完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

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流石に無茶な行動をし過ぎたので、長ったらしい説教を食らうかと思ったが、以外にもそんなことはなく、神崎は控室の椅子に座っていた。


(さて、どうしたものか)


ちなみにコンサートの方は、30分ほどの中断をして照明を片づけて再開された。


神崎は控室にというされて、もう10分が経とうとしていた。


何の前触れもなく、控室の扉が開いた。


入って来たのは、一言で言うと、ヤクザだった。腕や胴体はは人の2倍、3倍はあろうかというほど太く、厳つい顔にはサングラスと顎髭があった。
「私は琴吹のプロデューサーをしている、中村というものだ。この度はうちのアイドルを助けてくれてありがとう」
「いえ、大したことはしてないですよ」
「そうだとしてもこちらが助けてもらったのは事実だ。なんでも君はこの前も琴吹を助けてくれたそうだね。重ねてお礼を言わせてもらおう」
「はぁ、わかりました。あと何か、あるんでしょうか」
「何かとは何のことを指してるのかな?」
「ここにいる理由が特にないなら自分は帰りたいですが」
「特にはないが・・・」
そう言われて、若干の戸惑いが見て取れた。恐らく、琴吹に本人合わせて、喜ばせようなどと考えていたのだろう。神崎にはそんなことは関係ないのですぐさま席を立った。


「なら、自分はこれで失礼します」
「待ってくれ、まだ、コンサートの途中だ。見て行かないのか」
「すみません、コンサートには自分、興味なくて、目的のことが終わったので、大丈夫です」
「興味がない?目的?」
中村が戸惑っている中、素早く席を立つと神崎は振り返らずに振り返らずに、去って行った。


勢いよく出たものの神崎はどっちに行こうか、迷っていた。


道に迷っているわけではない。ここに来た道は覚えている。しかし、その道を戻るとステージに戻ってしまうのだ。かと言って、行き当たりばったりで別の道を行っても出れるかもしれないが無駄な時間を食うかもしれない。


神崎が何故、こんなにも逃走ルートを考えているかというと、助ける目的だったとしても琴吹を押し倒したことが問題になっていた。一言で言うと嫉妬である。ステージから控室に行くまでの僅かな間だったが、確かに観客席から神崎は殺気を感じていた。


つまり、ファンたちがコンサートを見ている間に横の通路を抜けるか、コンサートが終わるまでの残り30分で裏口を探すかの2択なのである。


「良し、決めた」


神崎は一言いうと、裏口を探すために走り出した。





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