異世界クロスロード ゆっくり強く、逞しく

アナザー

第29話 レベル上げに向けて

次の日、、、

・マルチ
「ふぁぁ、、、でっかい。」

・あぁ、、、すげぇな。

俺とマルチはある屋敷に来ていた。
昨夜マルチの正体を明かした後、国王はある条件を出した。
それは、マルチの安全の確保の為、屋敷に移り住み周りを兵士で警護させる事。
移動の際は数人の護衛を必ずつける事。
屋敷には信頼できる数人を呼び、1人にはならない様にする事。
それらの事を踏まえての引っ越しとなった。

・マルチ
「大きな屋敷、此処にライオットと住むのね」

マルチがモジモジしながらこちらを見る。
そんな事言ってると、、、

・セリス
「アタシも居るからな、、、マルチ。
最近アタシをおちょくる為にやってないか?」

・マルチ
「ふふふ、セリスとライオットと居られる幸せ」

・セリス
「まぁ、良いか。
本人が幸せなら何よりだ。」

そう、セリスも一緒に住む事になった。
そして、その流れでサリスさんも。
何故か受付のミミさんも加わって賑やかなメンツとなった。

・ミミ
「サリスがボア丼を忘れた罰です!
私もおっきな屋敷に住みたい!」

ミミさんの言い分だった。
マルチは快く承諾して今に至る。

・しかし、本当にデカイな。
掃除とか大変そうだ。

・セント・カーティス
「それには及ばないぞ、ライオット君。
常に数名のメイドが待機しているからな。
家事などは全てメイドがやるだろう。
後で皆を紹介しよう。
ちなみに、予定では隣にニュート君の家族も来る手筈になっている。
私の部隊が随時警護をしているので安心して暮らしてくれ。」

確か、ニュートの知り合いの貴族さん
良い人と繋がりを持ってるんだな。
ニュート、、、ドンドンお前が先に進んでいく気がするよ。
俺も頑張らねば、、、

・マルチ
「ありがとう。
色々とお世話になった。」

・セント
「いやいや、気にしないでくださいマルチ様。
我々は貴方様を必ず御守りしますので。
部屋割りなどはお任せします。
何でも好きに使って下さい。
何かありましたら私かメイド長にご連絡して頂ければ対処しますので、、、」

・マルチ
「マルチで良い。
国王も貴方も信頼できる人。
これから宜しく。」

セントさんが笑顔になりマルチと握手する。
マルチ、随分と変わったな。
カタコトじゃなくなったし、、、
フードもしなくなった。

・マルチ
「では、セント。
昨夜お願いした事、宜しくお願いします。」

次はマルチが頭を下げる。
実は、屋敷に移ると決まった際、マルチが国王にお願いしたことがあった。
それは、エルフとハーフエルフの保護。
この国はマシな方とは言え、差別はまだ色濃く残っている。
それを見かけた時は最優先で保護してマルチの元に避難させる。
その為の大きな屋敷となったのだ。
王国防犯対策部隊、、、警察みたいなもんかな?
それのトップであるカーティスさんが引き受けてこの場所を提供してくれた。
うん、様するに良い人だね。

カーティス
「では、皆が集まり次第案内しよう。」

暫く待つ事となった。

・サリス
「申し訳ありません、遅れました。」

・ミミ
「みんな、おっはよー」

ミミさんの元気な挨拶。
仕事の時とプライベートが全然違うな、、、
朝から肉の丼食べながら来てるし。
てか、食べてから来なさい!

・ミミ
「ふふ〜、約束のボア丼!
ハムハム、ハムハム」

・マルチ
「ミミ、、、、私にもちょうだい」

そうだった、、マルチも肉好きだったな。
羨ましそうに眺めている。

・カーティス
「皆、揃った様だな。
では案内しよう。
マルチ、後でコックに頼んでおくから今は先にやる事をしよう。」

マルチは頷いて付いていく。
俺達も続いて歩いて行き、各部屋、メイドさん、コック等それぞれ紹介してもらった。
そして、その流れで食事となった。
カーティスさんはそのまま自宅に戻って行った。
ちなみに本日の昼飯は、、、
マルチのご希望通り肉中心の食事だった。
うん、めっちゃ美味い。
ありがたやぁ、、

