異世界クロスロード ゆっくり強く、逞しく

アナザー

第24話 サリスのお願い

決闘当日

・おはよー、
ライオット

・あい、おはよー

セリスが起きてきた。

・あれ?マルチは?

・あぁ、まだ寝てるぜ

相当疲れたんだなぁ。
ゆっくり休めば良いさ

・セリスは元気だな。

・まあ、鍛え方が違うわな

・納得だ。

・ところで決闘って今日の何時頃やるんだ?
セリス知ってる?

・そうだな、基本的には日没からだな。
次の日の、日が昇るまでやるのが普通だ。

長いなぁ〜。
面倒くさそうだなぁ。

・殆どの決闘は直ぐに終わるから気にすんな。
昔、拳聖と剣聖が戦った時に、いつまでも終わらなかったから仕方なく決めたルールらしい。

・成る程、拳聖と剣聖ね、
凄そうだな。

・観客は軍人限定だったら観れなかったけどな。
速すぎて殆どの客の目に映らなかったらしいぜ。

・それは観てる方も地獄だな。
日没からならゆっくり休んでから向かうか。
勝手に昼からと思って朝早くに帰ろうとしてたわ
荷物も殆ど片付けたしね。
後はマルチのテントでラストだぞ。

・おぉ〜、抜かりないなライオット。
まあ、片付けておくのは悪いことじゃないから、こちらとしては助かるよ。
本来なら決闘自体、当日か次の日にやるもんだから、3日空けるのは前代未聞じゃねえかな。

・そうなんだ。
まだまだ知らない事ばっかりだ。

・何でも聞きなさい!
アタシが教えてやるからよ。

ドヤ顔のセリス。
セリスは頼りになるなぁ。
助かるわぁ。

・じゃあ、マルチはゆっくり寝かせてあげよう。

・そうだな、
ところで新属性の練習したいんだが、
良かったらさライオット、
付き合ってくれ。

それから2人は魔法の練習をする。
セリスは雷属性が気に入ったらしく、
一生懸命雷を作りまくっていた。

・おはようございます。

・お?
おはよーマルチ。

・セリスはもう練習ですか?
私も頑張らないと。

・マルチ、今日は決闘当日なんだから
体を休めなきゃいけないぞ。
マルチは俺と一緒に見学です。

・はーい。

なんて素直なんでしょ。
その後、テントをバックにしまい帰る準備を済ませてからは2人でセリスの雷魔法を観ていた。
時々こうしたら良い等、アドバイスをしていた。
セリスは木を的に撃ちまくる。
周辺を焼け野原にしながら1人奥に入って行く。
これ、森林破壊だよな、、、

・み、見つけたわ。

・お?
サリスさん?

・ちょっと、
水、
貰えるかしら?

かなり疲れてるな、どうしたんだろう?
そんなサリスさんにマルチが水を渡す。

・美味しい!
ありがとう、マーダーさん
ビックリする程美味しい水だったわ。
どうやって作ったの?

サリスさんが驚いている。
そう言えば、今や飲料水として完成しているマルチの錬金術の水、サリスさんは初めてだったな。
今回の事は、その時始まったんだった、、、

・さてと、セリスは何処かしら?
て言うか、さっきからドッカンドッカンうるさいのだけど、なんの音?

あ、それセリスさんがやってますよ。

・セリスならその辺の木に向かって魔法を撃ち込んでますよ。

・その音なの?
全く、あの子はこんなに破壊して。
何してるのかしら?
あら?この木焦げてるわね?

・ふぅー、かなり使いこなせて来たぜ。

素晴らしいタイミングで帰って来たセリス。

・セリス、、何してるのかしら?

・げっ、姉さん?
何で姉さんがここに?

・げっ何よ、げって。
大体、こんなに破壊して。
何かあったの?

・ふっふっふっ。
よくぞ聞いてくれました、、、
姉さん、アタシは強くなったぜ。

・貴方が強くなってどうするのよ。
決闘するのはライオットさんとマーダーさんでしょうに。

・サリス、サリス
私のこと、マルチって呼んで。

・マルチ?
マーダーさんじゃないの?

