世界実験開始
第一章 その3
累々と転がる死体の中から、一人の兵士が動き始めたのだ。
兵士は捨てられた大砲に手をかけ、ゆっくりと立ち上がる。
そしておぼつかない足取りで、涼河達に近づこうとしていた。
「涼河……」
「僕が話す」
涼河はその兵士に近づき、刀を元の右手に戻しながら言った。
「大丈夫。あなたの命は保証します。だから投降し──」
「──死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
その時、兵士は背中に隠していたナイフを取り出し、涼河に襲いかかった。
「──っ!」
「涼河!」
瞬間、時雨の鎌が兵士の左足を捉え、根本から一気に刈り取った。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
左足が後ろに吹き飛び、兵士は叫びながら涼河の足元に倒れ込む。
「ぐうぅぅぅ……はぁ、はぁ、ああぁぁぁぁ……」
圭佑の放った弾丸を全身に受け、さらに左足を失った肉体。本来なら動けるはずはなく、死の迎えまでの時間を、暗く冷たい世界で過ごさなければならない。
だが兵士は止まることなく、さらに強い怒りを表しながら、涼河に近づいてくる。
その光景を、涼河はただ見ていることしかできなかった。
彼の放つ強烈な執念に支配され、何もできないのだ。
「ご……ごろ……ずっ……」
「──ぐっ!」
彼の最後の刃が、涼河の左足の甲に突き刺さった。
「涼河!」
「いいんだ……大丈夫……」
兵士は渾身の一撃を決めるとらそのまま刃をさらに深く差し込むため、最後の力を振り絞る。
「ぐぐっ……ううっ、うぅぅぅ……」
そして、頭を地に落とした。
「…………壮絶な最後だったな」
圭佑が感嘆の言葉を漏らす。
涼河が膝をつき、ナイフを抜こうと手を伸ばす。
「………………な……」
「え?」
自分の耳を疑った。
だが兵士の目を見ると、瞳孔は開ききっている。
「死んだよね……」
どうやら空耳だったようだ。
涼河は歯を食いしばってナイフを抜く。
左足の傷はみるみる塞がり、数秒で新たな肉が穴を埋める。
「ごめん、すぐに撤退しよう」
こうして、イシュターク部隊の強行奇襲作戦は成功した。
撤退する途中、涼河はふと制服の胸ポケットを見る。
──そこにあるのは、さっきの兵士が持っていたナイフだ。
涼河には一つ、気になることがあった。
「……何の意味があるんだろう……」
それは、兵士のナイフの柄に彫られていた、
『S  to  R』
という文字のことだった。
兵士は捨てられた大砲に手をかけ、ゆっくりと立ち上がる。
そしておぼつかない足取りで、涼河達に近づこうとしていた。
「涼河……」
「僕が話す」
涼河はその兵士に近づき、刀を元の右手に戻しながら言った。
「大丈夫。あなたの命は保証します。だから投降し──」
「──死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
その時、兵士は背中に隠していたナイフを取り出し、涼河に襲いかかった。
「──っ!」
「涼河!」
瞬間、時雨の鎌が兵士の左足を捉え、根本から一気に刈り取った。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
左足が後ろに吹き飛び、兵士は叫びながら涼河の足元に倒れ込む。
「ぐうぅぅぅ……はぁ、はぁ、ああぁぁぁぁ……」
圭佑の放った弾丸を全身に受け、さらに左足を失った肉体。本来なら動けるはずはなく、死の迎えまでの時間を、暗く冷たい世界で過ごさなければならない。
だが兵士は止まることなく、さらに強い怒りを表しながら、涼河に近づいてくる。
その光景を、涼河はただ見ていることしかできなかった。
彼の放つ強烈な執念に支配され、何もできないのだ。
「ご……ごろ……ずっ……」
「──ぐっ!」
彼の最後の刃が、涼河の左足の甲に突き刺さった。
「涼河!」
「いいんだ……大丈夫……」
兵士は渾身の一撃を決めるとらそのまま刃をさらに深く差し込むため、最後の力を振り絞る。
「ぐぐっ……ううっ、うぅぅぅ……」
そして、頭を地に落とした。
「…………壮絶な最後だったな」
圭佑が感嘆の言葉を漏らす。
涼河が膝をつき、ナイフを抜こうと手を伸ばす。
「………………な……」
「え?」
自分の耳を疑った。
だが兵士の目を見ると、瞳孔は開ききっている。
「死んだよね……」
どうやら空耳だったようだ。
涼河は歯を食いしばってナイフを抜く。
左足の傷はみるみる塞がり、数秒で新たな肉が穴を埋める。
「ごめん、すぐに撤退しよう」
こうして、イシュターク部隊の強行奇襲作戦は成功した。
撤退する途中、涼河はふと制服の胸ポケットを見る。
──そこにあるのは、さっきの兵士が持っていたナイフだ。
涼河には一つ、気になることがあった。
「……何の意味があるんだろう……」
それは、兵士のナイフの柄に彫られていた、
『S  to  R』
という文字のことだった。
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