【コミカライズ】寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「ここで抱かせて」3
◇◇◇◇◇◇◇◇
【お仕事中にすみません。今日はやることがあるので、定時で先に帰って自宅に戻ります】
フリースペースで昼食をとっていた晴久は、雪乃からのメッセージを見て固まった。
こんなことはなかったのに、珍しい。
ひとりで帰すのは心配だが、出会う前はそうしていたわけで特に反対する理由もなく、【分かった】という返信を作る。
しかし送る前に、やることって何だ?という疑問が湧き、それを文面に含めようかとしばらく考えた。
(……いや、彼女にも色々あるだろう)
ひとりで納得しつつ、何も加えずに送信をタップする。
しかし送った後で余計に疑問は膨らんでいき、晴久は食事の手が進まなくなった。
今の関係が順風満帆すぎて、もしかしたら彼女の方ではなにか悩んでいたのでは、と不安になってくる。
直近の出来事を思い返してみる。先週の土曜はデートをし、日曜は家で過ごした。
終始ふたりきりでべったりで、晴久は両日とも雪乃に手を出している。
彼女が受け入れてくれるのをいいことに、自分が満足ゆくまで抱き潰した。
(もしかして、負担だったか?)
考えれば考えるほど思い当たりすぎて、飲んでいるコーヒーが苦くなっていく。
こういう付き合い方を強要したいたわけではなかったが、五年以上も異性に対する欲を封印してきた晴久は、いつの間にか雪乃を抱くことに夢中になっていた。
彼女に負担をかけている自覚はあったのに止められなかった自分を後悔しつつ、もしこれが彼女の意思表示なら今日はそっとしておこう、そう思い、それ以上の連絡はやめた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
翌朝。
カフェからオフィスへ移動した晴久は、顔を灰色にしながらデスクについた。
雪乃のいない昨夜はうまく眠れず、しかも今朝、彼女から突き放すメッセージが送られてきたのである。
もう一度、カフェにいるときに雪乃から届いたメッセージを開いてみる。
【おはようございます。今日も定時で自宅に帰ります。それと、しばらくお会いできません。そちらに荷物を置いたままで申し訳ないですが、週末に取りに行きますのでそのままにしておいて下さい】
カフェでこれを読んだとき、既読をつけたまま返信することができなかった。頭が真っ白になるくらいの衝撃だった。
オフィスに来て、晴久はPCを開いたはいいものの、日課のメールチェックや伝達の確認すら忘れ、デスクに肘をついて考え込んでいる。
(やっぱりそうだ。彼女をひとりで悩ませていたのに浮かれて気付けなかったなんて、俺は……)
避けられている?という予感が的中した。これは明らかに家に来ることを拒否されている。
晴久はそう考え、頭がさらに下へ下へと沈んでいく。
まずはどうして会えないのか尋ねようとメッセージを作ってみるのだが、文字でのやり取りでは不安だった。
しばらく会えない、しかも荷物も撤去するというのだからそれは数日というニュアンスではない。
強い言葉は使わないあの雪乃が、すでに決意を固めたようなメッセージを送ってきたことに動揺を隠せなかった。
毎晩迫ったことが体の負担だったのならまだやりようがあるが、もしそれが心の負担だったのなら……。
(……嫌われた?)
晴久はそう思うと、胸が貫かれるように痛んだ。
まだ付き合って一週間だが、これでもかというほど雪乃のことを好きになっている。
家に連れ込んだことや、毎晩求めたことが苦痛だったのなら、距離を置いた正常な付き合いに今すぐ戻してもいい。とにかく雪乃を失いたくない。
正解を探して頭を悩ませるが、始業時間までに妥当な返信を考え付きそうになく、重い頭をもたげてPCと向き合った。
【お仕事中にすみません。今日はやることがあるので、定時で先に帰って自宅に戻ります】
フリースペースで昼食をとっていた晴久は、雪乃からのメッセージを見て固まった。
こんなことはなかったのに、珍しい。
ひとりで帰すのは心配だが、出会う前はそうしていたわけで特に反対する理由もなく、【分かった】という返信を作る。
しかし送る前に、やることって何だ?という疑問が湧き、それを文面に含めようかとしばらく考えた。
(……いや、彼女にも色々あるだろう)
ひとりで納得しつつ、何も加えずに送信をタップする。
しかし送った後で余計に疑問は膨らんでいき、晴久は食事の手が進まなくなった。
今の関係が順風満帆すぎて、もしかしたら彼女の方ではなにか悩んでいたのでは、と不安になってくる。
直近の出来事を思い返してみる。先週の土曜はデートをし、日曜は家で過ごした。
終始ふたりきりでべったりで、晴久は両日とも雪乃に手を出している。
彼女が受け入れてくれるのをいいことに、自分が満足ゆくまで抱き潰した。
(もしかして、負担だったか?)
考えれば考えるほど思い当たりすぎて、飲んでいるコーヒーが苦くなっていく。
こういう付き合い方を強要したいたわけではなかったが、五年以上も異性に対する欲を封印してきた晴久は、いつの間にか雪乃を抱くことに夢中になっていた。
彼女に負担をかけている自覚はあったのに止められなかった自分を後悔しつつ、もしこれが彼女の意思表示なら今日はそっとしておこう、そう思い、それ以上の連絡はやめた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
翌朝。
カフェからオフィスへ移動した晴久は、顔を灰色にしながらデスクについた。
雪乃のいない昨夜はうまく眠れず、しかも今朝、彼女から突き放すメッセージが送られてきたのである。
もう一度、カフェにいるときに雪乃から届いたメッセージを開いてみる。
【おはようございます。今日も定時で自宅に帰ります。それと、しばらくお会いできません。そちらに荷物を置いたままで申し訳ないですが、週末に取りに行きますのでそのままにしておいて下さい】
カフェでこれを読んだとき、既読をつけたまま返信することができなかった。頭が真っ白になるくらいの衝撃だった。
オフィスに来て、晴久はPCを開いたはいいものの、日課のメールチェックや伝達の確認すら忘れ、デスクに肘をついて考え込んでいる。
(やっぱりそうだ。彼女をひとりで悩ませていたのに浮かれて気付けなかったなんて、俺は……)
避けられている?という予感が的中した。これは明らかに家に来ることを拒否されている。
晴久はそう考え、頭がさらに下へ下へと沈んでいく。
まずはどうして会えないのか尋ねようとメッセージを作ってみるのだが、文字でのやり取りでは不安だった。
しばらく会えない、しかも荷物も撤去するというのだからそれは数日というニュアンスではない。
強い言葉は使わないあの雪乃が、すでに決意を固めたようなメッセージを送ってきたことに動揺を隠せなかった。
毎晩迫ったことが体の負担だったのならまだやりようがあるが、もしそれが心の負担だったのなら……。
(……嫌われた?)
晴久はそう思うと、胸が貫かれるように痛んだ。
まだ付き合って一週間だが、これでもかというほど雪乃のことを好きになっている。
家に連れ込んだことや、毎晩求めたことが苦痛だったのなら、距離を置いた正常な付き合いに今すぐ戻してもいい。とにかく雪乃を失いたくない。
正解を探して頭を悩ませるが、始業時間までに妥当な返信を考え付きそうになく、重い頭をもたげてPCと向き合った。
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