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女神の手違いで殺された俺は、異世界にて機械装甲を纏い美少女達と共に冒険ス!

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6話「女ヴァンパイア、童貞に破れる!」

「あ、あれは一体何をしているんだ……?」
 俺は突然起こった目の前の出来事に、ただ口を開けて呆然と見ている事しか出来なかった。

 あのヴァンパイア二人は俺と同じくカッコイイポーズをとりながら自己紹介を済ますと、ローレットはジュディーの背後に回ると自分の鋭い牙を首筋に突き刺したのだ。

 俺は未だに事の状況が追いつかないでいると、ユリアが傍に駆け寄ってきた。

「見て分からないのかユウキ! あれはどうみてもヴァンパイアの特有の行為、吸血だろう!」
 ユリアは大杖をローレット達に向けながら俺に言ってきた。

 いや、いくら何でもそれぐらいは俺にも分かるよ?
 でもあれって二人ともヴァンパイアな訳だから、ただの共食いなんじゃ……。

 俺はユリアに向けていた視線を離すと、再び共食いをしているローレット達に向けた。
 すると吸血されているジュディーの顔色はどんどん赤くなっていき……何やら悶々とした息遣いとイヤらしい声が聞こえてきた。

「はぁはぁ……んああっっ!! ろ、ローレット様っ! そろそろ限界ですぅ!」
 ジュディーは全身を捩らせると両手で下半身を抑えていた。

 俺はそれを下からマジマジと見ていると……。
 ジュディーのあの発情したような表情と行動には凄い見覚えがあった。
 そう、あれはまるでユリアが俺に回復魔法を掛けてくれる時に毎回見せる反応に凄く近いのだ。

「ぷはぁっ! いやぁすまない。妾も久々の食事だったのでつい我を見失っていたのじゃ……面目ない」
「い、いえ。私も久々に吸血される感覚が気持ち良すぎて何回か飛んでしまいました……恥ずかしいです……」
 相変わらず空の方からそんな会話が俺の耳へと入ってくると、ちょっとだけ興味を惹かれた。

 まじか……吸血されるのってそんなに気持ち良いのか?
 普通に見てる分には痛そうなんだけど。
 首筋に牙が刺さってチューチュー血を吸われている訳だし。

 俺はそんな事を結構、真面目に考えていると。

「さて、待たせてすまないな貴公らよ。じゃが待たせた分はしっかりと楽しませる事を保証するのじゃ。何故なら血をたっぷりと吸った事で、妾は本来の力を発揮出来そうじゃからの」
 
 ローレットは俺達を見下しながら言ってくると、全身が赤色の閃光に包まれ始めた。
 それはまるで俺が装甲を纏う時に発生する光に酷似している。

 そしてその光景を見たヴィクトリア達が。
「うぅ……ま、眩しいぃ! まるでユウキがいつもピカピカと光らせている鬱陶しいアレのようです!」
「ほ、本当だ! ユウキの鬱陶しいアレに似ている! 凄いウザったい!」
「えぇ間違いないですわ! この目がチカチカする感じはユウキのあれにそっくりですわ!」
 
 お、おお、お前達……普段から俺の装甲をそんな風に思っていたのか……。
 思いがけない所でパーティメンバーから精神攻撃を食らうと俺の心は怒りに満ち溢れてきた。

 く、くそぉ! 俺のカッコイイポーズを真似してくるだけでは飽き足らず!
 発光の要素までパクってくるとは!
 己、あの吸血鬼アマ。絶対に著作権料取ってやる。

 やがてローレットを包んでいた赤色の閃光が収まると……。
 そこに居たのはさっきまでの幼い少女ではなく、出ることは出て、引っ込むとこは引っ込んでいる、そんなを具現化した様な女性が居た。

「見てひれ伏しなさい! これがローレット様の本来のお姿ですッ!」
「この姿になるのも何十年、いや何百年ぶりかのう。……さてさて、慣らしついでに貴公らを思う存分楽しませないとじゃな」
 ジュディーが両手でローレットを大々的にアピールすると、ローレットはストレッチみたいな動きをした後、より鋭い視線で俺達を威圧してきた。

「ハッ! いまさらどんな姿になろうと俺達は屈しないぜ! なあ皆そうだろ!」
 俺は出来る限りの笑顔でヴィクトリア達に視線を向けた。

「もちろんです! ですが……」
「聖騎士の職に従いヴァンパイアを滅しますわ! ですけど……」 
「おう! 当たり前だ! しかしユウキ……」
 そう言った三人の視線は何故かようなものであった。 
 
