完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

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体育祭も終盤になり、得点自体は、青と赤が競っており、黄と緑は逆転不可能なぐらいまでの点差を付けれらえていた。そして、最終競技の学年対抗リレーの時間がやってきた。得点差からこのリレーの結果が優勝にかかわってくると言っても過言ではない。


「さてさて、この長い体育大会も最終種目、これでどの団が優勝するのかが決まります。果たしてどの団が優勝するのでしょうか、見ものです。」


そんな学年対抗リレーのアンカーに神崎は配置されていた。


「さてと、ちゃっちゃと琴吹に優勝をプレゼントしますか」
「なぜ、琴吹さんになんですか」
「それは琴吹に楽しい思い出を経験してほしいからかな、副会長、そして今回の黒幕さん」


今回、学校に入り込んでいる琴吹のファンたちは異常だった。普通に何回も学校の警備をすり抜けてきたし、それが配置を変えても起こっていた。それはつまり内部の人間がファンたちに伝えていたことになる。


「あなたなら、気づくんじゃないかと思ってました」
「別に完全な確証はなかったさ、ただ、あの女を使ったのは失敗だったなと思うけどな、今回、あまりに俺を狙いすぎたな、あの女なら俺を絶対に狙わない、そこで俺は別の奴があいつに入れ知恵したんじゃないかと考えただけだ」
「私はあなたと琴吹さんのことを邪魔出来ればよかったんです。なぜ、貴方は、会長というものがありながら、ほかの女の人のそばにいるんですか」
「別に俺は特別、琴吹と一緒にいたわけじゃないんだが、それに会長の仕事まで増やしたら本末店頭だろう」
「それは・・・」
「まぁ、結局、俺たちが勝って終わりだ。お前らの妨害、虚しく俺らは優勝してハーピィーエンドだ」
「そんなことはさせません、陸上部部長として、ここだけは負けるわけにはいきません」
決意の表れか、頭の赤いハチマキをもう一度、ぎゅっと締めた。こんな話をしている内に後ろの方では順調にバトンがリレーされていた。


1番手は赤、2番が青、3番が緑、4番、赤団は全員が陸上で人員を公正しているのか、バトンを渡す際のタイムロスがほぼ無いのにたいして、青団は普通にバトンを渡す際、スピードを落としてしまっていた。そのせいで足の速さはそんなに変わらない感じなのにも関わらず、神崎にバトンが渡る時には、トラック半周分もの差が出来てしまっていた。


「これはアンカーにバトンが渡って、赤団と青団の差がほぼトラック半周分、アンカーは走る距離は普通の選手より長く設定されていますが流石にこれはきついか」


そんなことを言われるが神崎はそんなことを全く気にしていなかった、桐野に言われた言葉が胸に刺さっていた。彼女にも体育大会を楽しむ権利はあるわ。自分の時はそんなことを言ってくれる友達は果たしていただろうか、この言葉を聞いて神崎はそれを実現させようと本気で思ったのだ。
(こんなところで邪魔されるわけにはいかない)


「いや、これは追いついてる、神崎選手、陸上部部長相手に猛烈な追い上げだ――――、これはもしや、行くのか、行くのか、行った―――――――――、優勝は青団だ――――――――」


無理のような距離を離されいた神崎だったが、最後の最後ので会長を抜き、1位でゴールテープを切った。


今年の体育大会は無事、神崎たち、青団が優勝して幕を閉じた。

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