・セリス
「食べながらで良いから聞いてくれ。
明日、ダンジョンに向かおうと思う。
出来れば此処にいる全員で行きたいのだが、無理な人は居ないか?」

・マルチ
「私も行って良いの?」

・セリス
「勿論だ、戦力としても期待してる。
頼んで良いか?」

・マルチ
「勿論!
ふふふ、、、私も一緒に行ける。」

マルチが嬉しそうだ、、、
大丈夫、俺が1番のお荷物だから。
よし、荷物待ちを率先してやろう。

・セリス
「反対は無さそうだな。
では、明日の予定を発表する。
朝からギルドに向かい、ハリスと合流する。
そのまま軍所有のダンジョンに入り、セーフゾーンのある3階まで進む。
そこで1日目を過ごす、、
2日目に5階を打破して、3日目から未調査区間の6階に入る。
そこからは予定は立てない。
状況に合わせて撤退か進軍を決める。
判断はサリスに任せる。
みんなもサリスの指示に従ってくれ。
想定外の事が起きない限りサリスの指示が絶対だ、まず大事なのは身の安全を確保する事。
ゆっくりと進む、良いか?」

誰も反対などしない。
場数を踏んでいるだけあって計画に無駄がない。
みんな真剣に聞いていた。
ミミさんの以外は、、、

・ミミ
「ハムハム、ハムハム
うまぁい、
あまぁい、
しあわせぇ〜」

うん、本人が、嬉しそうだから良いか、、
メインもデザートも関係無しで食べまくってるな。
セリスも呆れて何も言えないみたいだ。

・マルチ
「ねえ、ライオット。
この後はどうするの?」

・ん?俺か?
そうだな、、、レベル上げしようかな。
1番弱いしね、、、

・マルチ
「そっか、私も行っていい?」

・勿論良いよ。
んじゃ一緒に行こうか。

・セリス
「あ、アタシも行こ、、」

・サリス
「セリスはダメ。
仕事山積みなのよ?
3日も空けてたんだから、今日はしっかりやってもらいます。」

食い気味でサリスさんが突っ込む。

・セリス
「そんなぁぁ〜」

ガックリと肩を落とすセリス、、

・えっと、、セリス
が、頑張れ!

・マルチ
「ファイト!セリス」

・セリス
「むぅ、、くそっ」

若干やけ食いをするセリス。
ミミさんは相変わらずモリモリ食べている。
あの小さい体の何処に入るのだろうか?
食事も終わると、、

・サリス
「では、私達はギルドに戻ります。
ライオットさん、マルチ、また後でね」

・セリス
「しっかりレベル上げて来いよ〜」

・ミミ
「夜もお肉食べるからね〜」

1人、話のベクトルが違う、、、
まぁ良いか、
3人は歩いて行った。

・マルチ
「ライオット、今日は何処にいくの?」

・そうだな、、何も決めてなかった。
ギルドで聞いて来るか、、、

結局、俺たちも、ギルドに向かって歩き出した。

・マルチ
「私は何処でも良い、ライオットと一緒なら」

ボソボソとマルチが呟く。

・ん?何だった?

・マルチ
「ん、何でもない。」

2人の歩みは続いて行く。


ギルドにて、、

・依頼カウンター受付嬢
「こんにちは、今日は如何しました?」

・えっと、何か討伐系の依頼入ってないかな?
張り紙見たけどパッとするのが無くて、、、

・受付
「そうですね、、、ランク1のライオットさんだと討伐系の依頼は殆ど受けられないのですが。」

そうだった、、、ランクがあったんだった、、

・マルチはランクいくつ、

・マルチ
「1、、、そもそも戦ってなかった。」

そうだった、、、
困ったな、、、

・サリス
「あら、ライオットさん。
レベル上げに行くんじゃなかった?」

丁度サリスさんが通りかかった。
事情を説明してみると、、

・サリス
「成る程、そう言う事ならこうしましょう。
ランクアップの依頼として、ミズチの討伐をお願いします。
ミズチを10体討伐でランクを3とします。
宜しいかしら?」

・俺たちはありがたい限りですが、2ランクも上げて良いんですか?

・サリス
「良いのよ、元々ランクなんて無駄死にしない様に設定したのものだしね。
ノートリアスを倒した貴方達ならランク5は行ってるはずだもの。」

そうなんだ、、、
まあ、レベル上げ出来るなら何でも良いや。

・ありがとうございます。

・サリス
「どういたしまして、詳細は受付に聞いてね。
じゃあ、私はこれで。」

サリスさんが去って行く。

・受付
「ミズチ討伐ですね。
場所が湖となりますので、結構な難易度ですよ?
大丈夫ですか?」

・はい、やってみます。

・受付
「わかりました。
危ないと感じたら直ぐに逃げて下さいね。
では、湖までの地図がこちらになります。」

成る程、白亜門じゃ無い門をくぐった先か、、
こっち側に行くの初めてだな。
さほど遠くなさそうだし、サクッと行って来るか

・走るぞ、マルチ。
行けるか?

