ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

スタンピード

『それは本当なのか…………!?』

 スキルを使った後、静かに目を閉じると、とある映像が視界に映った。

 聖女が何か耳打ちし、剣聖の表情が驚愕に染まる。

 うん。うまくいったな…………。

 音声、視界共に良好だ。

 それにしても、あの剣聖の焦りようはなんだ?

 聖女様の方も、かなり深刻な顔をしていた。

『確定情報です。

 スタンピードが、【イノ魔の迷宮】にて起きるとの神託が入りました。

 魔物の数は中型・大型を含めても約5万…………ここはただでさえ、前ギルドマスターが不祥事を起こして、多くのベテラン冒険者や職員がその対応に追われています。

 神託によれば、スタンピードが起こるのは早くても明後日の深夜辺りです。

 とても対応が回りません』


 ん? スタンピード?

 それって、よく漫画や小説とかで聞く魔物の大量発生って奴か?

 また、面倒な話だな…………。


『みんなには連絡したの…………?』

『はい。既に【念話水晶】にて、連絡をしておきました。

 ですが、町へ到着するまで、早くても三日はかかります』

 なるほどな…………。

 【念話水晶】って聞き覚えがない名だけど、俺の世界で言えば、電話みたいなもんなのか…………。

 この世界にも、便利なもんがあるんだな…………。

 いやいや、そうじゃないだろう?

 俺…………。

『この事は既にギルド職員の方々にも連絡済みです。

 今、ギルド本部へと通信して頂いているので、詳しくはそちらで…………』

『了解した…………』


「……………………」


 映像が途切れたと同時に、目を見開く俺。

 スタンピードか…………。

 ほんと、召喚されて早々、色んな事が起きるなぁ~。

 そんな事を思いながら、移り変わりしない木製の天井をジッと見つめる。

 果てさて、俺はどうしましょうかね…………。

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