【コミカライズ】寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「俺に下心がないと思う?」6
この子はわざとこんなことを言っているのか?と焦ったが、彼女の必死さを見れば本気だと疑う余地はなかった。
少し乱れたパジャマで紅潮した雪乃は、すでに最中のような無防備な姿をしている。
カッと湧いてくる好奇心や征服欲を抑えるために、晴久は肩で息をした。
「晴久さん?」
「こんな状態で……男にそんなことを言ったらダメだよ」
これ以上煽られたらすぐに限界がくる。
もう納得してくれと祈る良心も残っているものの、期待せずにはいられなかった。
天使と悪魔のせめぎ合いの中、彼女はまた無垢な瞳を向けてくる。
「……私ではダメですか?」
「そうじゃない。正直、できるなら今すぐ抱きたいよ。でもこういうことは無理をして頑張らなくていいんだ」
「無理してないです。私、晴久さんにならいいんです……」
またそうやって!と晴久が咎めようとしたが、雪乃は本気だった。
嘘のない眼差しにやられ、晴久の重心は下へ下へと落ちていく。
緊張しつつも彼女は何も考えずに口走っているわけではない、それが分かった晴久は、腕の力を緩めて肘をつき、至近距離で尋ねる。
「本当にいいの?」
「……はい」
ぶつかる息に熱が帯び、ひりひりと痺れた。
ここまで言わせたら、今度はなにもしないわけにはいかない。
両手を握って押さえてみても嫌がる素振りのない雪乃に、ついに顔を落とし、ゆっくりと口づけた。
「……震えてる」
口づけはすぐに終わる。
「すみません……」
晴久は離した後、もしかしてキスも初めてだった?と尋ねることはしなかった。
聞かずとも、おそらくそうだという手応えがあった。
それにこれ以上興奮させられると、手加減ができなくなる。
女性不信になる前はそれなりに経験があった晴久も、それがなくなってもう五年。女性を抱くのは本当に久しぶりなのだ。
それも自分好みの素顔、男なら誰でも触れたくなるような体、しかも今夜が初めてという初心な雪乃を目の前にすると、まるで盛りのついた狼のような気分になる。
(……もう一回)
正しいキスの仕方がいまいち分からない雪乃は、目を閉じて全てを晴久に任せた。
ゆっくりと緊張をほぐすように導かれ、ふっと安心感に包まれる。
晴久は今にも食らいつきそうになる衝動と理性の間で揺れながらも、素直に心を開こうとする雪乃を労り、優しくリードした。
「大丈夫、怖がらなくていいよ。ひどいことはなにもしない」
晴久は雪乃の前髪を分けて、額にキスを落とすと、彼女の胸のボタンを上からひとつずつ開けていく。
「雪乃はそのままにしていていいから」
雪乃は彼の甘い言葉にコクンと頷くと、真っ赤な顔のまま大人しくなった。
彼女の服を開きながら、晴久は、こんなに丁寧に進めるのは初めてだ、とぼんやり考えていた。
それは彼女のことが大切で、壊したくないと思っているからだと自覚すると、より一層愛しくてたまらなくなる。
何年ぶりの気持ちか、いやここまで胸がいっぱいになるのは初めてかもしれない。
晴久は自分の想いを噛み締めながら、雪乃の身体を開き、一晩中尽くす。
彼女は晴久にしがみつき、初めての感覚に溺れていった。
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