苦痛になった。
その後エレミヤの部屋にて。
この部屋にはエレミヤ、ミイロ、バラック、ユユリアの四人がいた。
「反対!ぜぇーったい反対っ!」
ミイロが叫ぶ。ユユリアも不満そうな顔でこう言う。
「お兄ちゃんのお嫁さんはみーねーちゃんだけだもん…!」
バラックは片眉を上げる。
「なんでだ?男が何人も嫁持つことって普通だろ?」
と言いながら。
「「そうだけどっ!」」
ミイロとユユリアは"とっても不満でございます"と言うくらいの勢いで頬をふくらませる。
「しかもよりによってセフィー?王族の中で会ったことのあることのあるたった一人の友達の?!絶対にいやよ、セフィーと絶縁するの、嫌!」
分かる。友達大事だよね。うんうん。
「しかも、セファリア王女といえば嫉妬深いことで有名だよね!獣人の村にまで聞こえてた!」
あー…。そんな噂もあったな…。
「まぁ、嫉妬深いことは認めるが、俺の姉貴だぞ?一応。そんなに悪く言われると俺、困るんだよな…。」
そうだった。セファリア王女、バラックのお姉さんだった。
「だって、本当のことだし……。」
「だって、お兄ちゃんにはそんな人と結婚してほしくないから…。」
「おいおい、バラック!お前の姉貴、ひどい言われようだな!」
「くっ…返す言葉もないぜ…。」
「無いのかよ…。」
エレミヤ達がコントのような言い合いをしていると、コンコンとドアがノックされ、ニーガンの声が聞こえる。
「殿下。お客様です。」
誰だろう?と首を傾げたその時、
「失礼しますわ。ルティーエス殿下。」
その声を聞いた瞬間、ぶっ!とバラックが紅茶を吐き出しそうになり、ミイロはドアをものすごい目つきで睨む。
カチャリと音を立て開いたドアの前にはとてもきれいな女性が立っていた。
「ご機嫌よう。トゥーリス王国第一王女、セファリア・トゥーリスにございます。」
優雅にドレスの裾を掴み、膝を落とすセファリア。
突然の登場に突然フラグが立ったように感じたエレミヤ。
「え、えぇぇぇぇ?!」
エレミヤが叫ぶ。
そんなエレミヤにセファリアは薄っすらと笑う。
「アナタの新しい妻にございます!」
「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」」」」
エレミヤ達はセファリアから飛び出て来た発言に大きく声を上げた。
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「絶対だめ、許さない!」
「あら、ミイロ。これは両国のためでもあるのよ。あなたが身を引きなさいよ。」
「嫌よ。私は許嫁よ!あなたよりも早くお爺様さら許可を頂いているの!それに、まっくんとバラックさんが仲いい事だけで両国のためになってるじゃない!」
「ふん。友情なんてすぐ崩れるものよ…。」
「あんたは熟女か!」
(本当に仲いいんだな…。)
エレミヤは言い合っている二人の様子を見てそう感じた。
ユユリアはギロリとセファリアを睨みつけている。
そんなユユリアを手懐けようとしているのか、お菓子を渡したりしているセファリア。
しかし、賢い我が妹はそんな簡単な仕掛けにすぐ気づく。
「セファリア、正確悪い!お菓子もらったって、メハナはみーねーちゃんの味方なんだから!」
(……つべこべ言いながら結局もらうのね…。)
パクとセファリアからもらったお菓子を口に咥えるユユリア。
その女の戦いの様子を汗をかきながら眺めている男衆。
「凄いな、女性って。」
「…ラック、それ、しみじみ言うことじゃないと思うよ?」
「俺の父様も母様の尻に敷かれてる……。」
「王様まで?!」
エレミヤはバラックと会話を楽しんでいた。
その時の女衆の、会話といえば…。
「私は昨日、お月様をベランダから眺めていましたの。」
「一人で?お寂しいことで。」
「一人がいいのよ…。」
「なら一生一人でいろ。」
「いやん、ミイロ厳しーっ!怖ーいっ!」
とセファリアが猫なで声で叫んだ後
「わぁ?!」
エレミヤの右腕にしがみついて来た。
セファリアの行動を見てミイロは額に青筋を浮かべながら叫ぶ。
「あっ!セファリア、まっくんから離れろ!射られたくなければ離れろ!」
「やーん!」
「い、痛い!セファリア様、右腕にしがみつかないで!あと、みぃも引っ張んないでぇぇ!関節外れるぅぅ!」
「心配無用!私が後でつけ直してあげるから!」
「心配しないほうが無理では?!」
"女の戦いに巻き込まれた憐れな男はその後、消息をたったのであった。ちゃんちゃん。"
なんてことは幸いなく、エレミヤの腕と命は無事でセファリアは宿に帰る時にミイロと睨み合いながら去って行った。
「はぁ………。」
エレミヤは見送りが終わったあと、深くため息をついた。
「ごめんな。俺の姉が……。」
バラックが済まなそうに肩を落とす。
「ジュ、ジュレーク様!あなたが謝ることではありません!」
「でも…一応同じ血が流れてるんだよ…。俺の中には。だから謝らないとな。そうだろ?バローク。」
「………。分かりました。」
そしてまた頭を下げ始めるバラック。
「分かったよ。ラック。謝罪を受け入れるよ。」
その言葉を聞いて安心したのかホッとしたように笑うバラック。
「まぁ……また嵐がここを直撃しそうだけど………。その時はその時だ。」
「お前がそんなこと言うとはな…。」
ポツリと呟いたバラックにエレミヤは問い返す。
「うん?どうかした?バラック。」
「あ、いや。なーんも。」
エレミヤは首を傾げたが、あまり深追いするものどうかと思ったので適当に頷いておく。
そして……。
世界最大の戦争、「トゥーリス、ログラーツ大戦」の幕は1ミリずつ、確実に上がっていく。
エレミヤと、ミイロ、バラック、ジュリバーク、ユユリア、セファリア、ジリアス、ティナなどなど。彼らはその戦いの最終目的をまだ知らずに居た。
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