絶対孤独

せだ きるや

42 TVBOX

この掃き溜めの底に埋もれて
小さな箱から送信される映像に
世界を見る

怠惰に繰り返される日常に絶望し
わずかな痛みにすら耐えられない

小さな箱に世界との絆を求め
チャンネルの隙間を彷徨いて

僕は世界を知りたいのに
誰も僕に気付かない

この掃き溜めの部屋は
世界に見放された宇宙船

暗闇に浮かんだ僕の場所へは
誰も訪れない

この掃き溜めから
世界を覗き込み

異国の少年が銃を取るのを
眺め

異国の少女が歌う音を
聞き

僕の脳細胞を刺激する世界は
心の一歩手前で
翳んでしまう

小さな箱の中で
蠢く世界は
決して僕の場所には届かない

僕は掃き溜めの底に埋もれて
怠惰な日常に横たわるのみ

息を吸い
息を吐き

日常を生き長らえるためだけに
生きている

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