 一体どうしたと言うんだ三人とも? 言葉がやけに続かないではないか。

 ヴィクトリア達は同時に溜息を吐くと。
「「「取り敢えずその前屈みの姿勢をなんとかして」」」
 と、氷のように冷たい声で俺に言い放ってくる。
「す、すみません」
 俺は前屈みでヘコヘコと謝った。

「ハハッ! 貴公らは本当に勇者達なのか? 旅芸人の方がよっぽど似合っているのじゃ。まぁ……茶番もそろそろしまいにするかのう。ジュディーよ、お前はあの聖騎士を相手にせい。殺すもよし、半殺しにして飼うのも自由にするがよいのじゃ」
 ローレットは俺達の一部始終を見てはクスクスと笑っていたようだが、笑い終えるとジュディーに命令を下しているようだった。

「はっ! 承知いたしました!」
 ジュディーは腰の剣抜いて滑空しながらパトリシアに突撃していく。
 そして金属がぶつかり合う音が響くと。
「おい! 大丈夫かパトリシア!!」
 俺は背後に居たパトリシアに声を掛けた。

「えぇ。まったく問題ないですわ! このメイドヴァンパイアは私が相手しますの! だから本命のローレットを頼みますわ!」
 パトリシアはジュディーと鍔迫り合いをしながら俺の問いかけに答えた。
 
 助けに加わりたい所がここでローレットに背を向ける事は出来ない……。
 だが、あのパトリシアが大丈夫って言うならきっと大丈夫だ。
 俺はパーティメンバーを信じるぜ!

「そうじゃのう……。そこの大盾使いと大杖持ちは妾の可愛い子供たちの相手をしてもらおうかのう」
  ローレットは右手を突き出すと左手の爪で自分の手首を切り、血を地面に向かって流した。
 地面はローレットの血を吸い込むと、その下からさっき俺達が倒したアンデット達によく似た魔物が次々と姿を現してきた。

 あっという間にヴィクトリアとユリアはアンデット達に囲まれてしまうと。
「チッ仕方ないな! ヴィクトリアはオレと一緒にこの大量のアンデットを何とかするぞ!」
「な、なんとかって具体的に言って下さいよ! ちゃんと勝機はありますよね……?」
「あぁ、多分だけどな! おいユウキ! こっちは何とかしてみるから、そっちは頼むぞ!」
 アンデットの群れ中からユリアの声とヴィクトリアの半泣きの声が聞こえてきた。

「あぁ任せとけ! そっちも死ぬなよ!」
 俺はそれに叫んで返した。

 やはり分かってはいたが、俺はこの古参ヴァンパイアと戦う宿命なんだな。
 はぁ……。
 これなら子供の悲鳴ぐらい見捨てとくべきだったか? ……いや、今はそんな事言ってる場合じゃないな。

 皆が思い思いに頑張ってくれているんだ。
 俺だってたまにはカッコイイとこ見せないとなッ!

「貴公の名前……ユウキと言うのか。この時代に復活して初めて耳にした名じゃの。そうじゃ、この名は記念に覚えて置くとしようかのう。……では心して楽死たのしんでくれユウキ!」
 ローレットは俺の名を叫ぶと勢いよく滑空してきて、長い爪を俺に向けてきた。

 やるしかねえ! 魔王軍の四天王がなんだ! こっちは異世界から来た勇者様やぞ!

「おらぁぁああ!!」
 俺はブレードを構えるとローレットの初手の爪攻撃をギリギリで弾いた。

「ぐうっ……!」
 俺はその反動で少し仰け反り、ローレットは翼をしまうと俺から一定の距離を取るかのように後ろに下がった。
「ほう。妾の攻撃を防ぐとはな。良いッ良いのじゃぁ!」
  
 これやべえな……!
 パトリシアと戦った時みたいに重い痺れのようなものは感じなかったが、それもで初手のあの攻撃を何度も食らったらブレードが折れる事は間違いなさそうだ。
 
 そして今なら分かる。
 ヴァンパイアは日本で見た漫画やアニメ同様にかなり強い存在だと言うことを。

「妾の攻撃を受けて立っている居る者はそう多くはないのじゃ。ユウキとやら、存分に誇って良いぞ! ……じゃが、次の攻撃は人間の目では見切れぬだろうがな」
 
 人間の目では見切れないだと?
 その言い方から察するに、つまり死角からの攻撃か超スピードの攻撃を俺に向けて仕掛けてくるつもりか?
 
