異世界クロスロード ゆっくり強く、逞しく

アナザー

第4話 オーク殲滅に向けて

前線基地にて、

・司令官  
「状況はどうなっている?」

・兵士
「はっ!
予想以上の敵戦力に苦戦中です。
第一攻撃部隊は敗走、続き第二部隊は半壊。
遠距離砲撃隊は魔力枯渇の為撤退。
現在はギルド傭兵部隊と一部の軍兵が合同で防衛ラインを死守している状況です。」

・司令官
「不味いな。
本部からの増援はどうなっている?」

・兵士
「既に1時間程前に使者を送っていますが。
早くても後半日は掛かるかと。」

・司令官
「くそっ、オークどもめ。
厄介なオーク戦車を投入してくるとは。」

・セリス
「苦戦している様だな。」

司令官らしき人物に気軽に話しかける人物、

・司令官
「む?セリスか。
わざわざギルド長がなんの用だ?
それよりも増援はどうした?」

・セリス
「相変わらずだな、バルトロスト。」

バルトロストと言われる司令官が発言する。

・バルトロスト
「まぁ良い、さっさと防衛ラインを守って来い。
こちらは立て直し次第、再度攻撃を掛ける。」

・セリス
「わかったよ。
ところで戦局を知りたいんでね、この辺りの地図と部隊配置を教えてくれるとありがたいのだが。」

・バルトロスト
「その辺に居る兵士に聞くと良い。
私は忙しいのだ、忌々しいオーク殲滅の為にな!」

・セリス
「おっと言い忘れた。
裏手にオークが回って来てたから倒しといたぜ。
この分だと左右にも居るかもしれないな。」

・バルトロスト
「何?本当だろうな?
オーク如きが包囲などと・・
防衛ラインの冒険者共は何をしとるのだ。
これだから冒険者って奴らは。
フン、まあ良い。
オークめ、返り討ちにしてくれるわ。」

司令官は鼻で笑うと別の兵士と話し始めた。
どうやら左右に兵士を送る様だ。

・セリス
「ふぅ〜、
まあ、司令官殿がああ言ってるので、
こちらは自由にさせて貰うか。
アタシは状況を探ってくるが、
あんたらはどうする?」

・リーシュ
「私とライオットさんは医療場に行きます。」

・セリス
「わかった。
じゃあ攻める前にアタシもそっちに顔出すよ。」

そう言ってセリスさんと一旦別れる事になった。

・リーシュ
「ライオットさん、こちらです。
スカウト能力があったんですね、驚きました。」

・「えっと、スカウト能力ってなんでしょう?」

・リーシュ
「し、知らなかったんですか?
簡単に言えば索敵したりする能力ですよ。
他にも有りますけど。
総称してスカウトと呼んでいます。
あれ程に的確な索敵は結構貴重な能力ですよ?」

そうなんだ。
全てマーカーのお陰なんですけどね。
ありがたやありがたや。
2人で話しながら建物の中に入って行く。

・リーシュ
「良いですか?ライオットさん。
魔力回復の事は出来るだけ内緒にしてください。」

ん?突然どうしたんだろう?
リーシュさんが言うのだから何かあるのか?

・「わかりました。」

にっこりと微笑んでくれるリーシュさん。
やっぱり可愛いなぁ。
建物に入り扉を開けると大きな空間に出る。
そこに数多くの負傷者が居た。

・兵士①
「た、隊長!」

・兵士②
「リーシュ隊長!」

リーシュの登場に気付いた兵士が近寄ってくる。

・リーシュ
「タイト班長、状況を報告して下さい。」

・タイト
「軽傷者10名。
中傷者17名。
重傷者8名。
死者2名。
内、中傷者7名は馬車にて村に帰還させました。
現在、ハナ、リョウ、2名にて重傷者の治療中。
他2名で残りの負傷者を順次回復中です。
しかし、皆魔力が枯渇し始めています。
回復薬も残り僅かとなっております。」

・リーシュ
「わかりました。
まず皆をここに集めなさい。
これからの指示を出します。」

・タイト
「はっ!」

タイト班長が隊員に声を掛け回っている。

・リーシュ
「ライオットさん。
私が合図したら癒しの波動をお願いします。」

こっそりと話しかけてくるリーシュさん。
その手には小さな鞄があった。

・タイト
「特殊医療部隊一班、全員集まりました。」

・リーシュ
「今から渡す薬を飲んで下さい。
今回だけの特別な回復薬です。
貴重な薬です。
溢さない様に気をつけて飲みなさい。」

ざわざわと5人がざわついている。
そんな中、一人一人に鞄から取り出した瓶を渡して行くリーシュさん。
ちょっと待って?
鞄の大きさと瓶5本の大きさ。
物理的におかしくない?
まさか、アイテムBOX的なあれか?
おぉ、何だか感動!

