絶対孤独

せだ きるや

18 雨音

ざわざわと雨が降り
街の喧騒が溶けていく

朝食に君が焼いてくれた目玉焼き
濡れた路面を滑るように走り去る真紅のポルシェ
バス停待ちの静かな人の群れ
欲望に糸を引き絡みつくネオンサイン
コンクリートの壁面に描かれた鬱屈した怒り
昨日の夜、ニュースで流れた戦場の焼け爛れた肉片

そして、50cmだけ離れて歩く君の哀しそうな横顔

世界は雨の向こう側
僕は一人、傘の下
雨音だけを聴いている

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