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絶対孤独

せだ きるや

うすいむらさき色の空の下  灰色のコンクリートの荒野の上で

荒野に幾人ものもう一人の僕が立っている
寂しげにそっぽを向いて
僕はもう一人の僕をみんな、みんなを抱きしめやうとして
そっと手のひらをのばす
けれども、次の瞬間
手のひらは固いこぶしに変わって
もう一人の僕をたたきのめし、たたきつぶして
虫けらのやうに追い払おうとする
二度と僕の目に入らないやうに、二度と僕を苦しめないやうに
固いこぶしはますます固く、口をぎゅっと結んで
虫けらのやうに追い払おうとする

けれども、もう一人の僕は相変わらずそこに立っている
寂しげにそっぽを向いて
僕はもう一人の僕をみんな、みんなを抱きしめやうとして
そっと手のひらをのばす
けれども次の瞬間
手のひらは固いこぶしに変わって


もう僕はどうすればいいのかわからない

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