・リーシュ
「では、一気に飲みなさい。」

・兵士達
「はい!」

ゴクゴク飲んでいる隊員達。

・リーシュ
「(ライオットさん、
皆が飲み終わったらお願いします。)」

了解しました。
バレない様にやれば良いんですね。
声に出さなくても魔法って発動するのかな?
試してみるか。

隊員達が飲み終わった瓶を各々リーシュさんに返して行く。
よし、ここだ。
癒しの波動!

・タイト
「はぅ、」

・ハナ
「あぁ、」

・リュウ
「おぉ、」

・兵士①
「これは?」

・兵士②
「イェス!」

それぞれの反応をしながら隊員達が驚いている。
ってか最後のやつ、反応おかしくない?

・タイト
「凄い、魔力が、魔力が戻ったぞ!」

喜んでいる隊員にリーシュさんが指示を出す。

・リーシュ
「重傷者の治療は私がやります。
軽傷者、中傷者を皆で全員回復させなさい。」

・兵士達
「はっ!」

短い返事の後。
小走りに負傷者の元に駆けていく隊員達。

・リーシュ
「ではライオットさん、手伝ってください。」

俺はリーシュさんに付いて重傷者が寝かされている奥の部屋に移動した。


セリスサイド

・セリス
「成る程、
この平原にオーク戦車が展開しているんだな?
数は?」

・兵士
「20です。」

・セリス
「また、結構な戦力を当ててきたな。
んで、敵の総数と戦いの流れは?」

・兵士
「オーク軍、約120と報告を受けています。
オーク戦車により我が軍はほぼ壊滅になり、後ろを固めていた冒険者達が前に出て兵士達を守りながら後退しました。
おかげで死者は少なく済みました。
現在は平原より後方の森に潜伏しながら森に入って来たオークを随時迎撃している状況です。」

・セリス
「良い判断だ。
流石はサリスだな。」

とは言え、余り時間を掛けるのも良くないな。
恐らくアタシを織り込んだサリスの策だ。
派手に行くとするか。

・セリス
「ん、状況は理解した。
後一つおしえてくれ。
この丘までだと、どの道から行くのが1番早い?」

地図を指差しながら兵士に質問する。

・兵士
「ここだと、この斜面ですね。
五分も有れば辿りつくかと。
こちらに何かあるのですか?」

・セリス
「まあな、
後でのお楽しみって事にしときな。
何とかなりそうだ。
じゃあ行くわ、ありがとな。」

・兵士
「あの、大丈夫でしようか?」

・セリス
「ん?何がだい?」

・兵士
「先程聞こえたのですが、
後方にオークが回り込んでいたと。」

・セリス
「あぁ、そのことかい?」

・兵士
「司令官は左右の敵を回り込んで奇襲で仕留めろって言ってましたが、まだ後方に敵が残っていたらと考えると」

・セリス
「アタシが信じられないのかい?」

グッと兵士を睨むセリス。

・兵士
「い、いえ、そうではないのですが、
万全を期すために確認は必要なのではないかと。」

・セリス
「ふむ、正解だ。
本来なら後方も確認する方が良いだろう。
だが今回の敵の規模から考えて、残りは左右だけと踏んだんだろう。
時間をかければ掛ける程危険度も増すと考えたんじゃないか?
安心しな、あんた達の司令官はアレで優秀だよ。
そうだ、1人隠匿魔法を使える奴は居るか?
ちょっと貸してくれ、すぐ終わるから。」

バルドロストの奴もあの性格じゃなければなぁ。
まあ、何だかんだ言って一応信用してくれてるのかね。ほんと、可愛くないね。
さて、こちらも急ぐかな。
まずは怪我人の人数を把握していくか。
後は、アイツのスカウト性能も試してと。


ライオットサイド

これは、酷い。
不謹慎だけどちょっと気分が悪くなって来た。
それでも精神自動回復のせいだろうか?
気持ち悪くなったり治ったりを繰り返していた。
重傷者の患者達を前にしてビビる俺。
唸れ、俺の順応スキル!