 なら次の攻撃は必ず一発は食らう羽目になるな……。
 いくら装甲を纏ったといえど俺はただの凡人だ。そんな俺が人知を超えた動きをされたら対処できるはずがない。

 チクショウ! くそ怖ええェ!
 だけど俺はこの装甲を信じるしか他にない。
 日本製は異世界でも最高品質だって所を証明してやるしかなぁ!

「さらばじゃユウキ。妾の攻撃を防いだ褒美として一瞬で逝かせてやるのじゃ」
 ローレットは言葉をその場に残すと、俺の目の前で姿を一瞬にして消した。
 
 ど、何処から来る……?
 後ろか? 正面か? 左右からか?

 俺は全方位を警戒していると耳元で「もし生きていたらまた妾と遊んで欲しいのじゃ」という声が聞こてくると同時に横腹を思いっきり蹴られた衝撃を食らった。

「あがっ!?」
 そのまま俺は樽が積まれている山へと吹っ飛ばされた。
 樽の山が崩れ落ちる音と、バキッバシャッと木が折れる音と共に俺は一瞬、意識を手放しそうになったがギリギリで踏ん張った。

 クソッまじかよ……。すげぇ横腹痛えッ!!
 でも俺、生きてる! やったぁぁ!! 日本製の勝利だぜ!
 
 ははっ……だが生きていてどうする?
 このヤバイ状況は何一つ変わりはしないぞ。

 しかも結構遠くに吹っ飛ばされたし……何よりこの樽がクッション替わりになってくれなかったらかなりやばかった。

 ……いや待てよ? これは逆に好機なのではないだろうか?
 相手は俺を殺ったと思っているに違いない。
 ならば油断させたとこで、一気に勝負を掛けるというのはどうだろう。

 俺は即席で作戦を思いつくと、まず最初に『クローク』と共に取ってあったレンジャースキルの『遠眼』というスキルを発動する。
 
 この『遠眼』とは数キロ先の物を容易に捉える事ができるのだ。だが多様すると目がドライアイみたいな状態になるで注意が必要だ。
 まあ、分かりやすく言うなら目が双眼鏡になった感じだ。

 俺はそれを駆使してローレットの方を見ると……。
 うむ、思ったとおり余裕そうに欠伸あくびまでしている様子だ。

 よーし! よしよし! 絶好の不意打ちチャンス到来だぜ!
 確実に決めるぜ? この最高の一太刀でローレットの体を真っ二つによォ!!

「装甲スキル『スラスター』! おらぁぁあ!! 俺の顔を覚えて地獄でスケッチしやがれェェ!」
 スキルで加速すると俺はブレードを水平に構えて、ローレットの腹に向けて一気に切り込む。

「な、なんじゃと!? ……じゃが残念だったのう。ユウキのその剣では妾を切り捨てることなんぞ、できぬ事じゃ。」
 ローレットは一瞬だけ顔を歪ませると、直ぐに余裕たっぷりな表情で俺にそう言ってきた。

 確かにローレットの言う通りだ。
 俺のブレードはローレットの服と皮膚を少し削いだぐらいの剃刀程度の効果しか発揮していない……。
 
「クソッ! これでもダメなのかよ!」
 俺は急いでブレードをローレットから離すと後ろに何歩か下がる。

 ローレットは俺に切られた箇所を右手で触ると、そのまま自分の血の付いた手を舌で綺麗に舐めとり、何故か満足気な表情で俺を見てきた。

「良い良い良いッ! 実に良いぞユウキ! 妾にかすり傷程のダメージを負わせるとはのう! ……よし、決めたぞ。貴公を今から妾のにするのじゃ! ハッハハ! 光栄に思うが良いのじゃよ!」
「……はあ? そんなもん死んでもならねえよ!」

 急に何を言い出すかと思えば眷属だって? 笑わせんなよ。
 こっちだってプライドってもんがあるんだ。誰が魔王軍の手下になるかよ。

「そうか? でも妾がそう決めたのじゃ。故にユウキに拒否権はないのじゃ。これはもはや、決定事項なのじゃよ!」
 ローレット再び姿を消すと、今度は先程と違い直ぐに姿を現した。
 ……そう、俺の背後にだ。

「これから貴公の首に牙を刺し込み血を吸う。そうすれば晴れてユウキは妾達の仲間入りじゃ」
 ローレットはそのまま俺を羽交い締めにすると妙にビビる事を言ってきた。

「おいおい……やめときな。自慢じゃないが俺の血は相当マズイと思うぞ!」
 俺は羽交い締めにされているせいで動きが制限せれている……。
 だから今の俺に出来る事は必死の言葉攻撃のみッ!
 
