世界実験開始
第二章 その2
時雨の発言は、涼河と圭佑の盲点を見事についていた。
真門が言っていた、『全部隊を解散』という言葉。
その中に、イシュターク部隊が入っていないとは言われていない。
それは、涼河達が別々の部隊に配属される可能性がある、ということだ。
「…………私、嫌だ」
重い沈黙を破ったのは、時雨だった。
「ずっと一緒に育って、一緒に戦ってきたのに…………もう一人も欠けたくない」
「時雨……」
──胸が締め付けられ、息苦しくなる。
まるで、巨大な手が涼河を握りしめているようだ。
時雨の悲壮な表情に、涼河はかける言葉を持たなかった。
「──大丈夫だ」
「圭佑……」
そんな涼河にかわり圭佑が言葉を繋ぐ。
明るく、大きく、笑いながら。
「俺達は誰も欠けねぇし、離れても心は一つだ。そうだろ? 涼河」
「え、ああ……」
「なんだよ歯切れ悪りぃな。隊長がそんなだから不安が生まれるんだろうが」
こういう時、涼河は自分の情けなさを痛感する。
しかし、逆に思い知る。
「うん。僕達はもう、一人も欠けたりはしない。どんな時でも、必ず繋がってる」
「涼河……」
「何も怖がることないよ。だって僕達は、大日本皇国の護国の切り札、イシュタークなんだから」
「……うん。そうだね」
「そうそう。大丈夫だ」
自分には、こんなにも頼もしい仲間がいるのだと。
互いを思いやれる、最高の家族がいるのだと。
自分にも、誇れるものがあるのだと。
「よし! 上手くまとまったところで、気晴らしに三人で戦闘訓練でもしようぜ! 今日は涼河と時雨でかかってきてくれよ。近接戦闘に慣れておきたいんだ」
「僕はいいよ。時雨は?」
「私も行く。圭佑、訓練でも本気で行くよ」
「おうよ! かかってこいや!」
三人は意気込みながら、訓練場へと向かう。
共にいられる時間を噛みしめるように。
限りある『今』を生きるために。
真門が言っていた、『全部隊を解散』という言葉。
その中に、イシュターク部隊が入っていないとは言われていない。
それは、涼河達が別々の部隊に配属される可能性がある、ということだ。
「…………私、嫌だ」
重い沈黙を破ったのは、時雨だった。
「ずっと一緒に育って、一緒に戦ってきたのに…………もう一人も欠けたくない」
「時雨……」
──胸が締め付けられ、息苦しくなる。
まるで、巨大な手が涼河を握りしめているようだ。
時雨の悲壮な表情に、涼河はかける言葉を持たなかった。
「──大丈夫だ」
「圭佑……」
そんな涼河にかわり圭佑が言葉を繋ぐ。
明るく、大きく、笑いながら。
「俺達は誰も欠けねぇし、離れても心は一つだ。そうだろ? 涼河」
「え、ああ……」
「なんだよ歯切れ悪りぃな。隊長がそんなだから不安が生まれるんだろうが」
こういう時、涼河は自分の情けなさを痛感する。
しかし、逆に思い知る。
「うん。僕達はもう、一人も欠けたりはしない。どんな時でも、必ず繋がってる」
「涼河……」
「何も怖がることないよ。だって僕達は、大日本皇国の護国の切り札、イシュタークなんだから」
「……うん。そうだね」
「そうそう。大丈夫だ」
自分には、こんなにも頼もしい仲間がいるのだと。
互いを思いやれる、最高の家族がいるのだと。
自分にも、誇れるものがあるのだと。
「よし! 上手くまとまったところで、気晴らしに三人で戦闘訓練でもしようぜ! 今日は涼河と時雨でかかってきてくれよ。近接戦闘に慣れておきたいんだ」
「僕はいいよ。時雨は?」
「私も行く。圭佑、訓練でも本気で行くよ」
「おうよ! かかってこいや!」
三人は意気込みながら、訓練場へと向かう。
共にいられる時間を噛みしめるように。
限りある『今』を生きるために。
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