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スポットライト

三浦しがゑ

伴侶②

「生意気なのは承知で言わせて頂きますが、菅原さんは最初からこの道のプロでしたか?実践で、現場で働きながらプロになるという事もあるのではないでしょうか?どうしても先生の写真集に関わる仕事がしたいんです。チャンスを頂けませんか?。」
 菅ちゃんは一瞬顔を曇らせたが、
 「いいでしょう。君なりの先生の写真集を作って来なさい。そんなに先生の写真のファンだというのなら先生の写真の切り抜きでも何でも使っていい。君なりの、七冊目の先生の写真集のサンプルを作って持ってくる事だな。さっきも言った通り今回の写真集の全ての人選は終わっている。どうしても今回の写真集の制作に関わりたいというのなら、3日後に写真集を仕上げてここに持って来なさい。話はそれからだ。」
 彼にしてはめずらしく突き放した物言いだった。洋子は正面から彼を見据えて、
 「三日後ですね」
 と行って帰って行った。
 彼女がオフィスを後にしたのを見届けて管ちゃんの席に行った。
 「ずいぶんと威勢のいい子だね。」
 「えー。しかし…。僕も天狗になっているつもりはありませんが、先生の写真集は業界の中でも常にトップの売れ行きです。そこに作品サンプルも持たずに現れていきなり“使って下さい”とはあまりにも世間知らずですよ。最近は努力もせずに簡単に何でもできると思っている若い子が多くてほんと、困ったものです。でも、まぁ、あれで彼女も諦めるでしょうから。」
 確かに、彼女が言っていた事は世間一般的には非常識きわまりない事だった。うぬぼれだとは思われたくないが、写真集を出す事になると有名なデザイナーが写真集のデザインをさせてほしいとたくさん名乗り出る。それぞれが優秀で個性もあり毎回その人選には苦労している。彼らは日々しのぎを削って自分の才能を磨いてきているのだ。専門学校を卒業したての少女が、彼らにかなう訳がない。菅ちゃんは彼女に写真集のサンプルを作ってくる様に言った。これは実際他のプロのデザイナーにも同じ様にお願いしている事で、そういう意味では菅ちゃんは彼女に対して他のプロのデザイナーと同じチャンスを与えてやった。ただその場合、通常は今回使いたい写真のサンプルを事前に渡す他、ある程度のコンセプトも先方に伝える。そしてそれはこちらがサンプルを提出して欲しい日より半年近くも前にやる事だ。つまり、プロのデザイナーでも半年はかかる仕事量であるという事になる。

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