「大丈夫じゃよ。妾は選り好みをしない主義なのじゃ。それでは……早速、ユウキの血を頂くとするかのう」
「ちょっまて! 本当に待ってくれ!」
 俺は迫り来る吸血という名の行為に怯えながら何とか脱出しようと藻掻くが……。
 
 藻掻いたところで効果があったのは背中に密着している、おっぱいの感触を堪能できるだけだった。
 やはりヴァンパイアの並外れた力には勝てる訳もなく、牙が俺の首筋を貫通する感覚を感じた。
 
「あがっ!?」
 ローレットが吸血行為を始めると、全身から力が抜けていき俺は藻掻く気力すら失った。

 すまない皆……。俺はここまでのようだ。
 このまま俺がヴァンパイアになったら、お前達も眷属にしてもらえるように頼むからな。
 
 俺だけヴァンパイアとか納得いかないし、なるなら全員道連れだ。



 只管ローレットに吸血されて俺の意識が薄れかかってくると、突然ローレットが背後で苦しそうな悲痛な声を上げてきた。

「ぐあぁぁっ!? な、なんなのじゃ! このドロっとして舌に絡みつくような嫌な味は! いくら妾が選り好みしないからと言っても限度があるのじゃ!」
 ローレットはそのまま俺から離れると、俺はその場で膝を付いて様子を伺った。

 頭が凄いクラクラするぜ……。血を吸われ過ぎた影響か?

「しかもそれだけではないのじゃ……。この駆け上がってくるような後味……貴公もしかてじゃな?」
「うっせーな! 童貞で悪いかよ!」

 だいぶ意識がハッキリしてくると、俺は何故かローレットから血の味レビューを聞かされ、童貞を暴露された。
 くそぉ……そのイジリはヴィクトリアだけで十分だ。

「しかしなんじゃ……この全身から力が抜けていく感覚は……まるで神の加護を喰らったかのような不快感なのじゃ……」
 ローレットは右手で頭を抑えながら声がどんどんと弱くなっている。
 理由は分からんが、俺の血を吸ってから明らかに弱々しくなっているのは確かの様だ。

「はっはー! それもその筈ですよ! 何故ならユウキはこの女神ヴィクトリア様の手料理をここ最近毎日食べていましたからね! しかもその料理には隠し味に私の…………とにかくそう言う事です!」
 その声がする方に俺は視線を向けると、ローレットが呼んだアンデット達を粗方倒したようで、ヴィクトリアとユリアがボロボロ姿でそこに立っているのが確認できた。

 えっなに? じゃあ俺はヴィクトリアが料理作ってくれなかったら今頃、ヴァンパイアの眷属になっていたの?
 ひいいッ。怖わ怖わッ! 
 俺はその日、初めてヴィクトリアに本気の祈りと感謝を捧げた。

「女神じゃと!? そんなの嘘じゃ! 奴らは天界から降りてこられない筈じゃ! ……しかしこの忌々しい聖の力はまさしくそれに匹敵するもの……」
「いえ、結構自由に行き来できますよ? まぁ、私はそこの見た目がアレな童貞と一緒に召喚されたので帰れないんですけど」
 ローレットは立っているのも辛くなったのかその場に崩れ落ちると、ヴィクトリアから衝撃の言葉が聞こえてきた。

「ぐあぁっぁ!! だ、ダメなのじゃっ! このままではこのフォルムも維持できなくなるのじゃぁ!」
 ローレットは全身から赤色煙を出し始めると、更に苦しそに両手で心臓の部分を抑えていた。
 
