完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

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競技の待機列に着いた神崎は先に到着していた桐野を探した。何せ雰囲気が違うので桐野を見つけることは簡単だ。桐野を見つけると神崎は桐野の所に移動した。
「大変そうだな」
世話しなく対応している生徒会の姿を見えていた神崎は桐野に対して第一声、心配の声を掛けた。


「別に大丈夫よ」
明らかに強がっている気が神崎にはしたが、本人がそう言っているなら、それ以上の追及は野暮というものだ。
「そうか」


そこに生徒会の役員と思われる人が来て、桐野に声を掛けた。
「会長、また、正門に琴吹さんのファンらしき人達が集まってます、どうしましょう」
「落ち着いて、舞さん、神崎君、ちょっと話してくるわ」
「ああ」


数分後、桐野は戻ってきたが、その表情にほぼ変化はない。


「ホントにダメそうなら、言ってくれ、琴吹に話してくる」
おもわず、神崎は桐野に声を変えたが、思わぬ返事が返って来た。


「余計なことはしないで、彼女にも体育大会を楽しむ権利はあるわ」


「そうか」
桐野から思わぬ拒否を受けたが神崎の口の広角は僅かに上がっていた。


「それならとりあえず、さっさとこの競技を1位で終わらせて、琴吹に体育大会の優勝を体験してもうとするか」


周りを見渡すと各クラスの足の速い連中が揃っていた。神崎と桐野がこの競技で2人が組んでいる理由がこの競技がリレーの次に得点が高く設定されている。皆の視線が神崎と桐野に集中しているがそれは桐野が理由だけではないだろう。


以外にも神崎が受けた1500m走の時のような妨害は受けずに、2人は他の生徒とはかなりの差をつけて、無事、二人三脚で1位を取った。


「悪いけど、琴吹さんの事、お願いね」
生徒会に戻る去り際に珍しく、桐野から神崎への頼みごとをしてきた。
「わかった」


しかし、神崎は二人三脚が終わると、応援席には戻らず、自分の教室にやって来た。
「もしもし、ちょっとお願いごとがあるんだけど・・・」
神崎はそこで携帯電話をとり、何処かへ連絡を取った。

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