絶対孤独

せだ きるや

52 拒絶

僕は死について考えた

それは静かに忍び寄り
僕を誘惑する

その一事において
僕は世界を拒絶できるだろう

生は僕の手を離れ
神が決めるもの

死は僕の手にあり
神をも拒絶できるだろう


生きようとする
意志がある限り

何か為そうとする
   意志がある限り

僕は不自由なり


死を自ら掴み取り
不自由な肉体を葬り去り

世界を拒絶した果て

神をも拒絶した果て

僕の魂は
自由を手に入れる

何も為さず

何も受け入れず

僕は死の王国を築き上げ
そこで自由を享受するのだ


生を拒絶するのだ


何ものをも
僕を苦しめないだろう

何も
僕を煩わせぬだろう


死の果てこそが
自由なのだ

誰も触れられぬ
自由なのだ


だって其処には
僕すらいないんだから

僕は僕すら
拒絶してしまったんだから


拒絶してしまったんだから

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