 何だろうな。このままじわじわと弱っていく女性を見るのは俺の心にくるものがある。
 いっそのこと、もう俺がトドメを刺した方がいいのかも知れない。

 そう思うと俺はブレードを握って立ちあがり、ローレットの元に歩き始めようとした。
 だがその時、横から声が飛んでくる。

「ユウキー! こっちは無事にとは言いませんが何とか倒せましたわ! ユリアにも協力して貰いましたの!」
「おう! 二人でやればあっという間に倒せるぜ! あと良い実験体になってくれたぜ! ハッハッハ!」
 パトリシアとユリアも何とかジュディーを倒せたみたいだな。
 あぁ良かった。
 俺は二人に向かって手を振ると、再びローレットを目指して歩き出した。




「ふっ……まさか妾がこんな初心者冒険者しか集まらなそうな街で討伐されようとはな……。だがそれも定めかのう。……さあ殺るがいい、この時代の勇者ユウキよ」
 ローレットは死を悟ったのか諦めたのか、両手を広げて俺に体を差し出してきた。
 恐らくこの体制から不意打ちをする程の力はローレットに残っていないだろう。

 俺は差し出された体の心臓部分にブレードの刃先を近づけると。
「……なぁローレット。俺と取引しないか?」
「取引じゃと……?」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「…………という訳だがどうだ?」
「ふっ! ハッハッハ! なるほどそう言う事か! 良いじゃろう。その取引、血の契約に従い守ると誓うのじゃ」

 ローレットは取引内容を聞くと腹を抱えて笑っていた。
 俺は取り敢えずとして、ローレットを生かしておくことに決めた。
 その方がこの先何かと都合が良いからだ。

「ちょっとユウキ! 本当に見逃すつもりですか!? あれでも一応魔王軍の四天王ですよ!?」
「だからこそ見逃すんだよ。それに俺とを交わしてあるから違反行為をすれば即行で命が絶たれる様になっているから安心しろ」
  ヴィクトリアが心配になるもの分からなくはないが……ローレットとは血の契約で縛っているから多分、大丈夫だろう。

 血の契約とはヴァンパイアが使うスキルの様な物で、絶対の約束事をする時に発動できるらしい。普通なら相手に使う物らしいのだが、今回は例外で自分に使っている。

 血の契約で縛った内容はこんな感じだ。
 一つ、この場からローレット達を見逃す代わりに魔王軍の情報を提供すること。
 二つ、他の人間を襲わないこと。ただし、生きる為に必要な場合は致命傷にならない程度なら可にした。俺もそこまで鬼ではないからな。

 後はまだ他にもあるのだが、現状はこれで十分な筈だ。
 そしてこれらの契約をローレットが破ると心臓がぎゅっとしてドカーンとなって死ぬ事になっている。
 それが血の契約だ。

「まぁオレはユウキがそれで良いなら問題ないけどな! こっちはこっちで思う存分に魔法が試されて満足だ!」
「まったく、パラディとしてアンデットを見逃すなんて主の神パメラに対する冒涜のような気もしますが……私もユウキが決めた事ならそれを信じますわ」
 後ろで話を聞いていたユリアとパトリシアも賛成してくれたようだ。
 見れば二人の横にぐったりとしたジュディーの姿も確認できる。

「ありがとうな二人とも!」

 あの二人はジュディーを完全には殺してはいなかったようだ。
 それは慈悲なのか、もっとユリアが実験する気で生かしているのか……。
 まぁ俺には分からないけど。

 大方ユリアとパトリシアが『ヒールペイン』と『ホーリーエクスブロード』を思いっきり食らわせて片が付いたのだろうと推測できる。
 
 アイツらは己の欲求と使命を果たそうとすると容赦がなくなるからなぁ……。
 同情するぜジュディー。

  そして空には俺達の勝利を称えるかのように朝日が昇り始めていた。
  俺達は朝日を眺めるとようやく、この長く続いた赤い夜から解放されたのだと実感する。
 
 てか……ローレットとジュディーって太陽の光は大丈夫なのか?
 俺は横目で二人を見ると。

「ローレット様あぁあ!! 太陽が来てます! 来てますよ!」
「お、落ち着くのじゃジュディーよ! 取り敢えず樽の中に避難するのじゃ!」
 二人はその場に転がっていた樽に身を潜めると、蓋を閉めて太陽光から逃れようとしていた。
 
 フッ……。やっぱりヴァンパイアってどこの世界でも太陽光が苦手なのは共通なんだな。
 俺は自分の目で見て確認すると、改めてそう思った。

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