・あー、詳しく話すと長くなりそうだから、
後でゆっくり話すよ。
それよりも姉さん、ちょっと見ててくれ。

セリスが嬉しそうだな。
サリスさんの事大好きなんだろうなぁ。
驚かす気満々だ。

・何かしら?
ここで見てれば良い?

・ああ、
行くぜ、
ふぅー、

魔力が高まる。

・喰らえ。
『召雷!』

ピシャァァァン、、、ドゴーン

・なっ!そんな

・へへへ、
どうだい、姉さん。

・セリス、どう言う事?
今の、神の鉄槌よね?

あ、やっぱり神の鉄槌なんですね。

・ライオットが言うには雷って言うらしいぜ。

・ライオットさんが?
ライオットさん、どう言う事?

うげっ、セリス
何で俺に振った。
サリスさんが迫ってくる。

・ライオットさん、
教えて頂けないかしら?
どうしてセリスが神の撤退を使えるの?

・サリス、サリス
私も使えるよ。

ピシャ、、、ドゴぉぉぉぉン

・うぉぉぉぉ

・きゃぁぁぁぁ×3

マルチの魔法の威力がエゲツない。

・こら、マルチ。
危ないから近くてやっちゃダメです!

・ごめんなさい。
怒られちゃった。

ちょっと落ち込むマルチ。

・セリス、どう言う事なの?
それにマルチって?
お願い教えて。

サリスさんが必死だ。
何か新鮮だなぁ。

・じゃぁ説明するよ。

セリスはサリスに事情を話した。
新属性の事、魔力の本質、魔力変換、そして、マーダーが精霊界の王家の血を引く事、、、
マナタスク・マルチ・ダーチェだと言う事も。

・とんでもない程、濃密な3日間だったのね。
マーダー、いえ、マルチ。
貴方がその名前を使う意味、わかってる?

・あ、サリス、それは昨夜アタシがやった。

サリスさんもセリスと同じ事を思い浮かべたか、
流石は姉妹。

・ありがとうサリス。
私はもう決めたの、私はマルチ。
マナタスク・マルチ・ダーチェ
サリスも優しいんだね。

・ふぅ、全く。
私の知らないところでどれだけ成長したのよ。
ちょっと寂しいじゃないの。

サリスさんがプリプリ怒っている。

・もうっ!
ライオットさん

・はいっ!

不意に呼ばれてビビる。

・私にも新属性教えて!

やっぱりそう来るよね。
これは困ったな。

・えっと、サリスさんの属性は何ですか?

・私は風属性よ。
だから他の属性も使える様になりたかったの。
風魔法だと、どうしてもサポート寄りじゃない?
普通の魔物なら風でも倒せるけど、
強敵との戦闘だと、セリス任せになるのよね。
私も魔法で強い魔物を倒したいのよ。

あちゃー、新属性作るのに1番困る属性だ。
何も思い付かないぞ。
何かないかな〜
サリスさんは期待感たっぷりでこっちを見ている
俺は暫く考え込む、、、

・す、すいません。
ちょっと思い付かないです。
風属性は考えてなかったので、、、

・そ、そうなのね、
そうよね、急だしね、、、

明らかにガッカリしているサリスさん。
何か申し訳なくなって来たな。

・な、何かしら考えておくので、何か思い付いたらその時、新属性の特訓をしましょう。

・えっ?
考えてくれるの?
お、お願いして良いかしら?

・安心しろ、サリス。
ライオットは天才だからよ。

ハードル爆上がり!
セリス辞めて、お願い。

・サリス、サリス。
私達、称号がいっぱい付いたよ。
ライオットのお陰で凄く強くなれたの。

・し、称号がいっぱい?
嘘でしょ?

