ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

リズネーゼ王国の滅亡

「お、お願い致します。

 どうか、祖国へとお戻りください!!

 勇者様…………!!」

「……………………」

 アホらしい…………。

 こんな連中、無視して行くか。

「あ…………!!?

 待って----------------」

『待つが良い』

 あぁ?

 今度は何だ?

 ギルドの近場の屋根へと飛び移った時だった。

 俺を引き留めようとする悲痛な少女の声と共に、やたらと偉そうな女の声が頭に響いた。

 気になって周りを見渡してみたが、やはり何もいない。

 気のせいか?

『上だ。

 この愚か者…………』

「上…………?」

 頭に響く声の通りに顔を上げると、そこには俺を見下ろす一人の女性がいた。

 背中に羽らしきものがあるが…………。

 これは、もしかしなくても…………?

『我が名は守護の女神アウロラ』

 はい、やっぱり女神様でした。

『その娘の言う通り、王国へと戻れ。

 さもなくば、我が神罰を加える』

「やりたきゃやれば…………?」

 ほんと、女神って、何で自分勝手で、馬鹿ばかりなんだろうな…………。

 ひょっとして、頭の中は小学生並とか…………?


『何…………?』


 何で、そんなに意外そうな顔するかね?

「ほんと、女神って馬鹿ばっかだな…………」

『なるほど…………余程、神罰を己が身で受けたいようだな…………』


「そうは言うが、アウロラとやら…………?

 神罰を落としたとして、困るのはあんたじゃねぇのか…………?」

 俺の言葉を聞き、アウロラとやらが、僅かだが眉がピクリと動いた。

「正確には、あんたとそこにいるゴミ屑ども…………ひいては、そのリズネーゼ王国とやら、だ…………。

 まぁ、大方、あのクソ王国に何かしら深刻な危機が起きていて、滅んでは困るあんたがシャシャリ出て来たって所だろ…………?

 そんでもって、どうしても、その問題を解決するには、この俺の力が必要になった。

 けどな…………。

 俺には、この国の連中がどうなろうが知ったこっちゃない。

 というか、さっさと滅びてくれないかね…………」

『き、貴様…………』

 おいおい、何だよ、その慌てよう?

 それじゃあ、図星ですって言ってるようなもんだろうが…………。

 ちょっと、出鱈目な事を言って、探りを入れたら、「はい! 肯定します」って…………。

 ほんと、呆れるわ。

「どうした?

 やるなら、さっさとやれよ…………。

 ちなみに、もし神罰とやらを落とした瞬間----------------俺はあんたもこの連中も敵とみなして、滅ぼすからな…………」

『貴様…………冗談も大概にして--------』


「…………冗談だと思ってんのか…………?」

 俺は静かな怒りと共に、女神を睨み付ける。

 正直、もう俺はあの国の連中を許す気はなかった。

 というか、今すぐにでも、色々と理不尽な事をされた恨みを晴らしたくて仕方がない。

 ていうか、今すぐ滅ぼすべきか?

『……………………』

 俺が本気だという事が伝わったのか、あれほど威勢の良かった女神が押し黙る。

「何もする気がねぇのか…………?

 なら、そろそろ俺は行くぞ…………?

 でないとうっかり------------」

 俺は女神に背を向けると、ダメ元でリボルバーの銃口を空へと向けて、言い放つ。


「その王国とやらを撃っちまいそうになる…………」

 それも、口角を三日月型に歪め、まるで魔王になったかのように、邪悪に微笑みながら…………。

 そして、そのまま、再び跳び立つと、そいつらは何もする事なく、ただ俺の後ろ姿をジッと眺め続けているだけだった。

 それから、後で知った事だが…………。

 その数週間後-------------

 俺を不当に追い出したリズネーゼ王国とやらは魔族の襲撃により滅んだそうだ。

 まあ、自業自得って奴だわな…………。

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