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スポットライト

三浦しがゑ

仲人⑦

「油性マジック?」
 僕は顔をしかめて、菅ちゃんを見た。それを無視して菅ちゃんが続けた。
 「さっき中野から電話があって、余計な心配かもしれないがと、昨日の事を話してくれたんだ。君が会長のほっぺたに油性マジックで落書きをしたというのは本当なのか?」
 僕は大きく息を吸ったまま、のけぞって倒れそうになった。
 
真奈美が話した昨日の出来事はこうだった。

小野瀬会長が開いた二次会は真奈美を除いて全て男性だった為、誰かが気をきかせて真奈美を会長の隣の席に座らせた。会長はお酒を飲んでもあまり話す事もなく、どちらかというと、むっつりとした表情でみんなの話を聞いていたそうだ。会長のその様子を見て、真奈美は会長にこう聞いた。
 「会長は何故、そうやって苦虫をかみつぶした様なお顔をなさっているのですか?もう少し楽しまれたらいいのに。」と。
 それを聞いた菅ちゃんが、大きくため息をつきながらソファーに沈んでいくのが見えた。

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