ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

そんなこんなで少女に出会いました

 まあ、そんなこんなで、色々な事があって、逃げおおせた俺は再び『イルゼ』の町に戻って来た。

 まだ戦闘中だという事もあって、当然、町の人々が戻って来ていないので、無人の町のままだが…………。

 それはそれで好都合。

 さっさと着替えて、この町を出て行こうと思う。

 え?

 なら、一度町に戻らずに、適当な所で着替えてこれば良かったんじゃないかって…………?

 いやいや、実はこの俺としても、ついうっかりやり忘れていた事があったのだよ。

 それが何かと言うと----------------


 俺、この世界の地理って、よく分かってねぇんだわ。

 簡潔に言えば、『地図』みたいなものが欲しい。

 だから、適当に着替えて、一番可能性のありそうなギルド内に入って------------

「…………?」

 可笑しい。

 何やら、視線のようなものを感じる。

 場所は……………………このギルドの中か…………?

 あっぶね!!

 もうちょっとで仮面を取るところだった。

 それにしても、一体誰がいやがるんだ?

 こういう時は慎重に…………。

「…………何してるの…………?」

「うっおっ!!!」

 壁に背を付けて、中の様子を窺おうとした時だった。

 突然、声をかけられて、素で驚く俺。

 ギルドの出入り口付近から、ひょっこりと顔を出して、不思議そうに俺を見つめて来る少女。

 一体全体、何処から湧いて出て来やがった!!?

「ねぇ…………何してるの…………?」

「それはこっちが聞きたいんだが…………?」

「私が何をしているかって…………?

 私はあなたを待っていたのよ」

 はい、面倒ごと確定の予感。

 フラグが立ちましたね。

「どうも、ハズレ勇者様。

 わたくし、リズネーゼ王国から参りました。

 クーネと申します」

「…………リズネーゼ王国…………?」

 おいおい、その国って確か-------------

「はい。

 あなた様を追い出した王国です」

「……………………」

 にこやかに答えてんじゃねえ…………。

 勝手に召喚しておいて、ハズレだとか何とか言って、殺そうとした国の連中が今更、何しに来た。

「担当直入に申し上げますと、王国にお戻り頂けませんか?

 それ相応の対価と待遇をご用意致しますので…………」

「断る!!」

 まあ、これ以外の答えなんてねぇよな…………。

 嫌な予感がバリバリするし…………。

「そうですか…………。

 なら、こちらもそれ相応の対応はさせて貰いますね」

 クーネとかいう少女が指を鳴らすと、何処にいたのか黒い服を纏った集団が、俺を取り囲んでいた。

 ほんと、今日はやたらと休む暇がない日だ。

「ほんと、めんどくせぇ…………」

 そう空を仰ぎながら、とりあえず、行動に移す俺。

 数分と掛からずに、黒服集団を制圧する俺を見て、にこやかな笑顔を引きつらせるクーネとかいう少女を睨み付けた。

 そして、一歩一歩、歩を進め、少女の前に立って一言----------------

「次あったら…………殺すぞ…………」

「ひ、ひいっ!!」

 少女は恐怖に顔を歪め、尻餅を付くと木製の床を湿らせていく。

 全く、こんな事するくらいなら、初めから追い出そうとするなよな…………。

 あまりにも、馬鹿らしいリズネーゼ王国の連中に呆れてため息を溢した俺は、再び冒険者ギルドへと入っていく。

 そんで、地図と思しきものを発見すると、それをアイテムボックスに収納----------------もとい、ネコババ(一つくらい貰っても問題ねぇだろの精神で)して、外へ出た。

 そしたら、あのクーネとかいう少女とあの黒服集団が全員ギルド前で土下座していた。

 ほんと、一体何なんだよ!?

「ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く