・本当だぜ。
アタシは最初、ツインエレメンツってのが付いたんだが、3属性目を覚えた時にトリプルエレメンツに進化した。
しかも、神の鉄槌を使った時に賢者って称号まで付いたんだ。
後は、デスモスって称号だな。

・私も、トリプルエレメンツはセリスと一緒。
賢者も同じで、デスモスも同じかな。
後は精霊の巫女って称号が付いた。

・そんな、、、
そんなに称号が付くなんて聞いた事ないわよ。
あ〜、私も来ればよかった〜。
ライオットさん、今度私にも色々と教えて〜。

いつも凛としているサリスさんが少し甘えながら言ってくる。
得した気分だわぁ〜。

・それで、称号にはどんな効果があったの?
教えて欲しいわ。

・あ、そう言えば昨夜聞くの忘れてたな。
丁度良いや、此処で発表して貰おうかな。

・じゃあ、アタシが覚えた奴を、
マルチが精霊の巫女ってのを教えるよ。
トリプルエレメンツで魔力絶対値が3倍になる。
賢者で筋力が100 知力が200  俊敏性が150
それぞれ補正が付いた。

な、なん、だと?
強すぎるだろ、
賢者、恐るべし。

・私は精霊の巫女がついた時、オーラルドレインのスキルを覚えました。
通常は自然魔力を徐々に自動吸収らしいのですが、条件を満たすと魔力吸収になるそうです。
条件は書いてませんでした。

なんとなく、条件が分かるような、、
セリスを見ると俺を見つめていた、多分同じこと考えてるよな。

・んで、最後にデスモスが3人とも付いた。
仲間の危機の時、限界以上の力を出せる、だな。
そんな所かな。

・驚き過ぎて何て言って良いのか、、、
本当に信じられないわ。
こんなに短期間で強くなりすぎよ。

それ、俺も本当にそう思う。
何で教えてた筈の俺が1番弱いんだよ。
あぁ、なんだか悲しくなって来たわ

・全てライオットのお陰だぜ、

・はい、ライオットのお陰です。

・凄いわね、ライオットさん。
あら?ライオットさん?

俺はちょっと拗ねていた。

・何拗ねてんだよ?
ちゃんと褒めてるだろ?

・だってさ、
賢者の補正値だけで俺の能力超えてるんだもん。
俺も欲しいよ、賢者。

・ライオットは3属性使えるだろ?
賢者、付いてないのか?

・付いてない。
何故でかね?

うーんと首を捻る4人。
そして、サリスがトドメを刺す

・結局、ライオットさんが1番弱いって事?
話からしてライオットさんに全て教えて貰ってた感じがしたけど。

やばい、泣きそうだわ。
俺は膝から崩れ落ちた。

・ら、ライオット。
大丈夫か?
お前が1番凄いんだって、アタシは知ってるから

・そうですよ、ライオット
貴方は私の英雄なんですから

2人の優しさが身に染みるようだ
ありがとう、、、
頑張れ、俺

・そう言えば、
サリスさんは走って来たんですか?

・そうですよ。
走った方が馬車より早く着きますし。
そこまで遠くないですしね。

歩きで半日以上かかる場所を、そこまで遠くないと言い切れる事が恐ろしいよ。

・ちょっと引っかかっていたんですが。
風魔法で強敵が倒せないって本当ですか?

・えぇ、そうよ。
風だと物を飛ばしたりするだけでしょう。
武器を大量に持っていれば、それなりに戦えるけど、それなら直接切った方が早いじゃない。
風魔法で対象を切りつける事も出来るけど、剣で斬った方が強いわ。
だから、結局は伝令とか敵の撹乱、雑魚の殲滅等が主な役割になっちゃうのよね。
私だってたまにはドカーンって派手にやりたい。

おー、サリスさん、結構溜まってらっしゃる。
愚痴がドンドン出て来るね。
でも、、、

・風魔法って強いですよ?
俺は、変則攻撃特化型だと思ってるんですが。

・変則攻撃特化型?

俺がサリスさんと話していると。

・おい、マルチ

・なーに?セリス。

・話が長くなりそうだから、向こうで魔法の練習でもして来ねえ?

・あー、良いね、賛成。

・よっしゃ、じゃあ行こうぜ。

・うん。

セリスとマルチは2人で魔法の練習に向かった。

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