完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

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外気温も下がり、人肌には丁度いい、秋の季節がやってきた。
神崎と櫻井は相も変わらず、図書館で読書をしていた。
「もうそろそろ、文化祭か」
「そうだな、俺たちは部活や生徒会に入っていないから、特にすることないけどな」
「クラスの出し物があるでしょ」
「そんなもの参加するわけがないだろう」
「また、そんなこと言って、ちゃんと手伝わないとだめだよ」
「まだ、何をするかも決まっていないのに、手伝う、手伝わないの話じゃないだろう」
「それはそうだけどさ、この後決めるから、何をするかぐらい決めておいていいんじゃない」
「手伝わないものの案なんて、考えても無駄だ、それに男子どものが面倒な案を出すだろ」
「何で、神崎にはそんなことがわかるの?」
「1、俺たちのクラスには桐野と琴吹がいる、2、クラスの出し物には参加せざるえない、これ以上の理由がいるか」


この後、実際、神崎の言うとおりになった。
「「「2年2組の出し物はメイド喫茶を提案します」」」
男子は事前に話し合っていたのだろう。神崎と櫻井以外の男子がその案を提案して票を入れた。クラスの半分が男子でその中から2引いて、18なので、女子が団結すれば、この案はひっくり返るのだが、女子たちは女子たちで集まって話し合いをしていた。


そして、一人の女子が男子の集団に向かって言った。
「執事も含むなら、執事メイド喫茶なら、私たちは賛成します」
女子たちが話し合っているさなか、櫻井を見ていたのは間違いないだだろう。つまり、男子は桐野と琴吹のメイド姿が見たい、女子は櫻井の執事姿が見たいということだ。


男子はこれに対して軽く話し合いをしたが、すぐに頷き合うとすぐに返事をした。
「それで異論はない」


それに男子の票に女子の票が追加され、2年2組の出し物は、執事メイド喫茶に決まった。神崎は桐野の方を見たが、特に反応はなかった。いつも反応はないのだが。


「いいのか、執事メイド喫茶に決まって?」
「皆、私は生徒会で忙しいの忘れてないかしら、琴吹さんに至ってはそもそも来れるかもわからないのに」
「あー、確かに言われてみれば、そうだな、そうなれば、一番しわ寄せが来るのは・・・」
神崎は名前を見ずに櫻井の方を見た。つられて、桐野も櫻井の方を見る。


「え、何2人ともこっち見て」
「頑張れよ」
「気の毒ね」


「そんな不吉なこと言わないでよ」
しかし、櫻井が文化祭で一番大変そうなのは目に見えていた。


琴吹が参加するとなるとまた体育大会のような事態が想定されるので、今回は対策して挑まないとまた大変なことになる。これに関しては琴吹に相談だが、生徒会とも話し合わなければならないだろう。


神崎がそんな不安を抱えつつも文化祭は着々と始まろうとしていた。





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