完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

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食事も済んだ2人が楽しんでいる中、SNS上では琴吹響が遊園地にいることがどんどん広がっていた。


『琴吹響が遊園地にいるって本当』
『マジ、行ってみるわ』
『そこなら近いわw』


「全く、知り合いでもないのに会ってどうするんだか」
トイレと言って琴吹から離れた神崎は携帯をチェックしていた。普通なら好きな人に会いたいのは一般的な感情なのかもしれないが、神崎はそんな感情知ったことではない。集まられてもただの迷惑だ。


それだけ分かると神崎は携帯をしまい、琴吹の元に戻った。


琴吹の元に戻るとこっちに向かって手を振って来た。神崎はそんな琴吹に速足で近づくと、いきなり抱きしめた。
「えっ」
「静かに」
いきなり抱きしめられ、琴吹は顔を真っ赤にしたが神崎はしっかりと琴吹を抱いて離さなかった。


神崎が何故そんな行動をしたのか、それは男子2人組が居て、琴吹の話をしていたからだ。


しかし、抱きしめらえてる琴吹はそんな状況なんて気にしているはずもなく、頭が混乱してしまった。


男子が離れたことにより神崎は琴吹を離したがすでに琴吹は放心状態になっていた。


「大丈夫ですか?すみません、いきなり抱きしめてしまって」
「はっ、いえ、大丈夫です」
何で神崎がいきなり抱きしめたのか、琴吹には効く余裕などなかった。


「神崎さん、次のアトラクション行きましょう」
自分の顔が赤いことを隠すために琴吹は神崎より先に歩き出した。


辺りも暗くなり、至近距離でしか人の顔が分からなくなってきた。


「あ、パレード始まりましたよ、神崎さん」
「綺麗ですね」
パレードが始まり、人だかりがパレードをやっている道沿いに出来始めた。流石にこの状況ではファンの人達も人を見つけ出すのは困難だった。見つけるのが困難になって来た人達がとる行動は一つだった。


パレードも終わり、満足げな顔をした琴吹の所に電話が掛かって来た。


「はい、もしもし、えっ、確かにいますけど、はい、わかりました」
「どうしました、琴吹さん」
「なんか、私のファン達がこの遊園地の入口にたくさん集まってるって・・・どうしよう・・」
さっきまでの顔と打って変わって琴吹は不安な顔を浮かばせた。


「大丈夫です、すぐにそのファン達はいなくなりますから安心してください、琴吹さん」
「えっ?どうゆうことですか?」
そこにまた琴吹の電話が振動し始めた。


「いえ、まだ、園内にいますけど?わかりました」
今度は不審な顔をしつつ琴吹は神崎に質問をしてきた。


「ファン達が入口からいなくなったって言われました、本当に神崎さんの言う通りになっちゃいました」
「一つお願いしていいですか?」
「はい、何ですか?」


神崎からのお願いを聞いて、琴吹は納得と安心が広がった。


「では、閉演まであそびましょうか」
「はい、お願いします」


心配がなくなった琴吹と神崎は閉演まで2時間を切った遊園地の中に繰り出した。



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