【コミカライズ】寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

西雲ササメ

「世界一幸せにするよ」2


◇◇◇◇◇◇◇◇


二時間で披露宴も終わり、新郎新婦は会場出口に並んでお見送りとなる。

テーブル席の同僚とともに、荷物を受け取ってからそこへ向かった。

順番が回ってくると、イエローのカラードレスの皆子が小山と並んで雪乃たちを迎えていた。


「雪乃ちゃん!  今日は来てくれて本当にありがとう!」


クリアな小袋とリボンでラッピングされた金平糖の包みを渡されながら、皆子の手袋の手にガッシリと両手を掴まれ、ブンブンと上下に揺らされる。
ぐわんぐわん頭が揺れるが、雪乃も笑顔で応えた。


「おめでとうございます!  皆子さん、すごく綺麗です」

「えへへー。雪乃ちゃんももうすぐでしょ?  プロポーズされたんだもんね?」


右手の指輪をちょんちょんとつつきながら、皆子はニヤニヤと詰め寄った。
キラキラと光るエンゲージリングに隣の小山も釘付けになり、「えっ!?」と声を上げる。


「雪乃ちゃんももうすぐ花嫁さんだよ」

「マジか!  俺、課長からプロポーズしたなんて聞いてないぞ!  相談してくださいって言っといたのに!  くっそー!」

「ザンネン。アンタ口軽いから課長に警戒されてんのよ」


またもや秘密にされたと悔しがる小山。
皆子の賑やかな雰囲気とマッチした彼に、雪乃は心が弾んだ。


(小山さん、初めて見たけど皆子さんとお似合いだなぁ)


雪乃は彼にも頭を下げた。


「あの、小山さん。晴久さんからよくお話を聞いていました。一緒に楽しくお仕事してる後輩さんだって」

「え、マジで!?  課長が!?  俺のこと自慢の後輩って!?」

「え?  えっと」

(そこまでは言ってないんだけど……!)


ひとりで盛り上がる小山に冷や汗が出ながらも、嘘ではないと言い聞かせて「はい」と返事をした。

「うれしいい」と喚きながら泣きそうになっている小山は、真面目な顔をして雪乃に向き直る。


「細川さん!  高杉課長はマジでいい人なんで!  細川さんが幸せにしてあげてくださいね!  絶対ッスよ!」

「えっ……」


逆では?と不思議に思いながらも、賛同した雪乃はコクリもうなずき、「はい」としっかり返事をした。

最後に手を振って見送られながら抜けると、出口で晴久が待っていた。


「雪乃」

「晴久さん!  お待たせしました」

「帰ろう。おいで」


今ちょうど営業部の面々と解散したばかりの晴久は、雪乃と話してみたいとうるさく騒いでいた彼らに会わせまいとすぐに彼女の肩を抱き、逃げるように連れ去る。

騒がしい正面から外灯だけの静かな駐車場に向かい、キーのボタンで車を反応させた。


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