・マルチ
「OKだよ」

2人は同時に走り出す。
湖に着く頃にはヘロヘロだった、、俺が。

・ま、マルチさん速い、、

・マルチ
「えっへん!
まだまだ早く走れるよ?」

・マジか、、、

とりあえずは目的地に着いた。
さてと、お目当ての敵を探しますか!
マップオープン

・ふむ、、、湖の中にいるね。
さて、どうしようかな。

・マルチ
「私、泳げない。」

・結構でかい湖だからなぁ、、、
泳げても戦えないかもね。
さて、どうしたものか、、、。

暫く考えながら石を投げ込んで遊んでみる
すると、マルチも同じ事をやりだす。
何気に楽しい時間を2人で過ごす、、、

・いや、ミズチ倒さなきゃ、、、

・マルチ
「楽しかったから、このままでも良い。」

えぇ〜、マジっすか、、、
射撃レベル上がるから良いっちゃ良いんだけどね

・とりあえず、話でも聞いてみるか。

・マルチ
「誰に?
誰もいないよ?」

そう思うよね〜。
でもね、実は3人ほど居たりします。

・すみませ〜ん
ちょっとお聞きしたい事があるので出て来てもらえます〜?

何も起こらない、、、

・えっと、そこの木の上にいる方〜
そっちの岩の後ろの方〜
そちらの木の裏にいる方〜
誰でも良いので出て来てください〜。

暫くすると、3人共出て来てしまった。
1人でよかったのになぁ。

・仮面の女
「何故?わかった。
我々は気配を絶っていたはずだ、、、」

・ん〜、、、何となく。

・仮面の男1
「何となくって、、、、
なんたる屈辱、、、。」

・仮面の男2
「ライオット、、、
危険な男。」

一瞬、殺気が放たれるが仮面の女が静止する。
俺はマルチを庇う形で前に出る。

・仮面の女
「よせ、我々は味方だ。
驚かせてすまない。
それで、何か用か?」

・えっとですね、、、
ミズチの事について聞きたくて、
ミズチってご存知ですか?

・仮面の女
「知っている。
何が知りたい?」

・そうですね、、、
ミズチに関する一般常識と狩り方を、、

・仮面の女
「、、、、、ミズチ
姿形は巨大な蛇、
捕食する時水面から飛び出して獲る。
ヒレが進化していて少しなら飛べる。
肉食で獰猛。
低空で飛ぶ中型の魔物まで捕食する。
狩り方法は言えない。
ランクアップ試験なら自分達でやるべき。
以上だ。」

うはぁ、しっかり教えてくれる割に厳しい。
まあ、お陰でイメージは出来たな。

・ありがとうございました。

・仮面の女
「次、お前の番だ。」

・へっ?

・仮面の女
「情報はタダでは渡さない。
既にそちらが受け取ったのならば、何かを返すのが必然。
さぁ、我々を見つけた方法を話せ。」

ぬぅ、コイツ、、、
どうする、もう少し抵抗してやろうかな、、、
ん、、、?

・仮面の女
「さあ、、、、教えろ。」

ちょっと涙目になってるじゃない。
可哀想になって来た。
でもなぁ、、

・勝手に話したのはそっちだろ?
情報交換の意思を示した覚えはない。

・仮面の女
「うぐ、、、、正論を、、、
ぐぅ、、、」

やばい、泣きそうになってる。

・冗談ですよ。
実はずっと監視しているの知ってましてね。
マルチの護衛でしょう?
国王が護るって言いながら誰も付けて無いのはおかしいなって思ってね。

・仮面の女
「はじめから知っていたのか、
では場所が分かったのは何故だ?」

・人数とマルチからの距離で逆算しました。
丁度3人が隠れられる場所しかない所で呼び掛けたって所ですね。

・仮面の女
「湖に石を投げていたのは、我々がその場所まで来る様に仕向ける時間稼ぎの為、、と言うことか。」

よし、誤魔化せた、、。
流石にマップの事は言えん。

・マルチ
「私を監視していたの?」

・違うよマルチ。
この人達はマルチを護衛してたんだよ。

・マルチ
「そう、、、ありがとう。
でも必要ない、、、ライオットと2人にして。」

・仮面の女
「申し訳ありません。
それだけはできません。」

・マルチ
「むぅ、、、、」

・まあまあ、この人達も仕事だから無理言っちゃダメだよ?
なんか、すみませんね。
情報ありがとうございました。
業務に戻ってください。

・仮面の女
「承知」

3人とも消えた、、、
どうやってんだろう?

・マルチ
「ライオットは知ってたの?
あの3人がいたって事。」

・まあね、でも邪魔するわけじゃないし敵じゃなかったから、、、無視してた。

・マルチ
「そか、、、気にしなければ良いか。」  

意外に切り替えの早いマルチだった。

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