・リーシュ
「急ぎます。
ライオットさん。
出来る限り癒しの波動を発動し続けて下さい。」

俺は目を瞑りながら魔法を発動した。

・リーシュ
「魔力が溢れてくる、やっぱり凄い。
これなら欠損部位も戻せるかもしれない。」

途中でチラチラと目を開けてみると、リーシュさんが重傷者をどんどん治していく。
ある者は無くなっていた腕が再生していく。
またある者は大きな傷口が塞がっていく。
欠損部位も治すってどう言う仕組み?

・リーシュ
「これで良し、後はこの方々の精神力次第です。」

俺はそれを聞いて、一人一人の横に立ち癒しの波動を発動して行った。
範囲魔法だけど、まだ効果範囲わかんないからね。
みんなに確実に掛けなければ。
振り返るとリーシュが最大級の笑顔でコチラを見ていた

・セリス
「ここが重傷者の場所だと聞いたんだが、
アタシは間違えたのかね?
リーシュ、どうなってる?」

・リーシュ
「はい、ライオットさんのサポートのお陰で今回の重傷者の方々はすっかり良くなりました。」

・セリス
「ほぅ、やけに嬉しそうな顔をしてると思ったら、
上手く治せたんだな?
よく魔力が持ったな。
薬飲みすぎてないか?大丈夫か?」

・リーシュ
「ありがとうございます。
今回は薬は飲んでませんので大丈夫です。」

・セリス
「ん?どう言う事だ?」

頭を捻るセリスさんと笑顔のリーシュさん。
そう言えばネネさんが回復魔法は凄い疲れるとか言ってた様な。
なら、今回のリーシュさんはとんでもない治療をしたってことか?

・セリス
「まあ、良い。
ちょっと急いでるから後で聴こう。
ライオット、この建物に何人いるかわかるか?」

いきなり凄い質問が。
えっと、マップ展開っと。
白が40と青が2だから

・「42名ですね。」

・セリス
「では建物の外、何処に誰か居るかわかるか?」

建物外ね、えっと、門の所に1人と、
あら、裏手に1人居るな、何やってるんだろ?

・「門の所に1人と、家の裏手に1人。
あ、後、すぐそこの窓の下に1人、かな?
3人ですね。」

ガタっと音がして兵士らしき人物が驚いた様子で顔を出す。

・兵士
「な、何でわかったんですか?
自分、隠匿魔法で隠れて居たのに。」

内心でガッツポーズをするセリス。
間違いない、こいつは本物だ、相当使える。

・セリス
「よし、ライオットすぐに、一緒に来てくれ。
リーシュ、魔力回復薬をくれ。」

・リーシュ
「回復薬はありません。
ですがライオットさんが居れば大丈夫です。
ライオットさん。
セリスさんの事、宜しく頼みますね。」

?釈然としないセリスだったが急いでいるので深く考えない様にした。

・セリス
「無い物は仕方ないな。
まあ、ライオットが居れば何とかなるか。
いや、何とかしなきゃな。
よし、いくぞ。」

そう言って窓から出て凄い速さで走って行った。
そして、すぐに戻ってきた。

・セリス
「そうだった、こいつは走るのおせぇんだった。」

明らかにガッカリとするセリスさん。
何かすみません。

・セリス
「おら、急ぐぞ、担ぐからこっち来い。」

こっちに来いと言うので窓まで行く。
その瞬間担がれた。

・「うぁぁあ。」

・セリス
「うるせぇ、黙ってろ。」

俺を担ぎながら恐ろしい速度で走っていくセリスリーシュは笑顔で見送っていた。

・リーシュ
「大丈夫、ライオットさんが居ればきっと。」

そこには、絶対の信頼を寄せる仲間の顔になったリーシュが居た。

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