Shadow of the dead
第1話―サバイバー
ミシェルとダニーは近くにあった物で出口を塞ぐと、彼女達に声をかけて誘導した。
「ここもそんなには持たない、早く地下室に行くぞ!!」
「でも、セスが上にいるんでしょ……!?」
「彼なら大丈夫だ! さあ、早く!!」
二階にいたセスはライフル銃の銃弾をゾンビの群れに向かって何発か喰らわすと二階から降りてきた。
「お前達何をしている! 早く行くぞ、もたもたするな!!」
ダナはセスに向かって話しかけた。
「どうしてセス、貴方がここにいるの!? ホープに居たんじゃなかったの!?」
「ああ、居たさ。でもお前達の帰りが遅かったから迎えにきた。ライアン達じゃなくて残念だったな」
「そう……! でも、助かったわ……!」
ミシェルは地下室に降りると床に隠された古ぼけたカーペットを捲ると、秘密の抜け道へと繋がる小さな扉を開けた。そして、下の階へと梯子を使って全員で降りた。彼らは地下室にある秘密の抜け道を一気に走ると、暗闇の中で小さな明かりを頼りに急いで出口へと向かった。
「ここの出口から外に出られるぞ!」
「ああ、早くでよう!」
ミシェルは鉄格子の扉の前でそう話すと、ダニーは側で相づちして返事をした。彼女達も疲れた表情で返事をした。そんな時、ミシェルは持っていた鍵を慌てた拍子で地面に落とした。
「ああ、クソッ!!  どこに落ちた!! 誰か明かりを頼む!!」
「何をしてるミシェル、早く扉をあけろ!!」
「わかってる、俺だってな……!」
「シッ、黙れ! 奴らが来たぞ!!」
セスは耳を研ぎ澄ますと、自分達がきた道からゾロゾロと人が歩く足音と、獣みたいなうめき声をあげながら近づいてくる声を聞いて一気に焦った。
「ヤバイ、奴等がきた!!」
ダニーは明かりのライトを片手にミシェルに声をかけた。
「何してる!? 早く開けろよ、ミシェル!!」
「うるさい! 今探してる!!」
慌てた様子で落とした鍵を鉄格子の隙間の下から入れると、手を伸ばして探した。
「ああ、クソッ!! 鍵はどこだ!!」
「キャアアアアアアアッツ!!」
ダナは近づいてくるゾンビを目にすると、突然悲鳴をあげた。それと同時にセスが、持っていたハンドガン取り出し、近づいてくるゾンビに向かって撃ちならした。
「早くしろミシェル!!」
「わかってる、わかってるよセス!!」
「俺はこんな所でゾンビに喰われるのはゴメンだぞ!!」
セスは苛立ちを見せるとミシェルを急かした。
「あった! あったぞ! ああ、クソッ!! 鍵が届かない!! 腕が挟まってこれ以上は……!」
ミシェルは鉄格子の隙間からギリギリまで腕を伸ばしたが途中で引っ掛かった。指先の手前に鍵が落ちていたが僅かに届かなかった。
「退いてミシェル、私がやる!!」
アンナは見るに見かねて代わりに自分が鉄格子の隙間から腕を伸ばすと地面に落ちてる鍵を広いあげた。アンナの腕は、ミシェルより細かった。女性特有の体格をいかすと、鍵を拾いあげて急いで鉄格子の扉を鍵でこじ開けた。
鉄格子の扉が開くと、全員は急いで外に飛び出した。セスは外から中に向けて銃弾を放つと、ゾンビを次々に撃ち抜いた。アンナはタイミングを見て、すかさず鉄格子の扉に鍵をかけた。全員はギリギリの所でゾンビの群れから生き延びると安堵した。そして、助かったと胸を撫で下ろした。
「――さあ、戻ろう。ここは危険だ」
彼らはセスの方をみると、黙って相づちをしたのだった。鉄格子の中では、暗闇の中で蠢く獣の声が微かに聞こえた。ゾンビはゾロゾロと足を音を立てながら鉄格子の扉の前に集まると無数の手を伸ばして、彼らをとらえようと手を動かしていた。その光景に彼らは僅かに恐怖に息を呑んだ。
「……もうこの抜け道は使えないかも。きっと中に沢山いるかもしれない。ライアン達に殺される」
「うるさい、ダニー! そもそもお前が銃を鳴らして来たから――!」
「俺のせいか、ミシェル!? そもそもお前が先頭なんかやらなければ良かったんだ!! 途中で俺のこと見捨ておいて良くいえるな!? 俺はあいつらに喰われかけたんだぞ!!」
「ねえ、2人とも止めて!! こんな所で争わないで!!」
アンナとダナは、口論し合う2人を止めに入った。
「お前達いい加減にしろ! 全員生きて帰れたんだ。それでいいだろ? こんな所で争ってもお腹が空くだけだ、やめよう。俺はお前達の争いごとは見たくない。わかったな?」
セスはあくまでも冷静だった。そして、先頭に立つと彼らを導いた。ミシェルもダニーも、ダナもアンナも、セスのその言葉に黙り込むと黙って彼の後を歩き、全員は家路を目指したのだった――。
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